塔の館、最終形態
無限の思考力など、必要が無い。
無限の思考力で、至高の娯楽を想像すれば、それで終わりだからだ。
俺が望むのは、ただただ唯一無二の少女、そうシャルロットだ。
この眼前で、主人であるこの俺に対して、不遜に睨みを返す女を、俺の全てで完全に屈服させれば、
そう、それだけで無上に満たされながら、無限に生き続ける事ができる、そういう確信があるのだ。
この女が怯えた瞳で、俺の一物で串刺しにされながら密着して、
あの細い指先の爪に、ちょっとづつ釘を押し込み、懇願の悲鳴を裏切りながら、押し込む、
押し込んで押し込んで、涙に濡れて、絶頂して、この世で最も美しい、歌姫の悲鳴を、俺は拝聴する事を望む。
「ねえ、どうして、あんたは生きているの?」
俺は無限に近い、限りなく無限の思考力で、こいつを上回る策という策を練っているのだが、
こいつに、こんな台詞を言われれば、思考のリソースを割かざるを得ない。
俺は矛盾しているようだが、誰よりもこの少女に無我夢中で、一時の会話にすら全てを捧げたいと思っているのだから。
「お前こそ、どうして生きているんだ?」
「知らないわよ、とりあえず、あんたに屈服され続ける、
無上なほどの苦痛と、自尊心の削減、敗北と屈辱を刻みつけられる為じゃないのよ」
「俺によって、無上なほど、至高領域の快楽という快楽を貪っておいて、その言い草か」
「別にわたしが欲しいと言った覚えはないわ、
あんたによって、強制的に、半ば、この身体に刻みつけられたモノでしか無い。
尊厳というのはね、私の一存によってのみ、捧げられるべきものでしょう?」
「お前の尊厳は、俺のモノだ」
「貴方にわたしを、あげたつもりはないのだけど?」
「あげたつもりはなくても、絶対の所有権を、俺が持っているつもりなっているのだから、無駄な話だ。
俺は問答無用で、お前をよこせと、お前の意見を無視して、連れ去り蹂躙するだけだからな」
「ホント、救いようが無い人、
私なんかに、そんな大層な価値を見出して、私は迷惑で溜まらないのに」
というより、こうやって普通に会話で来ているのが、可笑しいのだ。
あの夜、
この女には、本当に掛け値なしで、凌辱という凌辱の限りを尽くしに尽くした、はずだった。
完全に俺に全てを捧げるしかない、そういう状態にした確信がある。
俺に怯えて、
俺無しでは生きられない身体と心にした、
俺という存在を、この女に刻みつけて、完全に魅了した、はずだったのだが。
「おいシャルロット」
「ええ、あんたの言いたい事は、大抵わかるわ。
確かに、恨んでるわよ。
でも、それだけ。
だって、あんたって、私よりも上位存在じゃないから。
わたしは、ただただ嫌な事をされただけ、
あんたを絶対に殺してやるって、そういう憎悪を、あんたは募らせただけ、ごくろうさま、そしてお疲れ様。
絶対に殺すから、覚悟しておいて」
「お前は、最愛の存在に、そのように袖される男の気持ちを、すこしでも考えた事があるか?」
「いいえ、
わたしにとって、貴方は路傍の石ころ程度の価値もない。
ただただ、殺したい対象でしか無い、障害なのよね、残念よね、貴方にとって」
ああ、そうか、そういうことか。
見下して、軽蔑して、認識する価値もない、意味もないと、そういう話か。
「俺は絶対に、お前を惨めで哀れで、
最愛の俺に、必死に媚びて、尻尾振りたくるような、雌豚にしてやるから、そっちこそ覚悟しろ」
「面白いわね、そんな有様になるくらいなら、
まあ死ぬんだけど、死ぬことすらできないみたいだし、全力でお断りするのよね」




