ドロシーとレイアとルナルティアに
「うわあーい!! ルナルティアだぁー!」
妹とルナルティアに来た。
此処は年がら年中変わらず、無駄にキラキラキラしている。
パープル色の過多な電飾を太陽光のように精一杯浴びて、走り回り伸びをするように胸張って走る少女。
「ふん、妬ましい奴だ、足でも引っ掛けてやりたくなるね」
冒険家きどりなのか、カメラを首に紐で引っ掛けて、パンフみたいなのを手にぶら下げている。
「お兄ちゃん! どうしたの?」
「おまえがお兄ちゃん言う夏野」
隣を歩く姉が、妹を微笑ましげに眺めながら気持ち悪く甘い声を出したことに戦慄を禁じえない。
「別にいいじゃない、姉がお兄ちゃんって呼称を禁じる法律はないわ」
「ないなら俺が一存で制定する文句あるか?」
俺がそう言うと、スルーか口元に手を当てて微笑。
「姉貴はむかつくな」
「弟ほどじゃないわ」
「前から思ってたんだが、その弟って呼称やめないか?」
「嫌よ、弟を弟って呼んで、どんな不都合があるのか?
速やかに端的に的確に説明しない限り、私は一生あなたを弟って呼ぶつもりだから、そのつもりでね」
「心の底からむかつく姉貴だ」
俺は拗ねたみたいに頬を膨らませることで答えた。
「馬鹿みたい、あら、ドロシーが帰ってきたわ」
「レイアお姉ちゃん! タクミお兄ちゃん!」
「ちょっと待った」「っうみぃ」
俺は妹のつむじを抑えて、犬に待てをさせるようにした。
「序列が違うだろ? 俺の方が偉いんだ、先に俺の方を呼ぶのが礼儀だ」
「この弟は頭が可笑しいのかしらね、ねえ? ドロシーもそう思うでしょう?」
妹は円らな瞳ぱちくりさせて、なぜか俺に抱きついてきた。
「あっはっは! どうでもいいよぉー! それより見て見て! ドロシー此処行きたいんだぁ!」
溜息を付く、本当にマイペースな奴だ。
天然なのか頭の中にお花畑か地球外の幸せ電波を受信する基地でもあるんだろ、始末におえん。
「おお! ええなぁ!」
俺は突如テンション上げて、妹の手からパンフレットを掴み取る。
「ほらほら!どこ行きたいんやぁ! どこでも好きな所連れてったるでぇ!」
「うわーい! ドロシー此処が一番!一番最初にいきたーい!」
まるで奇跡的に仲良しの兄妹のように、ドロシーの隣で中腰でパンフを見合いあーだこーだ。
「あはっは、ドロシーは可愛いなぁ! 天使だなぁ!」
すると背後から威圧のような二つの膨らみが、肩の辺りから俺を圧迫した。
「ちょっとちょっと、さっきまでの弟はどこに行ったの?
