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前を向いて

新章に入ります。 ここから先はパート分かれなしになります。

 キャロが死んでからそろそろ1年が経とうとして、僕も今は立ち直って前に向かって進んでいる。 もちろんハサンの事は忘れたことは一度たりともない。



 30日の保護期間を終えたあと僕は冒険者ギルドの下宿先を出て、今は町までは遠いいけれど孤児院で孤児のお世話をしながらそこで暮らしている。


 僕の奴隷であるカルラも当然一緒に暮らしていて、孤児院の兄弟たちを毎日相手にしているせいか、今では笑顔も普通に見せてくれるようになっている。

 また奴隷は身代金を支払うことで自由の身になれることを知って、カルラを奴隷から解放しようと話を持ちかけたことがあったんだけど、僕の奴隷でいさせて欲しいと断られてしまった。 理由を聞いても答えてくれないんだけど、奴隷は主人のある程度そばにいないといけないなんていう制限のせいで、今もカルラは僕とダンジョンに潜らないといけない。 よっぽど戦いが好きなのかな?



 それとあの時に生き残った人たちだけど、メーデイアさんは、元の職務をしているらしい。 あれ以来会うことがないから詳しいことはわからないけど。


 ギルガメシュさんは相変わらず新たに購入した奴隷を連れてダンジョンに潜っている。 今も不動のトップパーティだ。


 リセスドさんはダークゾーンが封印されたのを機に霊峰の町を去っていった。 メーデイアさんにパーラメント一族のその能力が買われて、ハサンの関係者の捜査を手伝っている……っていうのは極秘事項だった。


 アラスカさんは封印のあとダークゾーンの報告に7つ星の騎士団領に戻ってからは会っていない。 というよりもキャロを失って茫然自失になっていたあの時の僕に声をかけられなかったみたいだった。



 そして僕はカルラとディルムッドの3人でダンジョンに潜っていて、トップパーティの1組になっている。

 パーティリーダーは僕に任されていて、チーム名は未だにないままだけど3人だけのパーティのため、しょっちゅう加えて欲しがる冒険者が後を絶たない。

 ちなみに他人仰々しいのはやめてくれって事で呼び捨てで呼ぶようにはなったけど、ディルムッドは僕よりも遥かに年配だから未だに抵抗はあるけど、案外気さくで仲間になってみるとドラウの概念が覆るほどだった。


 それとサハラ様が去り際に抜刀と同時に『(オーラ)』を放って倒す技を、居合術又は抜刀術っていう技だって教えてくれる。 名付けるなら居合斬りだっていうから、そう呼ぶことにした。

 そして通常、僕が『(オーラ)』で斬っている戦い方をするクラスをサムライって言うんだそう。 やっぱり世界(ワールド)守護者(ガーディアン)だけあって詳しいなと思ったんだけど、あとでオーデンさんに聞いたらそんなクラスは聞いたことがないって言われたんだけどね……



 で、ついこの間までダンジョンにいて今は町に戻っているんだけど、町に戻っている間も(キャロン)だけは常に帯剣するようにしている。

 また町には冒険者たちが戻ってきて昔の賑わいを取り戻していた。





 孤児院で僕とカルラで兄弟たちの相手をしていると、2人組の見知らぬ冒険者が僕たちを訪れる。



「『(オーラ)斬りのマイセン』さんですかぁ? ぜひ私たちお、仲間に加えて欲しいのですがぁ」


 2人とも女性で、妙に身体をクネらせながら色香で迫ってくる。

 こういう冒険者もこの約1年でも数多く見てきたし、強さをアピールしてくる冒険者も中にはいた。



「ゴメンなさい。 今のところ仲間の募集はしてないんです」


 そしておきまりの言葉で断るのも、もうそろそろ飽きてくる。 もちろんそれで簡単に引き下がってくれれば楽なんだけど、なかなか引き下がらない冒険者がほとんどだ。

 そして僕たちのパーティにそうまでして加わりたがる理由は、僕のこの刀技を習いたいかららしい。 とはいえ、どう教えていいかわからないんだけどね。

 それに因んでか、町では僕の(キャロン)を真似て作る鍛冶屋も増えていて、真似をする戦士も増えてきた。




 そして日も暮れ出して暗くなってきた頃、僕が1人で孤児院の後片付けをしていると1人の人が近づいてくる。



「ゴメンなさい、仲間なら募集してません」

「ふふっ、だいぶ立ち直れたようで良かったよ」


 懐かしい声が聞こえて顔を上げると、アラスカさんが立っていた。



「アラスカさん! 久しぶりですね」

「君の噂は町で聞かせてもらった。 かなり人気なようだな」

「あはは……それよりアラスカさん今までどうしていたんですか?」


 そういうと頬を指で掻きながら、僕に会いに来たなんて言ってくる。 ということは当然ゼノモーフ、またはハサンの件だろう。 僕は真剣な表情で頷いた。



「僕もずっとこの日を待っていました」

「ほ、本当か!?」

「当然です! この時をずっと楽しみにしていたんですから!」

「そ、そうか! 楽しみに待っていてくれたのか!」

「はい! それで、どうするんですか?」

「ど、どうするって……私にそれを口にしろと言うのか君は」

「当然です!」


 アラスカさんをまっすぐ見つめて、僕は言葉を待った。



「と、ととと、とりあえず今日はもう遅いしだな」


 そうか、よほど重大な作戦……だとしたらアラスカさんの言う通り焦るのは良くないのかもしれない。



「そうですね大切なことですし、それでは……明日ならかまいませんか?」

「そ、そうだな。 それにしても……ここ約1年で君は随分成長したというか、強くなったな」


 そりゃキャロの仇を取るために力はつけてきたつもりだけど、それをこの短時間で見抜くアラスカさんはやっぱりさすがだ。


 アラスカさんに明日待ってる事を言って孤児院に戻ろうとしたんだけど、孤児院の入り口にシスターテレサがいてアラスカさんに泊まっていくように言ってくる。

 少し迷ったようだけど、アラスカさんは泊まっていくことにしたようだ。




なんとか大幅修正も完了しました。

ここから先はシリーズで見ている人はいろいろな憶測が出てくるかもしれません。

過去の作品で気になっていたであろう部分に触れていきます。


次話更新は明日の予定です。

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