表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/285

地上を目指して

 辿り着く、あの人の場所へ。 それこそがセッターの望み。


 精神統一し、瞑想状態に入る。


 近づいてくる気配を感じるけれどその動きがひどく遅く感じ、徐々に疲労なんかが感じなくなっていった。



 そうだ、気配さえ感じとれれば……たとえ誰が相手であろうが僕は打ち倒してみせる!





 思った通りなんてものではない。 姿を見せてきたのはオーガメイジが6体だった。

 オーガとオーガメイジの違いはその武装で、知恵がある分しっかりとした装備をしている。



「だけどそれだけだ!」


 魔法の詠唱に入った1体を居合斬りで気配を絶つ。 どんな武装をしていようが、気配を絶つ居合斬りを防ぐ術はない。

 1体が外傷もなく崩れていき、他のオーガメイジたちも一斉に魔法の詠唱に入るけれど、それより早く僕の身体が跳ねる。



 体が軽い。


 一気に剣圧(ソードプレッシャー)の間合いまで駆け寄って放ち、オーガメイジたちを剣の圧力で圧し潰す。



 グシャッ!!


 オーガメイジ3体の潰れた姿が残る。





 瞑想した影響なのか疲労を感じない。 でもそれはあくまで僕の『(オーラ)』で補っているのかもしれないからノンビリはしてられない。



「————ん、」


 この気配は……



「ん? なんで貴様がこんな所に、しかも1人でいる?……まさか2人死んだのか?」




 まさかあれだけ会いたいと思って会えなかったギルガメシュさんと、こんな状況下で遭遇することになるとはね。


 食料と水を分けてもらって食べながら町で起こった出来事を話す。



「なるほど……つまりハサンの奴はその男のコマだったというわけか」

「はっきりはしませんがおそらく……」

「どちらにせよ、そんな話を聞かされておちおちダンジョン攻略なぞもしてられんな」


 ギルガメシュさんも戻る事にしたおかげで、僕はこの食料における危機的状況からは脱する事ができたのは正直に助かる。



「それにしても……ギルガメシュさんって本当に仲間は作らないで奴隷ばかりなんですね」

「ん、ああ。 貴様も俺様が貴族の出なのは知っていよう? 俺様の身の回りの世話をやるのは奴隷の役目、それだけだ」

「えっと、それはつまりギルガメシュさんが自分で出来ないからって事ですか?」

「バカめ! 貴族とはそういうものなのだ! 平民の貴様には一生かかっても分からぬ事だ!」


 貴族に知り合いなんていないからわからないけど、間違いなくギルガメシュさんは嘘をついてると思う。




 ギルガメシュさんのパーティに加えてもらい、地上を目指す事になる。 奴隷の人たちは全員無口というか必要以上に口を開く事がない。



「本当に任せっきりでいいんですか?」

「貴様もくどいな。 俺様の奴隷を少しは信用しろ」

「随分と信用しているんですね」

「当たり前だ、奴隷であれば奴隷命令(スレイブギアス)で裏切る事はない」

「ヘーソウナンデスネ」

「なんだそのバカにしたような口振りは」

「イーエナンデモナイデス」


 実はカルラから聞いて知ってるんだけど、ギルガメシュさんは奴隷を買ってから一度たりとも奴隷命令(スレイブギアス)を使った事はないらしい。




 ——————ん。


 魔物の接近に気がついたけれど、ここで僕が余計な口出しはしないほうがいいかな?

 今は臨時に入れてもらったパーティだし、リーダーはギルガメシュさんなのだから、言われた通り任せる事にしよう。



「ご主人様、バジリスクが潜んでいるようです」


 石像になった元生物だったであろう、生き生きとした魔物の彫像が立ち並んでいる。 気配を感じないこれらに僕は気がつかなかったけれど、ギルガメシュさんの奴隷たちはこの彫像に気がついて足を止めて警戒しはじめた。



「よし、お前は下がって目を閉じておけ。 決して俺様が良いと言うまで目を開けるなよ! 他の奴は警戒を怠らずに標的を探せ」


 奴隷たちが命令に従って行動を開始しはじめる。 なんで下がれと言われたのか奴隷を見たら、首からシンボルがぶら下がっていたから神官なのかな? でも奴隷の神官って……




「ギルガメシュさん、僕はどうしますか?」

「足手まといにならないように好きにすればよかろう」


 という事は戦っても良いって事だよね?


 既に魔物の気配は補足済みだった僕は、(キャロン)の柄に手をかけた時だった。

 近寄りすぎた奴隷の1人がみるみるうちに彫像に変わっていってしまった。



「貴様ら気をつけろ! 近くにいるぞ!」




次話更新は明日です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