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お嫁さん

新章に入ります。

 息を切らせながら孤児院の近くまで辿り着く。 孤児院もゼノモーフによって破壊された跡があって、兄弟たちの心配をしながら扉を乱暴に開ける。



「みんな無事だった!?」


 驚きと不安、恐怖に引きつってはいたけれど、全員無事な兄弟たちの姿とカルラの姿もあってホッとする。


 兄弟たちも入ってきたのが僕だとわかると一斉に泣きながら駆け寄ってきた。



「マイセン様! ご無事でしたか」

「うん、僕はなんとか。 それよりもここは?」

「ここはカルラが本当によく守ってくれたおかげで、子供たちもみんな無事だったよ」


 シスターテレサが奥から姿を見せてきて、無事な姿に安心した。


 ゼノモーフが町にあふれた時、孤児院にも数匹向かってきて兄弟たちにも襲いかかってきたらしい。

 それをカルラが全部仕留めてくれたらしいのだけど、その際に酸を大量に浴びたらしくて一時は命の危険にまでなったそうだった。

 運良くシスターテレサがその場にいたから治癒魔法で治して無事だったらしいけど、シスターテレサがいなければ間違いなく死んでいたそうだ。



「ありがとうカルラ」

「私はマイセン様に言われたことを守っただけですので」

「そういうのはやめてって言ってるよね? でも本当にカルラも無事でよかったよ」


 そこでふとアラスカの姿が見えないことに気がつく。



「アラスカは?」

「アラスカ様は……」


 なぜか口ごもるカルラに一抹の不安がよぎる。



「まさか!?」

「慌てんじゃないよ、アラスカ殿なら無事だよ。 ただちょいとばかしね……」


 やれやれとでも言いたげな表情を浮かべて、その時の事を話してくれる。


 ゼノモーフたちは町に溢れ出たその日のうちに兵士や冒険者、そして何よりも世界(ワールド)守護者(ガーディアン)のサハラ様と代行者のアリエル様のおかげで全て討伐しきった。 そこまではよかったのだけど、戻らない僕を追ってダンジョンに向かおうとしたところをサハラ様に捕まって、今は大統領府に留まってもらっているんだそうだ。

 もちろん留まるというのはやんわりとした言い方で、実際には連行されて捕らえられているのと変わりがないらしい。



「まさかあのアラスカ殿があそこまでお前さんの身を案じるとはねぇ」

「アラスカの居場所に連れて行ってください! 僕が無事なのを見れば冷静になるはずですから」


 シスターテレサも手に負いかねていたみたいで、すぐに大統領府に連れて行かれることになった。




 大統領府とは言ったけれど、実際にはそのすぐ近くの場所にある収容所に叩き込まれたらしい。 いわゆる囚人だ。



「そんな! アラスカが罪人扱いなんですか!?」

「安心をし、そうじゃないよ。 ただ冷静さを失っていたから、一時的に特別房に入ってもらっただけだよ」



 厳重な警備の収容所に入って特別房の場所まで連れて行ってもらい、扉の鍵を開けてもらうとシスターテレサが僕に頷いてみせてくる。



 ガチャン!


 物々しい扉を開けて中に入ると、中は薄暗く板っぺらのようなベッド以外はトイレしかない、正に独房だった。 そしてそのベッドに横たわっているアラスカの姿が見えてホッとする。

 だけど僕が入ってきてもこちらも見ようともしない。



「アラスカ!」


 僕の声にゆっくりと顔を向けてきて、目を見開いた瞬間、跳ねるように起き上がって僕に飛びついてきた。



「マイセン! 無事だったのか! 死んだんじゃないかと心配したんだぞ!」

「死にかけはしたけど、仇も取ったし無事にこうして帰ってきたよ」


 憧れの存在とまさかの婚約者になれて、僕のことをこんなにも心配してくれているのは正直嬉しい。

 だけど僕としてはいついかなる時であっても伝説の英雄セッターの娘で、7つ星の騎士のアラスカでいてほしかった。

 そのことをアラスカに告げる。



「マイセン……私だって、1人の女なんだ。 愛する人のために取り乱してしまうことはそんなにいけないことなのか?」


 なんて真顔で言われてしまい、キャロの時に僕自身も似たようなことをしただけに言い返す言葉もない。



「そうだね……でもさ」


 目を赤くさせているアラスカので頬を引っ張る。



「ひゃひをひゅふ!」

「その喋り方じゃ僕のお嫁さんぽくなくて嫌だな」


 ハッとした顔を向けてきたかと思うと、今度は真っ赤っかになって忙しそうだ。


 少し考えるように間をあけた後……




「ごめんなさい、あなた」



次話更新は明日です。



昨日あれから調べたところ、ベインオブコズミックフォージではなくて、それをベースにして作られたアドバンストウィザードリィというTRPGの方でした。



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