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幻想蚊帳の最強の観測者達の軍団記

 

 

「ふっふふ。

 この世界の、まるで絶対王者のように振舞ってる奴らに。

 僕達のような、正真正銘の存在を知らしめないと、やっぱりいけないよねぇ。

 そうそう、この世界には、最上位以上の、掛け値なしの上位存在が本当に実存しているっていう事実を。

 彼らはそのとき、どのように反応して感覚理解するのか見ものだよ。

 己の絶対の優位性が崩され、僕達にそれを奪われ完全証明される、ふっふふ、今から楽しみだ」


 どこか、どこでもいいが、焚き火の揺らめく炎を見つめながら意味もあるかなしか呟く。


「なに言ってやがる?ヨシキ」


 自分含めて他、8人存在、焚き火を円で囲む僕の隣の奴が訝しがってる。


「レイジ、この世を根底から揺るがし響かせることほど、享楽的で悦楽的な。

 それこそ、世界に楯突き殺されてしまうような、そんな自殺志願者的に感動的に生きるのが、やっぱいいよね」


「サイコやろうが、話しかけなきゃ良かった」


 辟易された、どうでもいいけど、ならなんで何時も話しかけてくるんだろうか?

 やっぱりレイジは僕が憎からず思ってるのか、だったら素直に嬉しいと思うね。


「オイてめぇーら! ちゅうもく! 

 九竜様がはなすぞぉー!」


 正面の、僕から見て炎に揺らめいている男が、情熱的に声量高く注意を喚起する。

 彼はリーダーだ、僕達の中心人物、上司部下主従とかじゃないけど、同格の上位者みたいな、円卓の主席みたいな感じ。 


「標的は定まった!

 まずは混沌のナルディアから行こうと思う!

 異論はないなぁー! 

 それでは明日は、奴の居城である首都のドリームワールドに向うからそのつもりでぇー!」


 ふむ、まあいいんじゃないかと妥当かと。

 多分だが、世界の七つの方向性の周期表から、つまり上から向うつもりだろう、それ以外にヒントはない。


 混沌から始まり、秩序に、そこから幻想に向かい絶対へ、さらに進み矛盾から虚無へ、最後に絶無。

 そして始まりの混沌へと回帰する、ってね。

 二番目からは周期表どおり、秩序のリリーマリアのアルカディア

 次に幻想のナルコ、ルナルティア。

 次々とハイネテラスのアトランティック。

 ローズとアルドのエクスラシャペル

 ルヘルのイデアゼロ、そして最後にゼロのグランドゼロ、だろうね。


「どれどれ、一応暇つぶしに、都市の詳細でも見ておくかね」


「うざいから、無意味に独り言やめろ」


「やだよ、以下抜粋」


「だからぁ誰に言ってんだぁ、メタメタか」

 

 ナルディアが盟主を務める混沌の陣営首都、ドリームワールドは。

 ゴミのような場所だ。

 掛け値なしでゴミ溜め以外の何ものでもない。

 荒廃と退廃に満ち、全てが須らく混沌としている、のだ。

 首都郊外と首都の格差も酷いもので、典型的に忠実な搾取の構図が絶対固定されている。

 この世のあらゆる不条理・理不尽・不合理・不効率等々を、極致極限まで高めたかのような世界が、そこにはある。

 首都中央には、魔都の名に相応しい象徴、黒のドリームキャッスルが悠々と聳えている。

 敷地面積も含めて、全長1000キロメートル、建造物の高さ等は、なぜか日々大小変化する。

 この城は生きている、らしい、世界宇宙の負の遺産とも言われる禁忌的な生体物質、詳細不明で構成されている。

 この物質は絶対破壊不可能、あらゆる透過を拒絶する性質を有し、絶対の防御性防諜性を発揮する。

 頂上階層、何か”絶対に比する”が有ると言われる場所、に到達する為には、絶対に城内部を経由する。

 しかし、頂上階層直下300階すべてに、強力な混沌の眷属が配備されていて、今まで突破を許したことは無い。


「では次から次へと」


 リリーマリアが代理盟主を務める秩序の陣営首都、アルカディアは。

 天国のような場所だ。

 掛け値なしで、極楽浄土の何ものでもない。

 絶対の幸福という、不可能が絶対の可能に可変した世界。

 すべての存在という存在の運命を無上最適化し、黄金の均衡を実現する、そんな特殊法領域世界だ。

 都市には学園が沢山存在する、学園都市という訳ではないが、非常に多い。

 須らく秩序を尊び、その価値を学ばさせる意図を持つ校風が見受けられる。

 都市の周囲・頭上には、常に大小の浮遊島が幾十百千舞っている。

 その島々は、都市から伸びる可動式の階段で、続きになっているモノがあれば、高速で空を浮遊し続けるものなど、様々だ。

    

 ナルコが盟主を務める幻想の陣営首都、ルナルティアは。

 酷くファンタジーな場所だ。

 掛け値なしで、無上の幻想を体現し続ける以外何ものでもない。

 無限の幻想という、果てない夢を、世界に無限大に現出させる為の世界。

 都市設計責任者は、盟主は無限の幻想領域の開拓に夢中なので年がら年中不在、猫の神バースト様。

 なので雰囲気は大体において月の都。

 それも近未来的なフォルムで彩られた、近くて遠い未来に実現しそうな、月面超大都市風味である。

 神の如き造形美の生き物が、放し飼いで一杯いる、綺麗過ぎる猫も一杯いる。

 生類哀れめの令によって手厚く保護されている、ちなみに猫人、猫耳娘だ、も一杯いる。


 ハイネテラスが盟主を務める絶対の陣営首都、アトランティックは。

 絶対唯一無二の神が治める場所だ。

 掛け値なしで、唯一の宗教、唯一の思想、唯一の主、絶対を体現する以外何ものでもない。

 絶対の絶対という、ただ純粋感動のままに無上に突き動かされる、そんな絶対感情を現出させる為の世界。

 絶対でない世界においての、絶対世界、イデアにおいて君臨し続ける神。

 人々は常に神を想う、神を糧にして神を想うのだ。

 果てなど無く、全てが完成されつくしている。

 だが無上の完成度・絶対性によって、突き抜ける探究心は絶対に枯渇しない事が保障されている。

 しかして、終わりなどない、続き続ける絶対の完成された、ただ唯一の神によってのみ成り立つ特異点。

 

「あれ、虚無と絶無が乗ってないんだけど?」


「派遣した観測端末が、まだ調査中だろうよ」


「はぁーまったく使えないよね、僕達八大絶対超上位観測端末以外、無限に替えの効くゴミクズだよね、まったく」


「そうだな、みなお前よりかはマシだけどな」

  

 さて、とりあえずは混沌のナルディアから、僕達で蹂躙してあげなくちゃいけない。

 その為にも西の方向をよく観察しておこう、明日向う方角である。

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