カヤとシャロとイツキ‐毒会話、後に別荘に行く行く詐欺に会う
「まったく、お話にならないゴミ人間しかいないわ」
「そうだよね、そうだよね、人間って大部分ゴミ屑以下、むしろ世界に対してマイナス価値だよね」
やべえ会話している、目の前の偽妹カヤ、と幼馴染の妹ちゃんシャロ。
「そう思わないかな? イツキも?」
「ノーコメントで「屑があんたはずっと傍聴してろ」「そうだよそうだよあんたいらない!」、あそうすか」
俺はなぜか、この二人とがらがらの列車の中で揺られている。
なぜ、どうしてこうなった!的に考えれば、頭が脳震盪で痛んで記憶が呼び出せない感じだぜクソがぁ。
一見するキャピキャピ語ってる姿は、まあそれなり可愛いな。
黒髪に溢れるあどけなさ、でも瞳だけはなんか暗い感じに濁りを感じないでもない、微妙な妹カヤ。
金髪にちょっとツンデレみたいな印象を与えるつり目、でもこっちも瞳には剣呑な輝きが目立つ、我が親愛なる幼馴染の妹シャロ、だ。
「ホント、こんな俗に八対二の法則が支配する世界において、弱者なんて世界の足を引っ張るだけのゴミだよゴミ」
「うんうんカヤちゃんは分かってるわ、超上だわ。
所詮十分に幸せじゃない、この厳しい世界で蹂躙され尽くすだけの奴らは、自分の為にしか生きないし、反吐が出るわ」
「そうそう、みんながみんな自己保身に走り、保守的に、自分に益を成さない他者に価値を見出せないのよね。
与えられるだけの十二分な溢れる幸福って価値を持ってないんだから当然だけど」
「ホント下らないわ、生命体として生きる価値なし、だって弱者って悪人だからね。
隙があれば他者を蹴落とし不幸にし、己の矮小な自尊心自己愛、幸福の足しにする。
他人の不幸が本当に糧になっちゃう、そして弱いから、糧を得るために手段を選ばないんだから」
「最悪ね、今世今の世界も含めて、なにもかもくっだらない、つまらないったらない。
世界は弱者を気紛れにしか救わないし、総体として救えるだけの力も現状ない。
根本的に人類全体の存在する、生きる目的、幸福の最大化にとって、生来運の悪い弱者は邪魔でしかないわけで、普通に切り捨てられるのが常道」
「べー気持ち悪いわ、生理的嫌悪が止まるところを知らないわって、世界って最悪な権化ね。
だから世界に存在し内包される、強者だって例外じゃないわ、みんな最低、大ッキライだわ。
弱者から搾取して強者に至って、それで最終的には弱者を救えない、世界の構造がそうなのだからね」
「それでも、私達みたいに諦めずに、強者として世界に君臨して、弱者を救うために死力を尽くしてる、そんな強者には価値があると思わないかな?」
「さあ、どうだろう、わたしはカヤが好きだけど?」
「うん、わたしもシャロ好き愛してる、百合じゃないけどね」
そんな所で、会話が途切れた、目的の駅についたのだ。
「あー、ごめん、別荘さっきの会話中に売ったから、いい買い手が見つかったから、ビジネスは迅速にってね」
「おいシャロ、そりゃねーだろ」
「イツキ馬鹿、シャロちゃんに文句言うな」
「うるへえ、こんな辺鄙に来て、それじゃどーするって言うんだ?」
「帰るのよ」
「ばっかぁー、さっさと帰ってなんか遊ぶに決まってんじゃン」
そしてまた電車で揺られることに。
「そういえばイツキ、いやここはお兄ちゃんって言って媚びとこうかな?」
「ああ、なんだ藪から棒にって」
「わたしとシャロちゃん、どっちの方が好き?」
「へえ、それ興味あるわ、曖昧に濁さないで優先順位で答えなさい」
「馬鹿やろうが、選べねーよ、どっちも好きだよ、これで絶対完膚なきまでに勘弁しろ」
「いやぁー、優柔不断男最悪、悪人の権化」
「イツキは最悪な屑ってお姉ちゃんにも言っておく」
「くっだらねーな、お前らやる事がそれしかないのかねぇ!」
「うふ、それじゃお兄ちゃんサービスしてあげる」
電車の角に座ってる俺に、カヤがしな垂れかかってくる。
「暑苦しいから離れろ、マジでな」
「わたしはこんな事しちゃうから」
シャロが立って逆隣、首に腕を回すようにして寄りかかって来る。
「暑い苦しい上に重い」
「重いってっこの最低のゴミ以下のクソ生命体死ね!」
「そうだ死ね死ね! きゃっはっはぁっ!」
あー、なんか凄く疲れるぞコレ。




