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太古の町

 カルラとアラスカを連れて町へ向かう。 いつもであればカルラだけだけど、今日はアラスカもいるせいかおとなしい。



「なんだかおとなしいね?」

「そ、そんな事はないと思いますよ?」


 なので久しぶりにカルラの脇をくすぐってやった。



「何をするんですか!」

「いつものカルラじゃないから、その罰」

「なんですかそれは……」


 このやり取りを見ていたアラスカが、面白い関係だって笑った。

 カルラは奴隷かもしれないけど、僕はパーティの仲間としてしか見ていない。 そんな僕にカルラもだいぶ馴染んでくれていた。




「よぅ……って7つ星の騎士がどうして一緒にいるんだ?」


 珍しく取り乱すディルムッドと合流する。 さすがにダンジョン組のトップパーティの3人に7つ星の騎士のアラスカが一緒にいると目を引く。 そしていつも決まって〔ヒヨコ亭〕に避難するのがお決まりになっている。



「マイセンいらっしゃい! って7つ星の騎士様まで?」

「ええ、ちょっとありましてね、ははっ」

「女の勘としては非常に嫌な予感がするわ。 まぁ良いわ、入って入って」


 ソティスさんに案内されて相変わらず個室に通してもらう。 もっともこんな昼間に酒場なんかくる客はいないから問題ないんだけど、僕らが入ると僅かな可能性にかけて仲間に入ろうとする冒険者で賑わいだすから、ソティスさんから見れば僕らは金を呼ぶ客だ。




「それでなぜ7つ星の騎士が一緒にいるのか聞かせてもらえるのだろう?」

「まだ先の話になりますが……アラスカとその、そのうちですが結婚することになりました」

「なんですってえぇぇぇぇぇ!!」


 ドカンッと扉が開いて、ソティスさんが運んできていたお盆を落として飲み物が入ったグラスが落ちて割れる。



「ふむ、驚く前に盛大に驚かれてしまって興が冷めたが、つまりパーティの仲間が増えたということでいいんだな?」


 で、ディルムッドは落ち着いて聞き返してきて、となるといよいよ行くのか?と付け加えてくる。



「そのつもりです」

「一体なんの話だ? 私は何も聞かされていないぞ?」


 ここで僕たちが今、ダンジョンでいくのをためらっている場所を口にする。


 その場所とは、その昔おそらくゼノモーフによって滅ぼされた町の廃墟で、発見した時点で捜索はやめた場所で、これが気軽に仲間が増やせなかった理由でもあり、また、ギルガメシュさんと共闘も考えたけど、うまい具合にタイミングが合わず会えなくて困っていた。



「つまりそこにゼノモーフがいると言うのか?」

「どちらとも言えない。 と言うのが正解だ」


 アラスカが首をかしげるのは無理もないけど、それをディルムッドが1つ1つ理由を説明しだす。 先に進むのを拒んだのも彼だからだ。



「まず、相当な昔の遺跡であり、あまりに情報がなさ過ぎる。 わかっているのはゼノモーフに滅ぼされた事と、文献もなく代行者や執行者まで知らない時代のもので、ダークゾーンのような今の我々では作り出せない技術まで有する地であること。 そして何より……なぜ地底に存在するのか」


 なるほど、とアラスカも頷いている。



「加えて……ゼノモーフが封印されている場所と間違いなく繋がっているであろうということ、そしてこのダンジョンが突然出現した裏で手を引く何者かがいる可能性がある」


 コレは僕も今日初めて聞くことになって驚く。 言わなかった理由は言えば僕が1人でも行くと言いだすからだそうだ。



「間違いなくどこかにその入り口はあるだろう。 奴らがおとなしくあのダークゾーンの先に行くはずがない」

「つまりどこかに入り口があって、そこも封印されているなりしていると言うわけか?」


 想定では、とディルムッドが答える。 付け加えて、『(オーラ)』が読めない僕が苦手とするアンデッドも多いだろうと踏んでいるみたいだった。



「ゴーストタッチが必要だというわけか」


 ゴーストタッチとは非実体のゴーストを攻撃するのに必要な手段で、それがないと例え魔法の武器であってもその威力はほぼ通じない。



「神官の宛てはないのか?」

「あれば苦労はしないな。 カルラは言うまでもないが、マイセンも神官の知り合いと言ったら……宮廷司祭だけらしい」

「なるほど……しかし神官でもない私が加わった事でなぜ向かうことにするんだ?」


 期待の眼差しで僕とディルムッドがアラスカの腰に下げた星剣(せいけん)7つ星の剣を見つめる。 それに気がついたアラスカはあっさりと、7つ星の剣にゴーストタッチの能力はないことを告げてきた。



「となると戦いようがないわけか」

「でもゴーストが出ると決まったわけじゃないし、行ってみません—————っ!?」


 手を(キャロン)に添える。

 突然外の気配が一斉に慌ただしくなって、アラスカも立ち上がって7つ星の剣を抜いた。



「なんだ?」


 ある程度防音効果があるせいでディルムッドとカルラは、この突然の僕とアラスカの行動を不思議に見てくる。



「どうやら、あっちから来てくれたみたいだ」




今日は後ほど追加更新します。

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