二重人格なの? それとも多重人格? どっち?」
「ふん、そいつならもう死んださ墓の下さ」
「ああそう、ふん!」 「きゃ! あわわぁ!!」
俺の隣に寄り添うように居た妹を、姉が取り上げるように抱きしめて簒奪した。
「駄目よドロシー、この変態兄はロリコンだから、過度な接触は御法度」
なんて言いながら、妹の絶品卵頬を自らの穢れた頬で頬刷りしている、マジでガチで殺してやりたいんだが。
「ええー、大丈夫だよぉー、お兄ちゃん、ドロシーに酷い事しないもん」
「そうだそうだ、馬鹿が、不名誉な汚名着せんじゃねえよ。
つーか、てめぇーがヤバイ系のシスコンだろうが」
言葉が過ぎたか、姉がこちらを睨んできた、普通に怖いくらいの威圧感。
「駄目です、幾ら兄妹だからといって、男女の過度な接触は軽く一線を越える切欠となります」
断定口調、目がマジだが、演技かどうか見極めるスキルは俺にはなかった、妹もちょい怯えてんじゃねーかふざけんなよこの駄馬が。
「おいおい、幾らなんでも大袈裟風ふかしすぎだろ、大丈夫だ、俺を信じろ姉貴」
「やだよぉぉー、ドロシーお兄ちゃんに抱きつく感触大スキだし、やめられないよぉ~レイアお姉ちゃん許してぇ?」
姉の胸元に監禁されている妹が、俺からは見えないが、おそらく瞳から許してオーラみたいなの出している。
「うぅ、、、いや、駄目だ」
それでも屈さないか、頑なだ。
だが俺は狼狽した姉の隙を逃さず、アクロバティックにサイキック的に一瞬でひょいと妹を再奪還した。
「うるせえ! 兄が妹とイチャイチャして悪い道理なんて何処にもない!」
さきほどの愛の告白にも似た言葉通り、妹の大好きなハグしてやると、この世の幸福を詰め込んだような表情を返してくれた。
「えへへ、お兄ちゃん大好きだよぉ、、あ、お姉ちゃんも大好きだよ?」
途中から気遣いを見せるあたり、この妹も完全に天然じゃないなーと思う、そりゃま当然だが。
「ふわはっは、俺の勝ちだ! 姉貴!!」
「はあ、調子に乗ってぇ、もういいわ、ほどほどにするならね」
「ああ当然だ、俺はほどほどにするに掛けては空前絶後の天才だからなぁああ!!」
「あっはっはーー! 天才だぁあああ!!」
空に向って拳掲げる挙動が可愛いなぁ!さて、妹を愛でるかと思ったら、また背後いや横から姉が割り込んでくる。
「んだよ」
「変な匂いがするわ、ああ、ロリコンで腐った弟のモノだわ」
もういい加減にしてくれツンデレか、俺は妹の素晴らしさを堪能したいツーに。
「なんだ? 寂しいのか? もう散々構ってやっただろ、お前の行動ポイントは尽きた、また明日な」
「嫌よ、それにしてもなんでかしらね? こんな完璧鋭利な美女姉にメロメロにならない弟は断定的に変よ?」
「性格ブスなんだろ、残念女だったな糸冬了」
俺の口上に機嫌を悪くしたか、自慢らしい胸をさらに腕に押し付けてくる。
「ふん、」
どうだ参ったかとばかりに、上から目線の挑発的な瞳に苦笑気味の微笑、その顔歪ませてやりたいね。
「しゃーない姉ちゃんだ、俺の両手の花に加えてやるから、機嫌なおセナ」
あたまポンポン、ガキをあやす様に溜息付きつつ撫でてやる。
「そ、それでいいのよ、初めから素直にしていればいいのよ、わたしを可愛がりなさい」
突然のデレに一瞬撫でる動作を硬直させるが、まったく動じた風も無く動作を継続、溜息もまぜる。
「で、それで、コントも終わり、放っておいて御免な、ドロシーどうする?」「コントってなによ」
「うん? どうするって?」
瞳ぱちくり、黙って俺達見ていた妹が首かしげる。
「どっか行きたいところあるか?」
妹はぐぅぅぅぅっと考えるように首傾げながらアニメみたいに腹の音を鳴らせた漫画か。
「えっ、えへへへぇ、、、お腹へちゃった、、ああ!!!あそことか行きたいなぁああ!!!!」
恥ずかしそうに逃げ出すような速さで、目に付いた食べ物屋に飛んでいく姿は清清しい。
「さて、そろそろ昼時だし丁度いいな」
「ねえ弟的には、あの妹の姿はどれくらいの萌なの?」
「姉のほうこそ、どのような評価裁定を下すんだ?」
「愚問ね、常にドロシーは最高中の最高よ、100点満点中の100点よ」
「そうか、俺は萌え死にそうだったから、100点を越えた120点を評点してあげたいね」
とそんな下らないやり取りをしつつ、なんか凄く脂身たっぷりな肉って感じの店屋に俺は入って行った。
”兄妹姉”に最適な読み仮名についての件




