可哀そうな奴が一杯いる件について
「お前、作家になりたいの?」
「ああ、うん、まあ、なれるなら」
全身が、真っ黒な、超絶な美少女だった。
彼女は、服が真っ黒、髪もボブカットで黒、
でも瞳だけは、つぶらで大きくて、青っぽくて綺麗なのだ。
「作家になりたいなら、明らかに異彩な、天才的な発想と、勢いが、まずは何がなんでも必要だな、俺はそう思う」
「うん、自分も、そう思う」
俺は、普段、一人称はオフィシャルでは自分かわたし、プライベートなら俺、
なのだが、彼女が俺という一人称を使う系女子なので、ほとんどのシチュエーションで自分を使う。
「お前に、それがあるか?」
「うーん、どうだろう、、あるかな?」
馴れ馴れしい語り口調で、俺を見つめて、なぜか舌なめずりを何度もして、にししみたいに微笑する、すごく可愛いのだが。
「まあ、そうだな、
俺はお前が大好きだから、お前が成りたいなら、手伝ってやるよ」
「ええっと、その話は、今はいいや」
「なんだ? 俺が本格的に手を貸したら、なんか大変な事になりそうって、警戒してるのか?
だいじょうぶ、だいじょうぶ、そんな大それた事はしねーからよ、多少びっくりする程度に、手を止めておくからよぉー」
「多少、ねえ」
「まあ、そんな事は細事だ。
俺は、語りたい事があるから、ただお前は傍聴しろよ」
そういう話なら、聞くに徹するが俺だ。
「最近は不景気だ、みんな知っているだろうが、実感しているだろうが。
普通の凡人は、二流や三流の使えない無能な凡人なので、
一流以上の仕事、とかに就けないと、ただただ不幸だ、
どこまでも劣化、堕落、衰退、老化して、肉体的にも精神的にも知的にも、
ただでさえ恵まれない、不幸な、孤児みたいな有様なのに、
さらに低スペックになって、勝手に不幸になって、世の中を、世界を社会を他人を、呪って、恨んで、
どうしようもな、ゴミ屑に、なる。
昔は良かったよなぁー、
日本はガチ勝ち組だったので、凡人も一流以上の仕事につけてたんじゃないかぁ?
馬鹿みたいに金が有り余ってたろうから、アニメの円盤とかCDとかも馬鹿みたいに散財のついでで売れてたんだろう。
今の世の中は、本当に不幸な奴が有り触れていると思うね。
周りを見てると、もちろん道とかを歩いているって意味でだ、俺の周りは馬鹿みたいなゴミ屑みたいな勝ち組が多いので例外な、
日本は、既に三人に一人くらいは老害で、害悪分子で、負債を抱えさせるような有様だ。
そして負債を抱えて、苦労を抱えて、人生のリソースを失ってるような奴が一杯いるから、
余裕のない、将来も暗い、未来もない、
仕事も不安定な、ゴミ屑みたいな奴らが溢れている、世界がどんどん腐っていくのだ。
もちろん、日本はまだまだ先進国だから、借金まみれでも、手段を選ばなければ、どうにでもなるって余裕があるがな、
でも、できれば手は汚したくないだろう、
東側陣営のように、強化人間を量産して、人工的な天才を、非人道的な手法で作れば、簡単に全部解決するだろう、
もちろん、世界を滅亡させるレベルので、負の遺産が生まれるかもしれないリスクもあるが、
まあリターンに比べれば、無視できるレベルだろうよ、
例えば、発展途上国から、労働力を持ってくりゃいい、
ジリ貧の戦場のように、どうしようもない、ただただ不幸に絶対的に100%確定的になるしかない、
そういう恵まれない、不幸な奴らは、
日本が拾ってやるだけで、日本は命の恩人として、そいつの人生を一生を手に入れる、
ハッキリ言って、そんなの一時の恩で、人生の全てを簒奪する、人生の寄生虫のような、汚いやり方だが、
それが人情であり、それが厳しい、厳格な現実って奴だ、
命を助けられたんだから、命を差し出すのは、半ば以上で、当然の摂理なのだ、
これに意見を言える奴は人間にはいない、神のような存在だけだ、そして神がいないから、世の中は無上に終わっているのだよ、
まあ、日本は順当にいけば、高確率で勝ち残る、少なくとも今生きてる奴が、死ぬくらいまでは大丈夫だろ、
てめーらは、
おそらく、突き抜けて不幸にはならない、
だから、不幸な状態でも、我慢しろ、甘んじろ、それ以外に、およそ選択肢なんて、ないんだからな。
幸福になろうとか、一流以上になろうとか、今さら考えるな、遅すぎる。
お前らは現状で、既に最上レベルの、幸福を掴み取っているのを自覚しろ。
そういう事を悟り、自覚せず、現状を打開しようと努力するのが、さらなる不幸を招くと覚えておけ」
満足に満ちた顔で、彼女は、そういうこと、こういう事を語るのだ、ドヤ顔で。
「それで、作家になりたいって話に戻ろうか」
「いや、それは、まあ、いいよ」
「駄目だ、作家になりたいんだろう? 認めろよ、そういう気持ちがないなら、そんな事を俺には言わないんだからさ。
でだ、
俺は作家になりたいとは思わないんだが、って件だ。
もちろん、世界を変えられたり、強い影響を与えられるレベルの、特級の作家としての才能があるなら、
多少は面白そうだ、
だけど、そうじゃない、だから、ならない、ってわけだ。
人間としての知恵を極めたいとかなら、まあ知的労働だから、金にもなるし、いいのかもしれない、ってのは分かる。
だけど、知恵を極めるなら、実務や仕事で、他にも腐るほどあるだろう?
