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三十三章 俺はな・・・・

東京えげつねえことになってるぞ・・・





「幽香、お前やりすぎな?」


「あら、そうかしら?」


「そうだよ。途中で相手に同情しちまうほどにな」




椅子に座って時間潰しに話し合う俺と幽香。

 その内容とはつい先程行われた3戦目の話である。

亜希と犬走の試合を終えてしばらくして、ようやく試合再開になり流美亜とそれなりに強そうな筋肉もりもり野郎が戦い始めたんだ。

 で、結果らか言うと・・・まあ惜しかった、ただこれだけだ。


最初は防戦一方だった流美亜も後半から攻勢に転じるのだが、少し遅かったみたいで最後は相手の得物で弾き飛ばされ敗北。

 負けたことがよほど悔しかったらしく、席に戻ってきた時に大泣きされたがそこは頭を撫で頑張ったことを褒めて落ち着かせたんだ。

 だがだ!次の幽香対これまた強そうな天狗、この対戦が問題だった。

いやまあ、俺らからしたら良い事なんだが・・・・ちょっと相手に同情せざるを得ないことになってな・・・

 

まずは戦い始めたんだ。最初はな?特に幽香が押されてる雰囲気もなかったんだ。まあ押されるなんて微塵も思ってなかったけどよ。

 でだ、相手の実力を把握しちまったせいか幽香のやつ、後半から遊び始めたんだ。

まあ遊ぶといってもそんなふざけた遊びじゃなかったんだけどな。せいぜい挑発したりする程度だったんだが・・・ここからが問題なんだ。

 あれは終盤だったな。徐々に相手の動きが鈍くなってき始めたんだ。まあ大方体力の浪費が激しかったんだろうな。

 でな?それを見た幽香がため息を漏らして

「はぁ、興が削がれたわ」

なんてこと言いやがってよ、突進してきた天狗を思いっきり殴り飛ばしやがったんだ。どこまで吹っ飛んだかというと、あれは壁をえぐったな。

 でだ、もうその一撃で普通に沈んでる相手にだ、あいつは

「さようなら、面白くなかったわ」

なんて言って巨大光線をその吹っ飛んだ相手に向かってぶっ放しやがったんだ。

 その一撃を最後に会場は静まり返ったんだ。で、とりあえず幽香の勝利で終わったんだが・・・相手の方がな、受けた攻撃で生死を彷徨うほどの重体になっちまってな・・・しかもまるで呪詛のように

「女怖い女怖い女怖い・・・」

って言い続け女性恐怖症になりかけちまったんだ・・・

 今のところ一命は取り留めたらしいけど、果たして女嫌いになってないのかどうか心配だ。

で、今こうして説教にも似たことをしているってわけだ。



「お前、あの天狗が女性恐怖症にでもなったらどうするんだ?」


「知らないわよ」


「・・・だろうねぇ~」


「そんな事よりも・・・」



そんな事よりもと言ってこちらに頭を押し付けてくる幽香。え?なにこれ、あれだけの事しといた挙句にそんなことよりもと言って話を切ったのにまさか褒美でも寄越せと言うのか?



「なんだ?まさか撫でろとか言うつもりじゃないだろうな?」


「そのつもりだけど?」



常識でしょとでも言いたげな顔をしてさらにこちらに頭を寄せてくる幽香。

むぅ・・・だがな、さすがにそう簡単に褒美はやれん!なので、ここは根比べと行こうじゃないか。

そう決めた俺はひたすら無視をすることにした。



「・・・・」


「・・・・」



無視されていることに気づいたのか、頭をあげこちらを見る幽香。

今のところ特に何も無い。



「・・・・・・」


「・・・・・・」



まだ無視を続ける。すると椅子から立ち上がり今度は俺の前に来る。

何をされるのかは知らんがまだ無視だ!



「ふふ・・・」


「・・・?」



なんだろうか、嫌な予感が・・・。

幽香は俺にさらに近寄ると



「失礼するわね」


「え?」



俺の膝の上に向かい合う形で座ってきたのだ!・・・え?



「ちょっと待て、何する気だ」


「何って・・・ちょっとした悪戯よ」



そう言いながら今度は俺の首に腕を回す幽香。

待て、これって・・・



「いただきま~す」


「だろうね!?」



その予感は的中したらしい!

