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婚約者

 翌朝目が覚めるとすぐ横で見つめてくるアラスカがいる。



「おはようマイセン」


 そう言って口づけをしてきてドキッとする。 なんだか一晩で凄く積極的になってきた気がした。



「……おはようございます、アラスカ」


 まだカルラや兄弟たちは眠っているのを確認してから、抱きしめてみるとアラスカも照れながら抱きしめ返してきて可愛い。

 頼みごとをしつつ、どさくさに紛れてお尻も撫でてみる。




「頼みがあるんですけど……」

「ダークゾーンの先に行きたい、かな? だけどそういう頼みをしたいのなら、普通はお尻を触りながら言うものじゃないと思うぞ?」


 そうは言うけど嫌がっている様子はなさそうで、でも真剣な眼差しで事が起こらなければ封印をわざわざ解くことはしないだろうって。

 でもそれだといつまでも仇はとれない。 だからちょっぴり意地悪を言う事にしてみる。



「それだといつまで経っても、これ以上は先に進めませんよ?」


 いったんお尻を触る手を止めて言ってみる。 もちろん深い意味はない!



「……君も意地が悪い事を言うな。 しかし、アレだけは7つ星の騎士団ではどうにもならないんだ」



 ホープ合衆国の決定にまで7つ星の騎士団は介入できないらしい。

 そして中に入れない以上、実質仇はとれたも同然じゃないか? なんて僕を抱きしめてくる腕に少し力がはいる。



「そう、なるんですかね……」

「まぁ、君が納得するまでは私も気長に待つさ」


 このままだと我慢できなくなって、これ以上の事をしちゃいそうだから、見つめてくるアラスカの頬を軽く引っ張る。



「ひゃ、ひゃひをふふっ!」

「このままだと我慢できなくなりそうだったんで……あはは」

「君は私の伴侶になるのだから、私は拒みはしないしむしろ嬉しい……」

「うーん……でもその前にもう少し崩した話し方をして欲しいです」

「し、仕方がないだろう……幼い頃から7つ星の騎士団でずっとやってきたんだ。 そう簡単に変えられるものではない。 それに君だって呼び方以外変わってないじゃないか」

「じゃあ努力はしてね? 僕もするから」

「わかった……いやここは、はい? いや、うん……か?」


 なんだか逆に変な感じになってお互い笑いあった。




 とまぁそんなわけで兄弟たちも起こして、カルラが朝食の支度をするのも当たり前になっている。


 本当は僕たちの稼ぎで裕福な暮らしもさせてあげられるんだけど、シスターテレサの方針で、その後の兄弟の人生を考えて今まで通りにやっているから、朝食は相変わらずパンと質素なスープだけだ。

 テーブルに食事が並んでお祈りを捧げてから兄弟たちと一緒に食べる。



「良い暮らしだ……」


 孤児院の朝食を食べながらアラスカがそんな事を口にする。 こんな暮らしが良いなんてと思ったら、7つ星の騎士団では自給自足の生活を強いられているから、食料がとれない時は相当ひもじいのだそうだ。



「なぜ7つ星の騎士団は無償でそこまでするのですか……」


 カルラが不思議そうに……



「……マダム」


 と付け加えて尋ねてきた。 昨晩か朝のをばっちり見られていたのかもしれない。


 慌てたのはアラスカで、一瞬にして顔を真っ赤にして飲みかけていたスープを吹き出しそうになる。 それを見たシスターテレサがニヤニヤしながら僕を見てきた。





 食事も済んで勉強の時間になると僕はいつも暇になる。 勉強はシスターテレサの役割だし僕は正直勉強は昔から嫌いだったから。 そしてなぜか兄弟に混ざってカルラも一緒に勉強しているから、いつもであれば僕は1人きりで暇を持て余すのだけど、今日はアラスカが隣にいる。



「マイセン、キャロンのお墓に行っても良いだろうか? ……いいですか? 彼女にはちゃんと断りをしておきたいと思って、いる、います?」


 アラスカの喋り方がどんどんおかしくなってきていて、努力はしてくれているんだろうけど、ついおかしくて笑ったら怒られた。




 孤児院を出てすぐの大木の下にキャロの墓標がある。 僕はアラスカを連れてそこまで行くと、腰に吊るした(キャロン)を墓に添える。



「これでキャロの肉体と魂が揃ったよ」

「済まないが、少し1人にして貰えない……してくれない、してくれる?」


 笑いそうになるのを堪えながら頷いてその場を離れた。

 遠目に見ているとアラスカがキャロのお墓に何か話しかけているように見える。

 しばらくして僕の方に向いてきたから戻って(キャロン)を腰に吊るしなおした。



「キャロと何を話したの?」

「……君をキャロンの分も大切にすると」

「なんだか照れるな……まさか夢見た史上最強の英雄セッターの娘のアラスカと結婚するなんて思いもしなかった」

「それを言ったら君だって私の父の魂を持っているのだからな? しかしキャロンには感謝してもしきれない。 彼女のおかげで君は人を好きになることを理解したのだからな……したんですよね? したのよね?」


 思わず吹き出すとアラスカがむくれる。

 必死に言い直すアラスカが凄く可愛い。 今の彼女はとても7つ星の剣を振るう7つ星の騎士には到底見えない。



 そのあと僕もキャロのお墓に手を合わせようとしゃがんだら、(キャロン)が腿に当たって少し痛かった。




 勉強が終わったのかカルラが僕らの元にくる。 午後からディルムッドにも話しておかないといけないだろう。

 アラスカが僕の婚約者になった事を……




次話更新は明日です。



マイセンがエロくなってきている気がする……

まぁこの約1年でいろいろあったんでしょう。

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