ゴーストのキャロと
“うふっ、ご馳走様でした”
照れながら裸のキャロが満足そうに口に指を当てながら言ってきて、今はキャロの姿もハッキリするようになった。
「も、もう大丈夫なの?」
“死ぬまで吸うこともたぶんできると思うけどね。 その……気持ち良かった?”
「……う、うん」
まぁいわゆる精気=精を吸い取られたわけで、今までは僕が寝ている間におやりになられていたみたいだけど、初めて意識があるときにして貰うとそれはもうエロス以外の何物でもない。
“こういうのは本当は寝てる間の方がいい理由がちゃんとあってね……”
意識のある時にやると霊との体験は生身よりも遥かにいいらしくて、はまってやめられなくなるんだそうだ。 確かに気持ち良かったし、大好きなキャロとしているかと思うと相当だったのかもしれない。
だけどそもそも僕はゴーストのキャロとしか経験がないのだけど……
他にも生気を吸い取るゴースト48手というのがあるらしくて、今やったのは僕が相手だからという事で色情霊的なやり方で生気を吸ったんだそうだ。
他には憑依して全身から吸い取ったり、恐怖に怯えさせることで生気を吸い取る方法なんかもあるらしい……
「そ、そうなんだ……」
“アラスカさんには、一応私が消えたくないから必要な時はマイセンから貰う約束はしてあるから、この事は心配する必要はないからね? でももしマイセンから私を求めるのなら、アラスカさんとは別れてもらうから。 私、そういうのは嫌いだから”
あの時言ってたのはこの事だったんだ。
ちなみにゴーストのキャロを選んでいた場合、僕は間違いなく数年ほどで死ぬらしい。 それだけずっと側にいるには生気が必要なんだとか。
なら他のゴーストはというと、普通はゴーストになる理由は未練を残した怨霊になるから、その未練が成就されるまでは消える事はないんだそうだ。
ゴーストのいろいろな事を教えてもらいながら、キャロが古代の町で手に入れた服を着終えたところで、レイスが持っていた武器を持ちだす。
“無いよりはマシかなぁ?”
そんな事を言いながらレイスが持っていた武器を手に構えて見せてくる。
“どう?”
「うん、似合わない」
“だよねぇ。 でも魔法は思った以上に霊気を消耗するから一応頂いておきますか”
そう言ってキャロはその武器を持っていく事にしたようだ。
ちなみにその武器の形状は巨大な鎌なんだよね……
ひと段落ついたとこで、キャロがプリュンダラーさんの事を話してくる。
“あの人はハサンと同じで信用したらダメだよ”
「そりゃあ見殺しにするような事をしたんだから、信用なんてないでしょ」
キャロが驚いた顔をしながら、マイセンも成長したねなんて言ってくる。
「このあとみんなと合流したら、プリュンダラーはなんて言うんだろうね?」
“まぁ適当な事を言ってくるでしょうね。 もっとも、そんな事を言っても一緒にいる人たちは誰も信じないでしょうけど”
レイスといえば神官かウィザードが居ないと厳しい相手だ。 おそらくプリュンダラーは僕はここで死ぬだろうと思っているに違いない。 実際、キャロがいなかったら勝てなかっただろう。
キャロも僕に時間があったらアラスカに『気』を使わないで戦えるだけの技術を教わったほうがいいよって言われるほどだった。
“正直なところ、マイセンがこんなに弱いと思わなかった”
『気』で先を読みながら戦えないと、僕はここまで戦えない事を痛感した。
「プリュンダラーには感謝しなきゃね?」
“ええっ!?”
「だって僕がどれだけ技量がないか教えてくれたんだから」
キャロがそういう事ねって答えたところで、こっちにものすごい速度で気配が近づいてくるのに気がついた。
「たぶんアラスカたちだ」
“じゃあ私は刀に戻るね。 私の事はあまり教えないほうがいいよ”
そういうとキャロの姿が見えなくなった。
入れ替わる形で息を切らせながら走ってきたアラスカの姿が見える。
「アラスカ」
「無事だったか! 心配したぞ」
僕の無事な姿を見てホッとして見せてくる。
そんなアラスカを抱き寄せてキスをする。 アラスカも応じてきたとこで仲間も姿を見せてきた。
「ちょっと、イチャつくの禁止って言ったわよね!?」
早速お叱りの言葉を言ってきたけど、アリエル様が僕の無事な姿を見て安心した顔を見せてきた。
目だけでプリュンダラーを探すと、カルラとディルムッドよりも更に離れた位置から舌打ちする姿が見て取れたけど、僕の無事をプリュンダラーは大げさに無事を喜んで見せてくる。
もちろんここにいる誰もがそんなプリュンダラーを不審な目でしか見ていなかったけど、そう喜んで見せている以上特に追求するような事はしないようだった。
次話更新は明日の予定です。




