‐3(館に行かない)
「ほら、どうしたの? 行くよ?」
「いや、行かないよ」
彼女はつまらなそうな顔をする。
「へえ、そういう態度とるんだ。
まあ、普通にありえる、というより、それが当たり前、当然の常識的対応ですよね」
非難するような目を向けられる、ジッと見られる。
「それじゃ、こうしません?
どうしたら行く気になりますか?」
考える、特に考える間でも無い。
「行かない」
「強情ですね、いい度胸ですよ、それ。
はいはい、凄く思い通りにならない感覚、あはっ、イライラしてきちゃった」
彼女はポケットから何かを素早く取り出して、後ろ手に隠した。
「ほら、行きましょうよ?」
「行かない」
「ふぇーん、そればっかり、泣いちゃいますよ?」
「・・・・」
「まあ、そうですよね。
でも、それって、典型的な詰まらない対応だと、思いませんか?
こんな状況下で、ありきたりに、そんな態度、誰が進んで予測しますか?
いいじゃないですか、手を取り合って中に入ってくれても。
そういう超展開があって、何が悪いんです? 意味が分かりません」
「・・・・・」
「あー、どうせ無限に拒んでれば、無限に催促する、そんなプログラムと、もしかして思われちゃってます?」
「・・・・・」
「いい加減、殺しますよ?
いいんですか?
何もしないうちに、私にグサッと、本当にリアルで刺されてしまいますが、このままだと」
「・・・・・」
「あれ、これは殺害許可ですか? やったぁー、いえーい」
彼女は驚くほどスピーディーな動作、速く鋭く、後ろ手を突き出してきた。
それが腹部に押し当てられるが、特に何も感じない、そこには手をグーにしたモノがあるだけだから。
「もしかして、バレてました?」
「うぅ、、、ウああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」
失禁した、あの死を思い出せば、誰でもこうなると、思う。
麻痺していた感覚が蘇り、振り返れば、身の毛もよだつ。
「なんですか? 今までの態度は、そういう事なんですか?
というより、汚いですね、、、漏らさないでくださいよ、、どうしてくれるんですか」
困った顔で見てくる、恥ずかしいという気持ちもなくなかった。
「うぅぅぅ、、、」
ベンチに座って、ずっと泣いている、あの記憶はトラウマ以外になりえない。
「ざっこ、あんな程度の死で、こんなに壊れるなんて、下らない人生生きてたんでしょうね」
ジロッと、彼女を睨む。
「へえ、良い目しますね、恨むことは慣れてるんですか? ポイント高いですよ」
「犯してやる」
本気でそう思った、と見せかけて脅迫して怯えさせたかった、なにか仕返ししたくて堪らなかった。
「馬鹿ですね、そんな下らないエロゲーかエロ漫画みたいなクソシナリオに、させるわけないじゃないですか。
やめてください、建設的にいきましょう」
「殴っていい?」
「駄目ですね、少女を殴るなんて、わたしの趣味では在りません、まあ逆なら、普通にありなんですが」
「勝手な奴」
「ええ、勝手が服着て歩いてます」
なんとか、したかった。
「なにしてるんです?」
濡れた服を脱いだ、投げつけた、なんか変なバリアで弾かれた。
「はぁ、、はい、新しい服ですよ」
何もない空間から服、ポイッと投げつけられる。
「本当にしょうがない、下らない人ですね、消滅させてやりましょうか」
ビビリながらも、虚勢を張る。
「怖いこと言うんだな」
そこで、彼女は何かを切り替えるように手を叩く。
「さて、お喋りはこれくらいにして、マジで行きますよ、さっさとね」




