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deep forest の図書館俯瞰記録

 

 

 この世には、まだまだ無上に知らなければいけない情報が腐るほどある。

 生涯において唯一無二、超一級の名作と、心の底から思える物語を、貴方は幾つ知っているだろうか?

 しかし、それはこの全世界において、氷山の一角にすら、果たして成りはしない。

 世に広く広まっていないだけで、密かに眠るモノの方が圧倒的に徹底的に大多数なのである。

 その大多数を、広まってる少数派も含めて、全て美味しい所取りで堪能するように耽溺できるのが、此処だ。

 

 deep forest


 此処は森の中の、広大な建築物群であり図書館。

 どういう仕組みかは一切不明不鮮明。

 とかく、世界全体をあらゆる俯瞰し、要度の高い物語が一切の掛け値なしに漏れなく集められる場所。

 つまり、ここにある物語は、全て超がどれだけ付くか分からない一級品揃いなのだ。

 古今東西和洋折衷、あらゆるジャンルの区別無く、分類無く、一定で娯楽性が高ければ此処に補足される。


 だが、ここの主は一切の満足感も、およそ抱かない。

 彼彼女は、上位世界の、絶対に上に位置する領域の出身者、あるいは出自者。

 なので、彼彼女にとっては、此処にある物語以上の物語を、

 また漏れなく一切の記憶違い無しに、脳髄に収めているがゆえに。

 彼彼女を喜ばすような物語は、史実まだこの世界に一度も発生していないのである。


 此処が、世界の中心、全てを飲み込む、グランドゼロ、だ。

 

 感動的にそのような音声の台詞が空気中を振るわせた。

 確かに、常人にとって、ここは超常空間、基底現実を幾らも上まわった、高次世界。

 もし誰しもが、ここの存在を正確に知れば、死ぬ気で群がること必定なのである。

 彼も、ある意味で、既に高次元生命体である。

 此処にいれば、誰でもそうなる。

 誰よりも高次元な世界に生きていれば、必然的にそうなるように、

 彼の脳髄はある意味で、人類一を冠するに相応しい状態だ。

 彼は、この基底現実では絶対に到底不可能な領域の、高次元な現実を知っているがゆえに。


「流転する日々に終わりは無く。

 ただ絶対の永遠が無限に続いていくだけ、それが唯一の真理」


 そのような法則の中、一人の少年と少女がいる。


「彼、パンドラの箱を開けてしまったわ、可愛そうに」


「うん、始末しないとね」


 彼と呼ばれた存在は、この世界の一法則に反した。

 反する法則は、世界の絶対永続性。

 

「世界は、完全に完成してはならない。

 なぜなら、絶対に不完全な完璧さは、欠落によってのみ生じるのだから」


 世界が、ひいては存在が在り続ける為には、それは必須事項だ。

 簡単に簡潔に言えば、全知全能になれば、

 生きていても意味が無い、その瞬間に全てが完結して、遍く終了するのだから。

 

「完璧な世界は、何かが決定的に致命的に欠落した、ゆえにのみ存在が可能で許される。

 だから、真に理想的な世界、そんなモノは絶対に望めない、そういう事かい?」


 それは、真に理想的な存在でも事足りた。


「いいえ。

 絶対に不完全、補えない無上の欠落を抱える、故に、絶対の完璧さを持てるのです」


 その絶対の完璧さが、誰もが望む真の理想とは、無縁な程に遠いのだが。


「永遠を人間として生きるには、無上の渇望、欲望という糧が、常に溢れるほど必要だからか」


「そう。

 生きるという、重大なスリルを味わう代償に、私達は常にもえ続けないといけないのです。

 死にたくなければ、死に続けなければいけない、殺され続ける日々を感受しなければいけない」


 確かに、スリルは致命と紙一重、生と死もまた、同様の位置づけにあるのだ。


「ふん、とりあえず彼は始末だ」


「ええ、彼はもう生きていられない、生きていられては、世界に綻びが生じる。

 一線を越えてしまったバグは、放っておけば世界を飲み込む可能性すら厳然とある」


 世界の紙一重の危うい均衡とバランス、それを保つ為と彼彼女は言っているようだ。

 果たして何ものなのか、既知人類には想像もつけない、何か、なはずだ。

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