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孤児院で待機

 落ち着いたアラスカを連れて特別房を出ようとしたところで思い出した。



「そうだ……ニークアヴォとディアっていう人をアラスカは知っている?」


 僕からすればただの知らない人物で、あまり気にしないでその2人の名前を出したつもりだった。

 だけどアラスカはその名前を聞いた瞬間にものすごい形相に変わる。



「なぜ、その名を……」


 特別房を出ようとした手を払われて両肩を掴まれて聞かれ、僕はハサンを倒して意識を失った時に助けてくれたところまでを話す。

 アラスカは片手を顎に当ててなにやら考え出した。



「今のことは私以外の誰かに話したのか?」


 その口調は7つ星の騎士のもので、重要な事柄のように思える。



「アラスカの知っている人?」

「知っているも何も……しかしなぜマイセンを助ける? 何か理由があるはずだ……」


 異様な雰囲気は感じたけど隠しておいていいようには感じられず、その後、ディアという女性が不治の病で、救うためにキャロの時のように半ゼノモーフにした事もアラスカに話した。





「マイセン、君はもしかしたら大変なことをしてしまったかもしれない……」

「一体どういうことなのか僕にもわかるように説明してよ」

「話は世界(ワールド)守護者(ガーディアン)から聞いた方がいいだろう……」



 そういうとアラスカが特別房を出ようとするから後に続く。


 特別房の前で待っていたシスターテレサにアラスカがサハラ様の居場所なんかを聞き出している。



「……それではお願いします」


 何か頼みごとを終えて僕を連れ出して大統領府を後にした。





 町まで戻るとアラスカが僕には孤児院に戻って待機しているように言うと、そのまま町の中へと消えていく。


 一体なんなんだろうなんて考えながら歩いて孤児院に向かっていると不意に肩を叩かれた。



「どうしたんだマイセン、さっきから声をかけても耳に届いていないようだった」


 ディルムッドが首をかしげながら聞いてきていた。



「あ、ごめん……考え事をしてて」

「ふむ、気配を読むのも忘れるほどの考え事か。 それはそうと……無事に帰ってきたという事は、殺ったんだな?」

「戻って早々いきなりいろいろあって遅くなっちゃったよ。 うん、ハサンは倒した。 だけど……」


 アラスカにさっき誰かに話したかを聞かれたのを思い出して、ディルムッドに笑顔を向ける。



「死にかけたよ」

「なるほど。 それで考え事は一体なんだったのだ?」


 迷ったけどディルムッドは僕の仲間だし、名前ぐらいならと思って2人の名前を言ってみる。



「知らない名だ。 おそらく我々が人種に加えられる以前の話なのだろうな」


 ドラウたちが人種に加わったのがおおよそ100年ほど前で、当然アラスカはさらにそれ以前から生き続けている。


 歴史に詳しい人でもいればとも思ったけど、思い当たる知り合いが僕にはいない。



「ひとまず孤児院で待機しているように言われたから言われた通りにするよ」


 ディルムッドが不思議そうな顔をしながら僕を見てくる。



「少し変わったように見えるな。 まぁいいさ、パーティ解散というまではこの町にいる。 用があったらいつでも呼んでくれ」

「ありがとうディルムッド」




 ディルムッドとはそこで別れて、冒険者ギルドに顔を出そうかとも思ったけれど、そのままアラスカに言われた通り孤児院に戻ることにした。






「マイセン様、アラスカ様は?」

「なんか用事があるみたい。 そういえばカルラは歴史には詳しかったりするのかな?」

「申し訳有りませんが……」


 そうだよね……



 夕方にはシスターテレサも帰ってきて、夕飯の準備をしているとアラスカが帰ってきた。



「お帰りアラスカ」

「あ……はい、ただいま戻りました」


 なんか口調を変えようとしてくれているのは嬉しいけど、どんどんおかしくなっていってる気がする……



「えっとさ、やっぱり普段通りでいいよ。 少しずつ慣れていこう?」

「あ、うん……ああ、わかった。 済まないな」


 アラスカが照れながらも元の口調で返してくる。



「それで一体今までどこに行っていたの?」

「まだいるかもしれないと思ってな。 町を探していたんだ」


 まぁ誰かなんて聞かなくてもサハラ様のことだっていうのはすぐにわかった。

 ちょっとだけむくれたようなそぶりを見せたら、アラスカが慌てて取り繕ってくる。



「心配しないでもらいたい。 今の私はマイセン、君だけだ」




 この後僕に大変なことが起こるとは思いもしなかった。




次話更新は明日になります。

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