何か顔が近づいてきてるんだけど!!?

俺はその先に起こるであろう結末を回避するため幽香の腕を掴み退かそうとする。しかし・・・



「なん・・・だと・・・」



全く動きませんよ!?

なんだこれ!!どんだけ頑丈なんだ!?

俺は脱出するため普段では出ないような力を出し必死に退かそうとする。しかし、案の定、動かない!

そんな事してる間に顔がもう目の前まで迫ってるよ!



「早まるな!こういうことはほかの誰かと」


「一夫多妻制常識、これ覚えときなさい。問題に出るわよ」


「あ、はい・・・じゃなくて!!」



また目を瞑り顔を近づけてくる幽香。その時ふと視界の端に亜紀の姿を捉えた。しめた!!



「亜紀ーーーーー!!!援護をーーーーーー!!!」


「・・・・申し訳ありませーーーーーん!!!!」



逃げやがったーーーー!!!物凄い勢いで!脱兎のごとく!!逃げやがったーーーー!!

ああ、これはまずい、非常にまずい!

このままでは一番危険な結末しか待ってないじゃないか!!

え!?じゃあほかの結末は何かだって!?

簡単だ!!

一番やばいのが口づけ終えたあとに藍と遭遇!

次にこの瞬間を藍に見られてしまう!


って、んなこと言ってる間に幽香が!!



「ん・・・・」


「ん!?」



・・・・終わった・・・完璧、終わった・・・やっちまったよ我が母神様、俺やっちまったよ・・・



「んっふ・・・・」


「んーーー!!?」



しかも追い打ちに舌まで・・・。

おかげで俺と幽香に聞こえる程度で卑猥な水音が響き渡った。

そしてしばらくそれが続いたあと



「っは・・・・ふふ」


「・・・・終わった・・・」



満足したらしく、ようやく口を離してもらえた。

俺の顔は間違いなく絶望の染まってるんだろうなあ・・・対照的に幽香のやつ、頬は赤く、妖艶な女の笑みを浮かべてやがる。



「あまり虐めてると、逆に痛い目みるわよ?」



そして俺の膝から降りるとゆったりとした動きで自分の席に戻っていく幽香。

とりあえず・・・後が怖いですはい・・・



「蔡様・・・」


「あは、あは、アハハハハは・・・・はい、なんでしょうか・・・」



どうやら神は俺にさらなる手段をお与えしたいそうだ。いつの間にか藍が居たし・・・そして見ろ、藍の嫉妬に狂った顔を・・・・これ、どのくらい説教受けんのかなあ・・・



「こっちでお話しましょう」


「・・・はい」



藍は俺の首根っこを掴むとズルズルと引きずり何処かへ連れ去ろうとする。



「・・・」



そしてふと止まる。何故かと顔を上げてみると・・・



「・・・・」


「・・・・」



殺意の篭った眼で幽香を睨む藍とそれを涼しげに流す幽香。ああ、胃が痛いっす・・・いや、回避できなかった俺が悪いんだけどね・・・



「貴様、私の夫に手を出すとは、覚悟は出来ているのだろうな?」


「あらあら、嫉妬かしら?醜いわねぇ」


「なっ!貴様!」



なにか喋っているみたいだが今の俺には何も聞こえない。と言うか現実逃避真っ最中である。



「だってそうでしょう?今この世の権力者達にとって一夫多妻普通、当たり前・・・それくらいあなたでもしているでしょう?」


「ぐっ・・・だ、だが!私は、我慢できんのだ!」


「あらあら、そんなに重いといつか蔡が倒れちゃうわね」


「なんだと!?」


「知ってるでしょう?妖怪、人間問わず、嫉妬や恨みの恐ろしさを」


「・・・・」


「特に私やあなた、紫のような大妖だとなおさら・・・」


「・・・」


「だから注意なさい・・・今のままだと、いつか彼を殺すかもしれないということを」


「・・・・くっ!」



これからのことを考えていると急に引っ張られて行く。先程と比べ物にならないほどに。



「な、なんだなんだ!?」



俺は引っ張っている張本人の藍を見る。すると



「っ・・・・・うっ・・・・・!」


「ん、ん~?」



何故か悔しそうな、そして悲しそうな顔をして大粒の涙を流していた。



「ら、藍?」


「・・・・・・・っ」



呼びかけにも反応せず、未だに引きずられたままの俺。どうしろと?

