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警笛
「それじゃ、駅長。もう時間なんで・・・」
「え?、あぁ、気を付けて」
私も一緒に塩田運転士の後に続きます。
「出発!進行!」
発車ベルスイッチを捻ります。
ジリリリ!
「お待たせしました!まもなく発車しまーす!時機よーし!」
ジリリリ!ジリン・・・。フィーー!
改札からお客さんがいないという合図を梢ちゃんからもらい、私はもう一度、信号を確認します。
「出発!進行!発車ー!」
緑旗を高らかに振り、車掌に合図を出します。
プシュー、ガラガラ、ガッチャン・・・。ファーン!
「それじゃ、気を付けてね」
「はい、いってきます」
車掌に敬礼し、列車を見送ります。
「後部よーし!進路よーし!」
列車は霧の中に消えていき、少し胸がきゅっとなりました。
もう、来年はないんだな・・・。
鉄橋から列車の音がどんどん小さくなります。
ファーーン!ファン!
私はその警笛に小さく敬礼をしました・・・。