表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

有名税

作者: 水戸 祥平

「すみません、山本智花さんですよね?」

背後から女性に声をかけられた。

「あぁ・・はい、そうですが・・」

私は、迷った挙句白状した。

「あの・・・握手してもらっていいですか?」

ファンらしき人物が申し訳なさそうに聞いてきた。私は、仕方なく握手した。

「あと、ここにサインしてくれませんか?」

ファンらしき人物は、さらにお願いをしてきた。

「すみません、プライベートなので、勘弁してもらってもいいですか?」

私は、丁重に断った。ファンらしき人物も理解したようで、「頑張ってくださいね」と一言残し、去って行った。

この手の輩は、非常に多い。ろくにファンでもないくせに握手やサインを求めてくる。本当のファンならば、イベントなどに来ればいいと心の底から思う。



次の日の、ネットニュースに私の記事が上がっていた。

『山本智花!握手はしてもサインはしない。』

内容を見ると、昨日のファンらしき人物が、私に握手とサインを求めてきた事が一部始終記されていた。

”何これ?こんな事がネットニュースになるの!?確かに最近ドラマの出演数が増えてるからってこれは、ないんじゃないの!?”

マネージャーに今回の件を尋ねても事前に聞いていなかったようだ。

「今後ないように言ってもらえる!」

マネージャーを叱責した。

「わかりました。週刊誌には、私から注意を入れておきます。すみませんでした。」

マネージャーは、平謝りをした。

”本当にコイツ使えないわ!何年マネージャー業やってんのよ”


その日の夜

今日は、内緒で付き合ってる彼氏とイタリアンを食べに行った。裏口から入れてもらい、個室で食べてたから、絶対にバレない。

その後、彼の家に泊まり、朝になって家に帰った。


帰った後、マネージャーから連絡が入った。

「何よ!こんな早くに!」

私は、バカなマネージャーを怒鳴った。

「昨夜、男性の家に泊まられましたか?」

私は、動揺しながらも答えた。

「それが、何なのよ?」

マネージャーは、答えた。

「明日のネットニュースに上がるそうです。」

私は、顔真っ赤にして怒鳴った。

「馬鹿じゃないの!それを止めるのが、あんたの仕事でしょうが!私は、これからなのよ!どうしてくれんのよ!」

「それが、できないからお伝えしているんです。どうされますか?」

マネージャーは、淡々と答えた。

私は、しばらく沈黙して、答えた。

「シラを切り通すわ」


次の日のネットニュースは、私の話題で持ちきりだった。しかも私の彼氏は、既婚者であったことも手伝って、私の仕事は、イメージダウンにより著しく減った。

さらに連日、ワイドショー、週刊誌、ネットニュース等で私は、プライベートもなくなり追い回され、ネット上で叩かれ続けた。

妻子ある彼は、私をふって別れを告げてきた。

私は、仕事も彼もなくなり憔悴しきった。



数ヶ月後

社長から事務所に呼ばれ、事務所との契約期間も切れてしまい、事務所サイドは、私とは契約更新をしない方針である事を社長から告げられた。

帰り際、ふと事務所を見渡した時、新人女優のリストが目に入った。

見覚えのある女性の写真があった。担当マネージャーは、元私のマネージャー。

よく見ると、数ヶ月前、私に握手とサインを求めてきたあの女だった。

まさか、マネージャーとこの女は、グルだったの!もしかしたら、週刊誌に情報を流したのは、マネージャーの差し金?

もしかしたら、不倫現場をリークしたのも私のマネージャーなの?

マネージャーを問い詰めようと事務所内にマネージャーがいるか探したがいなかった。マネージャーに電話をした。

「全部あなたが仕組んだことだったんでしょ!?」

私は、激怒した。

マネージャーは、冷静に答えた。

「何を仰っているのか、私にはわかりませんが、あなたは、沢山の方々に嫌われていたことは、確かです。」

私は、今まで周りの人にしてきた事を振り返った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