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7つ星の騎士アラスカ様

「殺れ! 7つ星の剣よ」


 そんな声が聞こえた気がする。

 僕の身体はまた地面に落ちて仰向けになって食べられずに済んだ。


 突然の事に何が起こったのかわからずにいると、オーガが僕の方へ倒れてくる。 このままだと潰されると思い、必死に潰されるイメージから身体をよじって躱したところで意識を失った。





 目がさめる……僕は仰向けにされていて、片膝をついて上から僕を覗き込む、もの凄い美人の顔があった。



「気がついたか?」

「女神……様?」



 そう答えた僕にフッと笑顔を向けてきた。



「残念だが私は女神の様な崇高な存在ではない。 私はアラスカ、7つ星の騎士だ」



 ————————————7つ星の騎士!


 その名を聞いて飛び起きる。



「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」


 僕の尊敬する7つ星の騎士、それも7つ星の剣を持つ伝説の英雄セッターの娘と言われるアラスカ様。



「ありがとうございます! ゴメンなさい、ありがとうございます! ゴメンなさい」


 僕は飛び起きるなり土下座してなぜか感謝と謝罪をしていた。



「ん、まだ混乱しているのか? 安心してくれ、君はもう安全だし治療もしておいた」


 そう言われて僕はなぜかさらに全力で謝り続けた。



「おいマイセン、いい加減に状況を把握しろ!」


 アレスさんの声でやっと落ち着きを取り戻して顔を上げると、心配そうな顔で僕を見つめているもの凄い美人の顔がある。 もちろんそれは7つ星の騎士のアラスカ様だ。


 その美しさに思わず見惚れて目が離せなくなってしまう……



「私の顔に、何かついているのか?」

「い、いえ! なんでもありません、ゴメンなさい!」


 さすがに呆れられたのか首を傾げた後、立ち上がってアレスさんと何か話しはじめる。






「おいマイセン! いつまでもぼうっとしてんなよ。 7つ星の騎士様が地上まで護衛してくれるってよ」



 助かった。 僕は死なないで済んだんだ。 そう思いながら辺りを見回すと、倒れているオーガの死体の他に僕を助けにきてくれたはずの3人の死体があって、アレスさんとどうなったかわからなかった、フレイさんは無事に生きていた。



 アレスさんとフレイさんは死んだ人たちの首からドッグタグを取って、本人のものとわかるような物を適当に集めている。


 僕はそんな2人を見て手伝おうとしたけど、視線を感じてそちらに顔を向けるとアラスカ様が僕のことをジッと見つめていた。



 目が合うとアラスカ様がニッコリ微笑んできて、顔が嫌でも真っ赤になるのが自分でもわかった。



「7つ星の騎士を見るのは初めてか?」


 アラスカ様が僕なんかに話しかけてきてくれる。 なので小さい頃から英雄物語が好きだった事、中でも歴史史上最強と言われた伝説の英雄セッターに憧れがある事を話すとアラスカ様が笑顔を見せてくれる。



「父をそこまで尊敬してくれているのは娘としても嬉しいものだ」


 アラスカ様は美人と思ったけど、笑顔になるととても可愛らしい……なんて思ってしまった。




「よし、準備OKです」


 アレスさんとフレイさんが3人の荷物を背負う。 死体はその場に残すようだ。


 アラスカ様が先頭に立って移動しはじめると、アレスさんがちゃっかりオーガの持ち物を漁らないのか聞いてくる。



「必要ない。 欲しければ君たちにさしあげよう」



 アレスさんはそれを聞いてしっかりオーガの死体も漁ってから移動する事になった。


 失礼なんじゃないかと思ったけど、フレイさんが、死んだ3人に身内がいればその後の少しは足しになるだろうって言われてなるほどって思った。




 移動してしばらくするとアラスカ様が立ち止まって、僕たちにも止まるように合図してくる。



「魔物だ。 1体か……3人はそこにいてくれ」



 まだ姿も見せていないのに数まで言い当てる。 少しするとその姿が見えて、そいつはオーガよりも僅かに大きい巨人で、重たげな動きでアラスカ様に近づいてくる。

 ボロボロになった皮鎧を着て、両方の手には大きなフレイルが握られている、その巨人の頭は2つあった。



「あいつぁエティンじゃねぇか……」

「デプス1で出くわす相手ではないな」


 つまり霊峰竜角山に出来たダンジョンはそれだけ危険な場所である事を意味していた。



「手伝わなくていいの!?」


 僕がそう言うと、アレスさんが首を振ってくる。



「悪いがさっきのオーガでこのザマだ。 エティン相手じゃブランクが大きすぎる」


 ならフレイさんは? と思って見ると、同じく首を振ってきた。


 そんな相手をアラスカ様は平然と1人で立ち向かいに行く。 スラッと抜き放った剣こそ星剣(せいけん)7つ星の剣と言われているものだ。



 この後、僕は信じられない戦いを目にする事になる。





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