金の件についても、それは言える。
ハッキリ言って、今の世界は、馬鹿と低次元な世界と人間が溢れてるんだ。
ちょっと他人より頭が良ければ、
そういう馬鹿共の上位に立つか、馬鹿どもから搾取するような形で、腐るほど金なんか手に入るって、
まずは、この真理を妄想でもいいから、覚えておけ、
頭を良くする為には、こういう発想が、他人を出し抜く為の、為にも、致命的に勢いが大事なんだからよ。
でだ、作家になるのは、現状、あんまり良くないんだ。
だから、編集者になりたい、なら、多少は俺も分かるんだよな。
作家っていう、一応のハイブレインを操って、出版社っていう、壮大な世界群を、創生するって、
俺は確かに面白そうだと、思っちゃうんだよなぁー。
一冊の本なら、風化する、でも、一社の出版社なら、風化もしないしな、歴史に残るだろ、まあって、そういう事だ。
発想と勢いを、真に生み出したいなら、こういう事を考えなくちゃいけない。
最も妄想が捗ることを考えるんだ。
それは当然、他人を見下す事だし、見下されている他人を想う事だし、搾取の構造を直視する事だ。
そして、それ自体も、事実じゃなくても、現実じゃなくても良い。
多少の誇張や、妄想でも良いから、信じれるだけの現実を、現実として認識すればいい。
そして初めて、突き抜けるような、致命的な危機感、愛する存在、人類の危機的状況が、イメージ豊かに想像できるのさ、
それが発想であり、勢いになるんだからよ」
彼女は、まるで即興でなにか、エッセイを執筆するような感じに語っている様に、俺には思えた。
もしかしたら、彼女の頭の中では、俺との会話は、ついでなのか、どうなのか、
それともエッセイを執筆する、それがついで、なのか、どうなのか、そういう事が、なぜかとても気がかりだったのだがね。
「さて、もちろん、
作家になりたい、と、真に思えないってのも、駄目なんだよなってのも、俺は分かっているんだ。
なぜ作家になりたくないのか、ってのを考えれば、それは明瞭に瞭然に、分かる。
作家にならないのは、作家になっても、意味がないからだ、真の意味で価値がないからだ。
作家になるなら、作家になるだけの意義がなくちゃいけない。
でも、作家になって、物語を生み出しても、凡人じゃ、作家にならない方が良いに決まってる。
普通に金を稼げるし、知恵だて、他で極められる、つまり一生を捧げるほどのことじゃ、そもそもが無いんだ。
世界貢献だって、同じだ。
物語で貢献するよりも、他で貢献した方が良いってこと。
一生を捧げて一つの物語を作るよりも、
たいていの場合に置いて、一生を捧げて、一人の子供でも育て上げた方が、たぶん良いだろ、偉大だろ?
そういうことだ。
もちろん、作家にならない方が良い、このような理由のような事を考えるのは、めちゃくちゃ重要だ、
致命的に大事なんだぜ。
こういう事を知っているからこそ、作家になろうとすれば、ストレスが掛かる、刺激が生まれるって訳だから。
もしこれからお前が、作家になりたいと発想するなら、こういう事を考えて、アシスト補正、勢いにすれば良いって訳だな」




