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四十二章 始まりの一歩

今日は仕事も終わったし、さっさと書いてみました。

それにしても日が長くなりましたね・・・・それと話の都合上前話に書いてあった809年というの1101年に変えます、すいません。







何日も掛け、野宿を繰り返し早数日、森を抜け、山を越え、川を越え、幾度も面倒な目に遭いながらも俺達はついに



「ここが平安京・・・」



かの有名な都、平安京に着いた。


周りを見渡すと吐いて捨てるほどの人の嵐、そして聞こえるは賑やかな笑い声。

武装して門番をする者が居れば、大きな声で何かを売り込む商人・・・ようは賑やか、そう賑やかなのである。

久しく賑やかなものを見ていなかった俺達からすればかなり新鮮であり、現に流美亜や亜紀は目を星のごとく輝かせてあたりを見渡している。



「蔡様蔡様、見て回ってもよろしいですか!!?」


「私も私も!!」



そんな折、とうとう我慢の限界を突破ししてしまったのか、今すぐにでも見て回りたいと俺にせがむ亜紀と流美亜。

俺は一度藍や紫を見て、大丈夫か?と目で聞くと二人は大丈夫だと首を縦に振って答えてくれた。

それを確認した俺ははぁ、とため息を漏らしながらも行って来い、と幾分かの金を渡し、自由行動をさせることにした。



「ありがとうございます!!」


「ありがとう!!」



そして嬉し気に返事を返してくるとまるで小童のように走り去ってしまった流美亜と亜紀。



「はは、いくら年を重ねても、まだまだ子供なのな」


「そうですね」



それ見て俺達は笑みをこぼす。

その時



「おっと・・・」



突然誰かと肩がぶつかってしまった。



「あ、すいません」



俺は咄嗟に謝る。



「ああ、こちらこそすまなかっ・・・」



相手も謝罪を述べながらこちらを向く。すると突然俺を、いや正確には俺達を見た瞬間、表情が強張り



「こ、これにて失礼する!」



そう告げるとそそくさとどこかに行ってしまった。



「あ、晴明殿!此度の一件、礼を申し上げる。差し当たって・・・」


「う、うむ、だがその話の前に場所を・・・」



そして人気の少なさそうな一軒家に着くと烏帽子を被った何やら位の高そうな男性と話し、どこかに行ってしまい姿を消してしまった。



「いきなり人の顔を見て逃げるとは失礼な」


「ええそうね」



よほど先ほどの態度が気に入らなかったのか、その誰かが去っていった方を見て愚痴をこぼす藍と幽香。

しかし・・・



「紫、さっきの奴・・・」


「ええ、完璧に気づいてたわ」



そんな二人とは対照的に俺と紫の反応は違った。理由は簡単、さっきの奴が俺達の正体に気づいていることに気づいたからだ。

説明し忘れていたが今の俺達の姿は本来の姿とは違う。変化術を用いて姿を変えているのだ。

俺と亜紀はどこにでもいる一般男性に。

女性陣はなかなかの美女に。

俺達男どもはともかく、女性陣は何故そんな事をしたのか今でも理解できん。明らかに面倒事になる事は分かってるはずだ。主に男共に言い寄られたりとか。

んん!さて、そんなことは置いて、もう一つ



「あいつ、相当のやり手だぞ」


「でしょうね。人間・・・とは言い切れないけど、あそこまで強い者はそう滅多に居ないわ」



それはあいつの実力だ。まだちらっと見た程度だから分からないが、結構強い力を感じた。



「面倒なことにならなければ良いんだけどなぁ・・」



俺はどこまでも青く広がる大空に顔を向け、平和に過ごせますようにと祈った。



「まあ、さっきの奴は放っておいて、紫の言ってた当分住み込む家に行きましょう」


「おお、そうだった。では参りましょう蔡様」


「あ、ああ。行こうぜ紫」


「ええ」



俺は藍の言葉でつい忘れていた事を思い出した。

実はこの平安京に来ることにあった理由がもう一つあるんだ。それが今言った家だ。

こう言うのもアレだが、俺達は東西南北、簡単に言えば大陸をほとんど行き尽くしてしまったのだ。まあ実際行ってない所は沢山なるのだが、それでも結構な範囲を旅してきた。

そろそろ飽きてきたしどこか別の大陸にでもと思っていた折、紫が

そろそろ本格的な居住地が欲しいと思わない?

という提案を出してきたのだ。

本来旅を楽しむ俺らにそんな場所はあるだけ無駄なのだが、いかんせん飽きが回ってきているのも事実。

そこで俺は、ならその住むところが飽きるまで、というのを条件にその提案を乗んだのだ。

で、その家とやらはどこに?と聞いてみるとその時観光に来ていた大きな滝がある場所(後の和歌山の那智の滝)から北の平安京言われ、この地に趣いたのだ。まあでもその住居よりも最近、と言っても人間からしたらだいぶ前だが有名になっていた平安京に惹かれて来たというのは俺だけの秘密だ。



「ああ、それならこっちよ」



そう言うと紫は京から出て、全く別の方向にさっさと歩き始める。俺達はそれを見てどこ行く気なんだと不審に思いながらもその後を付いて行くことにした。







京から少し外れ、人気もなく静かな森に入りしばらくして、川の流れる音が聞こえてきた

かと思うと急に変化を解く紫。少し驚きはしたもののよく考えればこんなところに人は滅多に来ないだろうと考え、俺達も元の姿に戻る。

 そしてまた歩き始め、川が姿を見せた直後、紫が右の方に扇子を指す。

俺達はその方に顔を向けるとそこには



「・・・・でか過ぎないか?」



俺達が住むにしては大きい屋敷が姿を現した。

 それを見た藍達も同じ反応のようだ。ポカーンとしている。



「じゃあ早速中に入りましょう」



しかし紫は事前に知っていたせいか、何の反応を示すことなく屋敷の入口を潜り中に入る。



「来たわよ、幽々子~」


「ゆ、幽々子?」



なにやら聞きなれない名前を吐いて。そしてその声を聞きつけたのか、玄関から続く廊下の奥からトトト、と走る音が聞こえたかと思うと



「ゆかり~おかえり~!」



元気よく紫に抱きつく桃色の髪が印象的な小さく可愛らしい娘が現れた。



「・・・誰?」



いや本当に。













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