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黒のダンジョンの後継者の魔女

 

 

「ふわー、」


 今日も今日とで、ダンジョンを運営する。

 でも、特にやる事はない、ほとんどは既にオートメーション化され、ルーチンと化している。

 ところどころチェックし、一部調整を加えれば、もう、後はやることが無くなる、自由時間である。


「ふへっへぇ、楽な仕事だわ、天職だわ」


 私は、ついこの前くらいの昔、このダンジョンを継承した。

 前任者は、凄いくらいの魔女。

 私なんかじゃ比較にならない、私の主にして想い人だ。

 でもまあ、任されたからには、やるにはやるけど、でもねぇ、

 

「ああぁ!! クソ! このダンジョン! バランスイカレてる! インチキだぁ!」


 コントローラを投げ捨てる勢いで、罵倒する。

 ダンジョン中枢で、わたしはゲームをしていた。

 中枢は、沢山の液晶パネルが雁首揃える、ダンジョン内の色々を監視、操作する場所。

 無駄に高性能なCPUであり、私はここぞとばかりに、その一部を使って遊びに耽る。


「にゃぁっー、お菓子が切れたぁー」


 使い魔にお金を持たせて、買いに行かせて、その間はコケコーラを飲みながら、椅子に腰掛ける。

 暇つぶしに、一応、ダンジョン内の監視をしてみる。

 何時もと変わらない、馬鹿みたいな冒険者が、低層でループしている、低層ルーパーだ、嵌りに嵌っている。

 私は非殺傷主義だ、甘いと言わないでっ、だって殺すとか、なんか嫌じゃん?

 その代わりとは言っては何だが、冒険者を捕まえて身包みは剥ぐ、拘束して、弄んだりは、するよ?

 ねえ、外道でしょう? 鬼畜でしょう? 


「さて、本腰入れようか」


 私は椅子に深く腰掛けて、本腰入れると決意する。

 お菓子が届いて、使い魔がわたしの周りに、絶妙に取りやすいように設置する。

 わたしが攻略しようとしているダンジョンは、お隣って言ってもいいくらいの場所にある。

 つまりは、ダンジョン経営のライバル、熾烈な競争をする相手なのだ。

 それを私はゲーム感覚で、攻略しようとしている。

 わたしの分身を使って、仲間の冒険者を募って、今も攻略しようと頑張っているのだ。

 さて、これは本末転倒かな? 己のダンジョンを高めることに労力使うべきかな?

 でもさぁー、それって詰まんないぃー、遊びと仕事が一緒じゃないと、わたしは動けないのだ。

 

「ふんっ、甘えん坊でいいもん、

 こんな場所で一人なんだもん、ゲームくらいでは、寂しがり屋のわたしは癒されるべき」


 とか言いながら、また一応は、ダンジョンの監視をする、

 ちなみに、これが十時間ぶりの、と。


「にぁあああああああああああああああああ!!!!!」


 って、あぶなっ、あぶなあぶな!!!

 ダミーダンジョンに、なんか999階まで攻略してる馬鹿がいるんですけど!ちょ!どういうこと!


 黒のダンジョンは、

 本命とダミーで、分かれている。

 まずは、ダンジョンの入り口からして、本命を引かなければ、どれだけ潜っても、此処、わたしの居るところに、永遠に辿り着けない。

 ダミーを引けば、めでたく無駄足が確定されるのだ。

 だが、そのダミーも永遠ではなく、言うなら半永久的でしかない、

 それでも999階もあるのだから、ほぼ無限だ。

 これを私は、「2000年? 来ない来ない、来る頃には俺達死んでるっしょ」的な2000年問題と重ねたものだ

 っっって、んなこと言ってる場合じゃない!

 

「こいつらっ何者!」


 可笑しいのだ、そのダミーダンジョンが攻略された、しかも、この短時間で、ありえない事だ。

 中央の、今までゲームしていたウィンドウに、999階の様子を映し出す。

 そこには金髪の女騎士と、なんか凄く真っ黒な鎧姿の何かがいた、見るからにデキル気配!特に後者!

 

「どうやらもう、最後の敵すら倒したようねっ、て」


 ダンジョンの深奥に鎮座する、一際豪華な装飾の宝箱を開けた場面なのだが、

 女騎士が、次の瞬間には宝箱が変形するほど叩き出した、何度も何度も、宝箱が可哀想なる位の所業。

 宝箱に入っているのは、それなりにレアな一品だが、怒っているようだ。


「はふぅう、、、とりあえず、どうしましょうかぁ」


 とにかく、ダミーで良かった、引き返すのにも時間は掛かるだろうし、策は練れる。

 

「あの、、大丈夫ですか?」


 おどおど、そんな感じが素晴らしい、私の奴隷、もとい、使い魔が、許可も無く話しかけてくる。


「大丈夫よ、貴方は心配せずに、私に奉仕してね、いーこいーこ」


 この子は、ダンジョンに無謀にも挑戦した冒険者であり、捕まえて、事象を聞くに、

 病弱な妹をあーだこーだ、だったので、妹もダンジョンに招いて、私が面倒見ている、、、あれっ? 


「にゃぁああ!なんでっ? ああもう、なんだったけっ! 話の腰折れられたぁー!」


「???」

 

 そうっ、この子のその身も心も、ぜんぶ私の物にしたのだっ、!まさに外道!でしょ?

 それにそれに、この子、意外と知恵があり、私の良きアドバイザーにも、

 精神が年中不安定で、可哀想なメンタルヘルスな私のこと、気にかけてくれてぇ、

 カウンセラー的精神衛生にもなるのぉおお、

 散々に重宝して、こき使っているの、ねえ?ねえっ!鬼畜でしょう?

 

 閑話休題、しかし、

 これは正直まずい、もう今すぐ放棄して、非常用の転移陣で、ダンジョンを放棄して逃げるレベルよ

 この進撃速度から考えて、敵は規格外の魔法が扱えるのは違いない、

 大方、入り組んだフロア全体を、殲滅系の禁則魔法で、力づくで切り開いて、次の階層に行けなければ、

 その時点でヤバイのだが、それを999回くらい繰り返せるって、ヤバイの二乗よね、どうなってるの、

 やば過ぎて、どうにもならなくなるレベルね、コレ。

 

「うぅぅ、、それでも、、主様から任された此処を、放棄なんて出来ないよぉぉふえ~ん!!!!」


 私は半乱狂で、喚きながらも、悪魔的手腕で、この難局を覆すひらめきを編み出した。


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