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死極送り

 —————死極

 それは重罪人が送られる場所で、輪廻転生することなく永遠に苦しむ場所。 そう聞かされている。


 僕はこのサハラ様の第一声で声も出なくなって口をパクパクさせる。



「マスター! いくらなんでも死極行きはないと思います! マイセンはニークアヴォの事は知らなかったんです!」


 アラスカが僕の代わりに答えてくれて、まるで立ち塞がるように僕を庇うように体の位置を動かしてくる。



「アラスカ、わかっているだろうが、これは人種の神々の決定なんだ。 どうにかなるもんじゃないことぐらいお前ならわかっているだろう?」

「しかし!」




 その後もサハラ様とアラスカが激しく言い争っているのをまるで他人事のように眺めている。 死極という場所は死んだ者が【死の神ルクリム】に連れて行かれる場所のため、死んだからといって逃れられる場所でもない。



「ちょっとサハラさん、熱くならないでアラスカを虐めるのはその辺にしてあげなよ」


 アリエル様がなんだか可笑しそうに笑いながら言ってくる。 一体何が可笑しいのかわからないアラスカは息を荒げてアリエル様を睨みつけている。


 ちなみにルースミア様はというと、話しに一切興味を持っていない様子で、腰に吊るしているネズミのようなヌイグルミで遊んでいるようだ。



「どういうことですかアリエル!」

「んー、あのアラスカがずいぶんとそこの坊やにお熱をあげちゃってるんだなぁ……ふひひ。 まぁ冗談はさておき……」


 サハラ様に代わってアリエル様が説明しだす。

 サハラ様の言った通り、僕は人種の神々に死極行きを下されたのは間違いないんだそう。

 だけどサハラ様が、人は誰も過ちは犯すし、本人がまったく知らなかったことで死極行きはいくらなんでもやり過ぎだろう、と僕の弁護をしてくれたんだそうだ。

 そしてその意見に賛同してくれた、【魔法の神エラウェラリエル】様と【闘争の神レフィクル】様、【愛と美の神レイチェル】様、【保護の神ロルス】様が、サハラ様の意見に賛同してくれたお陰で、ある条件を満たすことで許されることになったらしい。



「その条件とは、その生涯を通してニークアヴォに関わる情報を探し集めることだ」


 そんな……アラスカの話じゃサハラ様たちも追っていて情報が得られないっていうのに、僕なんかにできるわけがないじゃないか。



「そんなの最初から無理な条件じゃないですか……」


 アリエル様も弁護してくれたとか言うけど、単にサハラ様が悪く言われるのを嫌だっただけなんじゃないんだろうか?


 そんな風に思ったんだけど、思わぬところから声が上がる。



「おい貴様、話はちゃんと聞いていたのか?」

「え?」


 ヌイグルミで遊んでいるとばかり思っていたルースミア様が、爬虫類のような目で僕を睨みつけてくる。



「サハラは貴様に生涯を通して情報を集めろと言ったのだ。 その条件に集められなかったらということは含まれておらん」

「えっと、言っている意味が……」

「つまり、大袈裟に言えば情報を集めている素振りだけでも構わんという事だ。 愚か者」


 まだ要領を得ていない僕にアラスカが付け加えてくる。



「簡単に言えば、無罪放免という事だ」


 ぽかんとしている僕にアラスカが嬉しそうな顔で言ってくる。



「じゃあ、僕の死極行きは……」

「マスターのおかげで実質なくなったわけだ」


 やっと意味を理解して嬉しさから意識しないでアラスカにキスをする。 驚きこそしたけど、アラスカも喜んで応じてきた。



「やぁねぇ人前で」

「いやぁ、あのアラスカがこうも変わるものなんだな」

「しかしコイツらは魂的には親子なんじゃないのか?」

「まぁそれを言ったらキリがないさ。 前世の記憶が蘇るなんてそうそうあるもんじゃないから問題ないだろう」



 言われたい放題言われながら、キスをやめて腰を抱き寄せる。



「ありがとうございますサハラ様!」

「まぁ前も言った通り、お前とは魂の友だからな。 もっとも世界(ワールド)守護者(ガーディアン)としては失格かもしれないが、間違った事はしていないと思っているよ」


 そこでふと思い出してサハラ様にダンジョンで見た太古の町の話をしてみる事にした。



「あの、情報かどうかわからないですが、ダンジョンで実は太古に滅んだ町を見つけたんです」

「町? ダンジョンでか?」

「はい、しかもその昔ゼノモーフに滅ぼされた町にようでした」


 サハラ様が考える素振りを見せた後———



「その話、詳しく聞かせてもらおう」




次話更新は明日の予定ですが、もしかしたら今日はもう1話更新できるかもしれません。


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