見つかったもの
自覚しちゃうとなんだか歯止めが効かなくなったみたいで、僕からキャロを抱き寄せて口づけをしまくった。
「な、なんかマイセンがすごく積極的でびっくり」
「うん、ずっとこうしていたい。 好きだよキャロ」
ふにゃ〜となってくっついてくるキャロがまた可愛い。 と、抱きしめてるとキャロの尻尾に縛り付けられて身動きが取れなくなった。
「何を?」
よく見るとキャロと僕の胴に巻きついてぎゅうぎゅう締め付けている。
「なんだか尻尾まで巻きつけたくなっちゃった」
えへって笑顔を見せてきて可愛い。
となれば尚の事ここから出て、どこか僕たちを知らない場所で暮らしていきたい。
「キャロ、ここからなんとか出て、誰も知らない土地で一緒に暮らそう」
「本当に? 本当に本気で言ってくれてるの? こんな手と足に尻尾まであるのに?」
「そんなの獣人族と大差ないよ!」
「嬉しい! でも、きっとダークゾーンの先には誰か待ち構えているよ?」
ダークゾーンから僕たちを認識できるのはアラスカさんだけだ。 それ以外の人だった場合、なんとか強行突破できればいいんだけど……
「マイセン様!」
そんな甘い2人の時間もカルラが走って戻ってきた事で終わりを告げる。
何かを見つけたようで、僕に頭を下げてから報告してきた。
「ハサン様の死体がありました」
どうやらハサンさんはここを抜け出す事はできなかったようで、仰向けになって死んでいるのを見つけたらしい。 そしてその側にはフェイスハガーの死体があって、胸はチェストバスターが飛び出した後だったらしい。
「言い様よ、あいつが余計な事をしてくれたせいで私はこんな身体になって、みんなに化物呼ばわりされるようになったんだもの」
キャロが怒りをあらわにしながらそう言って、僕もハサンさんがガラシャさんを殺さなければ、キャロは今頃は今まで通りだったんだと思うと正直ざまぁみろって思った。
だけど、カルラが続けた言葉に何か嫌な感覚がよぎる。
「その……実は側にあったフェイスハガーの死体の形なんですが、私が見知ったものと違った形状をしていたのです」
まさか女王?
でも蟻や蜂は女王が死ねば、それは巣の終焉だったはず……まてよ、ここに来た時は既に女王はいなかった。 にもかかわらず生き続けたという事は、増えこそしないけど減りもしない? でもそうするとあのムカデたちでは、増える事はできないっていう事になるみたいだ。 もしかしたらあのムカデたちが卵にされていた?
よくわからないけど、フェイスハガーが寄生できる対象が現れれば女王もまた新たに誕生して、増えようとするといったところなのかな?
でもそうなるとここはキャロの巣のはずだとしたら、そこに新たな女王が産まれたらどうなるんだろう?
「マイセンどうかしたの?」
「うううん、なんでもないよ」
大丈夫、この巣はキャロが今は女王なんだから、仮に現れたとしても従うはずだ。
それよりも……
「ねぇ、あの時僕たちを逃がすために残った2人のせめてドッグタグを拾っておきたいと思うんだけど……どうかな?」
もちろん場所が分かればなんだけどってつけくわえると、キャロが大丈夫って答えてきた。
「もとよりそっちに向かっていたから、ほら、あそこが入り口」
どうしてそこに向かっていたのかはわからないけど、ダークゾーンを抜けて大広間に出てからゼノモーフに囲まれた場所は、結構歩いてからだった。
「どうしてって顔をしてるね?」
僕の考えがわかったようでそのキャロが理由を話す。
キャロは僕が一緒に来てくれなければ、せめてここにいるゼノモーフたちを倒して死のうと考えていたみたいだ。 それがどこまで本当なのかはわからないけど、口ぶりからすると今の姿になってからのキャロは色々と自信に溢れているようにも見える。
キャロについていくと、カルラが今手にしている槍の元となったゼノモーフの3体の死体のある場所まで辿り着いた。
『気』を感じた僕が身構えて見つめる先には、ディルムッドさんの倒れている姿があった。
「ディルムッドさん!」
次話更新は明日の予定です。




