二十八章 やっとかいな!・・・そして厄介事もかいな・・・
ふと気付いた。ルーミアの名前をこれにしたら良いんじゃないか?って。
と言う事で名前を変更することにしました。どんな名前かは本編で。
まああまり期待はしないでね・・・
はあ~、やっぱり家が欲しいねえ・・・お、そうだそうだ。
よ、皆。俺だ、蔡だ。そして最悪な事に女だ。
新た仲間を得てから平和に訓練もしながら早3日経った。ん?日付なんてどうやって知ったかって?
雪美夜だよ。あいつが現れていきなり
「時間の管理は大切よ~」
なんて言って、時間の単位を教えてもらったんだ。
まあそんな事よりもだ、まずは一つ報告がある。
それはな、紗夜の事だ。
あれから少し考え直したんだよ、あいつの名前。
で、結果、名前を紗夜から流美亜と書いて、るみあ、に改名したんだ。
本当なら亜の部分を夜、まあようは流美夜にしようと考えたんだが・・・まあなんだ、名前がな・・・そうするとあいつとちょっと重なるから、変えた。
で、一応あいつに聞いてみた所、了承してもらえたんだ。
とまあ報告はこんなもんだ。
ようは名前を変えたぞって話。で、余談だが女になった俺を見てあいつはしばらく呆然としていた。あれは滑稽だった。
さて、実はな、もう一個報告があるんだ。何かと言うとだな・・・
「着いたぜ妖怪の山!」
「ようやくですね!」
「おうよ!」
そう、着いたんだ!妖怪の山に!
今目の前にあるこのでかい山!そして感じるかなりの量の妖気!いやあ、なぜか知らないけど凄くうずうずするな!
「なるほど、これが戦闘前の高揚感か!」
「ん?どうかしました?」
「いや、なんでもない」
おっと、少し熱くなりすぎたな。
少し落ち着こう。
「すぅ・・・はあ・・・・おし、行ってみるか」
「なんだかよく分かりませんが行きましょう」
不思議がる藍達を共に、俺達は目的の山、妖怪の山に足を踏み入れた。
そしてしばらく歩いていると辺りが少しだけ暗くなってきた。とはいっても木の葉とかが日光を防いでいるだけだから特に怖くはないけどな。
ただ何と言うか静かである。
音があるとすれば俺や藍達の足音、鳥の鳴く声、時々聞こえる風の音や風で揺れて聞こえる葉の音くらい。
不気味なくらい静かである。
「そう言えば昨日泊まった人間の宿で聞いた妖怪の山の話、どんなんだったっけ?」
歩きながら昨日夜、宿の店主に聞いた妖怪の山の話がどんなものだったか藍に聞く。
「元は真面目な修練者などが主に修行を目当てにこの山に来ていたのですが、いつの間にか烏天狗と呼ばれる者達が住むようになったそうです」
「烏天狗?」
「ええ。何でもかなり戒律が厳しいらしく、この山に近づけさせることすらないとか」
「なら俺達はどうなるんだろうな?」
「さあ・・・ただ例外があるらしいのでそれが当てはまっているのかもですね」
「例外?」
「ええ、確か、自分に厳しい人間のみ入る事を許されていると」
「・・・なあ、俺ら妖怪だって事忘れてないか?」
「・・・ですね」
互いに苦笑い。そもそも自分に厳しいってどうやって分かるんだよ。
自分は厳しいって表現でもするのか?んな無茶な。
アホらしいだろう。それにそんな事言う奴に限って実は甘いんだよな、特に自分に対して。
そんな時、前方から誰かが歩いてくる。
少し光の加減があるのか、人間かどうかはっきり分からない。
「誰だ?」
「さあ?烏天狗でしょうか?」
「だとしたら翼とか見当たらないが・・・」
「もしかして人間じゃないかしら?」
「そうじゃない?」
ん~、紫や幽香は人間ではと言うけど・・・
とりあえず俺達は特に何もせず普通に歩いていくことにした。
すると俺の服を流美亜がくいくいと引っ張って来た。
「どうした?」
「ねえ蔡、あれ人だよ?」
「そうなのか?」
どうやら流美亜曰く、人だそうだ。
そんな事をしてる間にはっきりと分かる距離までその誰かが近づいてきた。
