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さる観測者と白の聖女と悪落ち黒闇化した最悪最低の大堕天使

 

  

 不幸だった、ただただ只管に不幸だった。

 恵まれない、どこまでも希望の無い、絶望が埋め尽くす人生だった。

 誰も助けてくれない、私は私すら助けることができないから、誰かに助けてもらうしかなかったのに。

 不可視の運命すら、私の敵として明瞭に意識できるほど、

 世界は常に私を攻め続けた、苛み虐め、絶望と苦痛を与え続けたのだ。

 何時か悟った、目に映るすべて、己すらも、敵でしかなく、負の感情が、わたしを真に芯から満たしたのだ。

 絶望と苦痛を、ストレスと負の感情を、無量に与えてくる、吸い出せる、この世界全てが憎い。

 なにもかも、惨殺し虐殺したい、限りある世界を、限り無く、無に帰したい。

 そう、わたしは、絶対の無を望む、いつしか、それのみを一心に考える存在になっていた、成り果てたのだ。


 

 俺は観測者だ、観測者に本来意志も自我も無いらしいが、少なくともそのように見えるらしいが、

 俺はこのように、在る、生きている、まあ、それだけの話だがよ。


「よお」


 声を掛けたのは、黒い目をした少女。

 彼女は、七大世界の方向性において、絶無入りした存在。

 それも、表の世界から、なんの間違いかエラーか、裏の世界、裏の勢力入りした特別種。


「・・・・」


 本来的に言って、世界は優しい、生易しいことに、最後の最後で、存在は救われる、そのように出来ている。

 どれだけ不幸に堕ち続けても、所詮は最後の最後で、愛するに足る存在、世界に救い上げられる。

 そして、その幸福と不幸の落差によって、今までの不幸がどうでも良くなるほどの、幸福に包まれるって寸法だ。

 理屈さえ、全体像さえ把握していれば、負ける事も快感に変わる、負け犬根性が世界を席巻するだろうよ。


「よおって」


 この娘は、そんな優しい世界に裏切られて、こんな場所に放り捨てられた、哀れな少女だ。

 可愛そうで、庇護欲と保護欲のそそられる、そういう存在なのだろう、本来的な優しい世界ならば。

 しかし、こんな場所だったら、もう救われないだろう、

 絶無の、裏の世界には、優しい世界の法則なんて一片も無いのだから。

 

「・・・・」


 少女は、暗い暗い瞳で、俺を見つめるだけだ。

 本当に、可愛そうな奴。

 救いの手を差し伸べても、意味はない。

 絶無に取っては、世界の真の裏側、観測者すら、廃絶の対象なのだから。

 もう、彼女は救えない、救えないほどに、堕ちた、堕落したのだ。

 あとは、もう、無上に不幸に成り続けるだけなんだ、

 そうなんだ、この少女は哀れに過ぎる、見ていられない、観測者の俺ですら、な。

  

「救って来なさい、その子を今すぐに、迅速になるたけ早く」


 今の俺の専属、白のマリア、秩序勢力、大幹部。

 真っ白な銀髪、色白の肌、光り輝きすべてを見通す水玉の宝石。

 容貌はたおやかで凛々しく、慈悲深くも厳格な、壮大な優しさを見るもの全てに与えずにいられない。

 壮絶なカリスマ性、悲壮なほど切実な想いを内包し、溢れる魅力がそのまま存在性と至っているような娘。

 世界は彼女を、神の娘、あまねく全てに自愛を雨霰のように、容赦なく浴びせまくるモノとして、白のマリアと名づけた。


「いやいや、マリア様、彼女は絶無ですよ?」


 さて、この少女、秩序の対極の混沌以外は、それなり以上に愛する性質だ。


「関係ありません、その娘は不幸だったんでしょう?

 それで、世界を憎み、なにもかも無くそうと志した。

 ならば簡単、救いの手を差し伸べて、幸福にしてあげれば良いのです。

 頭を撫でてあげて、生まれてきて良かった、幸せだと思わせてあげれば、人は簡単に悪堕ち回帰するものです」


「そんな簡単な事なんすか?」


 率直に、流石に無理だろうと思う。

 この少女は、見た目からして大大人物だが、その能力にも限界、というか相性がある。

 

「ええ、浄化と幸福の、複合で攻めれば、落ちない存在はいませんよ、経験上」


「、、、それって、洗脳っていいません?」


 マリア様は少し考えるようにしてから。


「洗脳でも構うものですか、救いようが無いほど不幸ならば、まずは幸福にしなければ、話はそれからでしょう?」


「まあ、確かに、そうかもしれませんが」


 俺は納得の行くような行かないような、微妙な心境だった。


「それで、その少女の所在は」


 彼女はUM端末を取り出し、ほぼ最高特権級の、俺に問いかける。


「もちろん、クリスタル戦線、その先の、絶無の直轄的な領域ですが?」


「そうですか、では参りましょう」


 ちょっま、言いかけてる間に、彼女は飛んでいってしまった。


「おいおい、マジでどうするんだ、大丈夫なのかね」


 俺はそう言いながらも、放っておけず、事態を見守り観測するため、同様に転移をした。

  

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