三十四章 加減を!慈悲をかの者にお与えください九尾様!!
我ら(あほの俺)が遅れ(書く気のモチベ)を取るわけには行かん(こんな文を読んでくれている方々のため)!奮起せよ!
よう、俺だ、蔡だ
藍とのちょっとした幸せな時を過ごし後、手を繋ぎながら席に戻った俺と藍。
それを見た幽香は物凄く黒い笑みを浮かべ、紫は、けっ、幸せ野郎め、などと女性の言うべきではない言葉を放ち、亜紀に至っては、ああ、いつものことかと気にした風はなく、流美亜はよくわかってない様子だった。
で、現在は・・・
「次の相手は確か・・・ああ、あの捕虜ね」
「ええ、捕虜ね」
「お前ら、酷くねえか?」
次の対戦相手について話し合っていた。ついでに藍は準備のため既に移動した後だ。
「で、どんな相手なのかしら、その捕虜」
「いやだから射命丸って名前だからな?」
「確かまだまだ若手で将来期待されてる子だって聞いたわ」
「へえ、捕虜のくせに生意気ね」
「・・・可哀想に」
問答無用で捕虜と呼び続ける幽香と紫。こいつらわざとやってるからなおさら質悪い。
「まあでも分かることは・・・」
「相手が可哀想だということよね」
「なんて言ったって今の藍様は無双ですから」
「ねえねえ蔡、無双って何?」
「とりあえず、最強って覚えとくといい」
「ふぅん」
まさに哀れんでますよといった顔で相手の負けを確信する流美亜を除く全員。
まあなんというか、時期が悪かったとしか言えない。うん、そうだよな。
「でもまあ、案外粘るかもしれないわよ?」
「だとしたらどっちが勝つかしら」
「それでも藍様でしょ!」
「そうかしら?案外変なところで転けるかもしれないわよ?」
「無さそうだし、ありえそう」
こいつらの会話を見て思ったが、本当に遠慮の文字がない。言いたい放題だ。
そんな事を考えていると審判が選手説明をし始めた。どうやらそろそろらしい。
それを聞いた俺達は皆話をやめて各自の席に着き、闘技場に視線を向けた。
「さあて皆様お待たせしました!第4回戦を始めたいと思います!」
その言葉に会場から物凄い歓声が響き渡った。若干会場が揺れてる気がする。
隣では亜紀が毎度のごとく耳を塞いでいた。
「では!まずは選手の紹介から行きたいと思います!!まずは最強の妖獣と言われ、とてつもない天才と言われる九尾の妖怪!!藍選手!!!」
名前を聞き、またも響き渡る歓声。そんな中、耳を抑えながらも堂々と入場する。藍。
あれ?前回は選手席から直接じゃなかったか?・・・まあ良いか。
「そしてこれに対するは!!我らが妖怪の里でその将来が楽しみと言われる烏天狗!!射命丸文選手です!!」
名前を言うとまた喧しい歓声。
そんな中、颯爽と現れる射命丸。。その顔には復讐の二文字しかないと言っても過言ではない程の殺意溢れる表情を浮かでいる。
「あんたらのせいで天魔様に怒られちゃったじゃないのよ!!どうしてくれるのよ!!」
「そうは言われてもそれは弱いお前の責だろ?私達には関係のないことだ」
「なっ!!?言うに事欠いて弱いですって!!?あんたなんか・・・」
歓声が未だ止むことなく響く中、何やら一方的にギャーギャー言っている射命丸とそれを素知らぬ顔で流している藍。
何を言っているのかは全く聞き取れないが、何であんなに怒ってるんだ?射命丸のやつ。
ちょっと亜紀に聞いてみよう。
「亜紀、あいつら何揉めてるんだ?」
「まあ、逆恨みってやつですよ」
苦笑いしながらそう答えた亜紀
逆恨みねえ・・・なんでだろうか。まあ良いや。
「では両者!!準備は良いですか!!?」
そうこうしてる間に試合が始まりそうだな。
「get ready!?・・fight!!」
そしてようやく始まった試合。さて藍の実力を拝見してみよう!
俺は張り切って観戦する体制に入った。しかし・・・
「・・・・・は?」
一瞬瞬きをし、とてつもなくでかい爆音を響かせた後、射命丸が大の字で倒れていた。
それを見た幽香達と観客達は何が起こったのか分からず、シーンと静まり返っていた。
そんな俺達に対し、当の本人である藍はふぅと一息吐いて終わった終わった、と口走っていた。
そして悠々とこちらに向かって歩き始めたのだ。
「え、あれ?試合は?」
誰が言ったのか、それ聞いた瞬間、審判は大の字で倒れている射命丸の元に慌てて駆け寄ると意識があるか確認する。首の頚動脈に手を当て、脈があるか調べと、どうやら生きてはいるらしい。
そして意識があるかどうか確認するため、何度か名前を呼び揺らしてみるが反応がない。
ということは・・・
「え、ええ~、ただいまの結果、勝者、藍選手!!」
それを聞いた途端、少し遅れながらも歓声が沸き起こった。
「ふぅ、やはり今の私は無双でしたね」
そうやりきった感の顔をしながら席に戻る藍。それを見た俺は視線を気絶して倒れている射命丸に向けてみると、仲間の天狗に運ばれている場面が目に映った。
・・・・大丈夫か?
「では蔡様、後ほど、ご褒美くださいね?」
「あ、ああ・・・」
そう言うと藍は俺の膝に頭を乗せ、くぅくぅ、と眠ってしまった。
「・・・・愛って怖いわね」
・・・・・本当に怖い・・・・
ぬう・・・短いし今回は出来が・・・・