するとそれは・・・
「お前さん方も修行かえ?」
なんと吃驚、白い服と草鞋を履き、手には何かの杖を持った物凄く厳格そうな顔をした人間だった。
・・・なるほど、案外分かりやすいんだな。
とりあえず返事を返さないと。
「まあそんなところです」
「ほうほう・・・変わった修練者じゃのう」
「・・・」
へえ、厳しい修行場と言われるだけあって、なかなか鋭いな。
「まあ頑張りなされ。ではの」
「はい、では」
そう言うと爺さんは下りて行った。
「顔で分かるほど自他ともに厳しい人なんだろうな、あの人」
「ですね。恥ずかしながら、あの老人の言葉にひやっとしました」
「ふふっ、案外暇にならずに済みそうね」
「そうね」
ったく、後ろのお二人は・・・お気楽なもんだ。
まあ良いや、とりあえず先に進m
「ちょっと待ちなさい!」
「・・・これがあれか?」
「あれですね」
「あれね」
「あれだね」
「あれですね」
「あれかしらねえ」
「人に対してあれって失礼ね!」
強く吹き荒れる風と共に颯爽と現れ、ツッコミまでかますのは普通の長さの黒髪、上に軽装で変わった着物を着て、下半身は飛んだら見えるんじゃないのと言いたくなるような服を着た女性の、たぶん烏天狗と言うやつが現れた。
俺の予想とは大違いだな。
「お前が烏天狗ってやつか?」
「そうよ、何か文句でもあるの?」
「いや、文句はない。あるとすれば予想と大きく違ったと言う事だけだ」
「そんなものどうでも良いのよ」
「ひでえなあ」
「それよりも!」
びしっ!とこっちに指差す天狗さん。何用で?
「あんた達妖怪でしょ!」
「おやまー、ばれちゃったー」
「わー蔡様大変ですねー、どうしましょー」
「舐めてるでしょあんたら?」
物凄い棒読みの台詞に相手は青筋を額に浮かべ激怒寸前である。しかし藍、良い乗りだ。
「ありがとうございます」
「うむ」
「え?何?何勝手にお礼言ってるの?」
「まあ気にするな」
「そうだ、気にするな」
「あ、あら、そう?」
そう言うと何か釈然としない様子の天狗さん。すると突然また怒鳴り顔に変わった。
「じゃなくて!あんたら!妖怪のくせにこの山に何の用!?」
「用って・・・見物?」
「新婚旅行?」
「冒険?」
「暇つぶし?」
「修行」
「強くなるため」
「・・・はあ?」
順に、俺、藍、紫、幽香、亜紀、流美亜、そして天狗である。
なにこの会話、すごく楽しい。
が、どうやらあっちは楽しくないらしい。もう堪忍袋の緒が切れる寸前って顔をしている。
「あんたら・・・舐めてるわね?そんなに死にたいの?」
「あいにくまだ死ねませんはい」
「同じく」
「同じく」
「同じくよ」
「死ぬ気ありません」
「死ねないわよ」
「殺してやるーーーー!!」
どうやら俺達の最強の連携会話にぶちっと言ったらしい。どこからか剣らしき物を取り出すと俺に向かって斬りかかって来た。
「うわっと~、なんだこんな程度かよ」
「ふんっ!まだまだこれからよ!!これでも喰らいなさい!」
そう言うとまたどこからか独特の模様の団扇を取り出す天狗。ん?何する気だ?
天狗はそれを軽く振る。すると・・・
「うわっ!」
いきなり激しい風が発生した。
「っと、なかなか・・・ん?あれ?」
風が止み、一息つくとある変化に気が付いた。なんと俺の服が所々破れているではないか。
胸も結構際どい事になってる。
「なんだ、そう言う趣味か?」
「失礼ね!私は普通よ!!」
「普通ねえ」
とりあえずあの団扇が普通ではないのは分かった。さて、どうしようか。
「あ、そうだ。お前、名前は?」
「ふんっ、本来なら教える義理はないけど特別に教えてあげるわ!」
「ほう、それはどうも。で?名前は?」
そして一息置き彼女はこう答えた。
「射命丸文よ!!」
後にこの天狗に変態的な意味でどれだけ悩む事になるか、この時の俺が気づく事はなかった。