番外編 その頃の妖怪の山は?
まさかの妖怪の山である
「はい一旦止めるよ~」
そう画面越しに居るにとりが告げると画面が一瞬で黒くなってしまった。
まあそんなことは今はどうでもいい。なぜかというと・・・
「お母さん、あの人は誰ですか?」
私、犬走椛はあのさっき出ていた亜紀という男性が気になるからである。
いや、気になる、というのは違うかもしれない。こう、懐かしい、というべきだろうか。
とりあえず隣に懐かしむような顔をして座っている妙齢の美女こと、犬走秋葉からの返答を待つ。
「ん~・・・どう言えばいいのだろう・・・」
そう言う母の顔には、どう言えばいいのか分からないという表情が浮かんでいた。
何がそんなに難しいことなのだろうか。ただ普通に言ってくれればいい話なのに。
「何がですか?」
「え~、ん~、まあ、あれよ!見れば分かるわ!」
そう言うと立ち上がり、どこかに逃げるように去っていく母。ん?何を隠してるんだろうか。
そう思っていると隣に誰かがやってきた。その方に顔を向けると
「楽しんでるか椛?」
私の父がいた。
「いえ、ただお母さんが何か隠してるみたいで・・・」
「ああ、秋葉か」
母の名前を言う父の顔は先ほどの母の難しい表情よりもさらに難しい表情をしている。
まるで何かもどかしさも感じる。
「お父さんは何か知っているんですか?」
「ん?何がだい?」
「あのさっきの亜紀という男性の事を」
「・・・・」
なぜだろう、亜紀という名前を出すと急に父は黙り込んでしまった。
そしてしばらくして、ようやく何か決心でもついたのか、父が口を開いた。
「いずれ分かることだ、今話しておくよ・・・椛、さっきの亜紀という人、実はな」
「始まるよ~」
父が何かを告げようとした時、タイミングよくにとりが上映開始を宣言した。
うう、こういう時に限って・・・この時私は友人を少し恨んだ。
「・・・今話すときではないということか・・・」
「え?」
何を、と聞く前に父は立ち上がるとどこかに歩いて行ってしまった。
結局私は何も聞けないまま、また映像を見ることになった。
「何隠してるんだろう・・・」
気になる・・・
短い・・・