通路を抜けしばらく引きずられたままでいると、人気のないところでようやく引きずりが終わった。



「えっぐ・・・・ひっ・・・・」


「え~っと・・・なして?」



とりあえず原因が分からないまま俺は立ち上がり、服についた泥を払うと、どうすればいいか分からず、藍が喋り出してくれるまで待つことにした。

そしてしばらくして徐々に泣き止んできた藍。

とりあえず話を聞いてみよう。



「あの~さ、何があったんだ?」


「・・・・・」


「・・・・・」



下に俯向き黙り込んだままの藍。それに対して俺はどうすればいいのか分からず、またも待つことにした。



「・・・・蔡様は」


「ん?」


「蔡様は・・・今の私を、どうお思いですか?」


「ん?どう言う意味だ?」


「そのままですよ・・・たかが小さいことで嫉妬にまみれ、すぐに手を上げる私を見て・・・」


「・・・・」



泣いていた原因は誰か他の奴かと思ったが、どうもそうではなかったようだ。



「どう・・・お思いですか?素直に、仰ってください」


「素直に、ねぇ」



素直にか・・・なら素直になってみるのもありだな。

そう考えた俺は目の前に居る藍をギュッと抱きしめた。



「えっ?」


「これが答えじゃあ・・・駄目か?」


「え?え?これって・・・」


「嫌いじゃねえよ。むしろ大好きだ」



言っててなんだが恥ずかしすぎる。心臓がばくばくいってるよ。



「そりゃあな、確かにお前の体罰はなかなか痛いし」


「うっ・・・」


「すぐに怒るし」


「ううっ」


「こっちの事情も聞いてくれないし」


「うううううぅ・・・」


「・・・でもな?それってさ、それだけ好きでいてくれてるってことだろ?」


「えっ?」



抱きしめたままだから分からないけど、間違いなく藍は今猛烈に驚いているのだろう。



「違うのか?」


「い、いえ!!大好きです!!愛しています!!・・・はっ!?」



大声でそんな大胆発言をしてしまった藍。間違いなく顔が真っ赤になっているのだろう。



「だったら良いじゃないか。まあできれば、もう少し話を聞いてくれるようになってくれればなお良しなんだがな」


「蔡、様・・・・」



話が終わると俺は藍に顔を一気に近づけ



「ん・・・・」


「ん・・!」



俺からは初めての口付けを交わす。

驚いた藍も、すぐに我に返ると俺に首に腕を回し、ぎゅっと抱きついてくる。



「ん・・・・・ふ・・・ん」


「んん、ん・・ん」



しばらくして俺はそれだけでは満足できなくなり、さらに濃厚なものにするために行動を起こす。



「んん!?」



俺は舌を伸ばし藍の口の中で暴れる。初めは驚いて鈍かった動きも徐々にいつも通り、いや、いつも以上に激しい動きに変わり先ほどよりも淫らな音が響く。

しばらくして俺はまだやることが残っていることを思い出し、名残惜しく思いながらも藍から離れる。

離れたとき、俺と藍の間に銀の橋が完成した。



「さ、蔡様ぁ・・・」


「駄目だぞ、まだやることがあるだろ?」


「で、でもぉ・・・」



顔を上気させ、艶かしく息を吐き、我慢ならない様子の藍。だが今はそれをする時ではない。なので生殺しと言われようがここは我慢させよう。



「我慢だ」


「ううぅ・・・ひどいですぅ・・・」


「ひどいと思うならその恨みは相手にぶつけるんだな」


「うううぅ・・・・じゃあ・・・・」



そう言うと俺に抱きついてくる藍。俺はお返しに抱きしめ返す。



「勝ったら・・・ご褒美ください・・・・」


「ふふ・・・良いよ。勝ったら1つだけなんでも聞いてやる」


「約束、ですよ」


「おう」



そう言うとしばらく抱き合ったままお互いの体温を感じつつ幸せな時間を過ごすのであった・・・














よくある展開だけど、実際体験するとバカにできないだろうなぁ・・・

ちょいエロスな展開って・・・・無理ね!!

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