二十六章 まあまあか・・・ん?なんだ?
ついさっき思い出した・・・本編の投稿忘れてた・・・
「さあて・・・どう出るんだ?」
俺は近くに合った腰かけに座り、まだ動きの無い2人を見る。
お、そうだ忘れてたよ。
よ、俺だ、蔡だ。
今何をしているのかと言うと、まあ簡単にいえば観戦だ。
どういった経緯でそうなったかと言うとちょうどいい相手が現れたから亜紀の実力を把握するために亜紀に相手をさせることにしたんだ。
まあ勝つかどうかは分からんが、良いところまで行くだろう。勝つにせよ、負けるにせよ、な。
俺がまだかまだかと待っていると金髪妖怪が相手を見下すような声で喋りかけてきた。
「あんた、こいつが死んでも良いの?」
「ああ?亜紀がか?死ぬかよ。ちょうど良いくらいの相手だと思ったから亜紀に相手をさせたのさ。お分かり?」
「はあ?」
心底心外だとでも言いたげに声をあげる金髪妖怪。
なんだ?そんなに自信があるのか?
「なんだ?負けるはずがないって思ってるのか?」
「当然よ。私がこんな女みたいな奴に負けるわけないでしょうが!」
と自信満々に告げる金髪妖怪。
う~ん・・・でも俺からしたらまだまだ雑魚妖怪なんだけどねえ・・・
「まあ良いわ、こいつを殺して、あんたも殺す!!そして食料調達よ!!」
「おうおう、せいぜい頑張りなあ」
「ふん!そうしてられるのも今のうちよ!!さあ、行くわよ男女!!」
「ええ!?ここでもそう言われるの!?」
少し空気と化していた亜紀がようやく喋ったかと思えばツッコミか・・・
「案外余裕か?」
「そんなわけないでしょう!!」
「なら余裕だな」
「蔡様!?」
「俺よりもそっちに集中しなよ~、来るぞ~」
「へ?」
俺の言葉を聞いた亜紀は俺が指差す方に顔を向ける。
するとすぐそこまで金髪妖怪が迫ってきていた。
「うわっ!?」
「ちっ!外したか!」
何とか寸前の所で回避する事が出来た亜紀。だが服が少し切れていた。
「おお、案外鋭いんだな。何使ってるんだ?刀?小刀?」
「そんなものいらないわよ!これさえあればね!」
そう言うと鋭く尖った爪をみせてくれた。
「ほう、なかなか鋭そうだね」
「そりゃあそうよ!これで今まで幾多の者を葬ってきたんだから!」
ふ~ん・・・でも
「藍の方が鋭いな」
「ですね」
「はあ?」
どうやら亜紀も同意見らしい。
それを聞いた金髪妖怪は馬鹿なのかとでも言いたげな声をあげる。
「これ以上に鋭い爪なんて、あるわけないじゃない!」
「大層な自信だ事で・・・」
「ええ、ある意味羨ましいです」
「何よその哀れな者を見る眼は!!」
「「その通りですが何か?」」
「腹立つ程揃ってるわね!!!」
いや、だって・・・ねえ?
そういう視線を亜紀に送ると亜紀も、ねえ?と言いたげな視線を返してくれた。
うむ、さすが亜紀だ。
だがそうこうしてる間に相手は相当怒りが溜まっていたらしい、物凄く怒った表情で亜紀に向かって攻撃を仕掛けていった。
「腹立つから!まずは!あんたから!切り刻んでやる!!」
「それは!勘弁!願いたい!ですね!」
会話をしながら激しい攻防を繰り広げる亜紀と名無しの金髪妖怪。
しばらくそれが続くと徐々に疲れが出てきたのか、金髪妖怪の動きが鈍くなってきた。それを見た亜紀は動き出した。
「今です!」
「え!?」
自分に向かってきた腕を掴むとそれを捻りあげ、後ろにその腕をまわし、動きを固める。
「おお、案外護身術は出来てるんだな。なら考えてた特訓内容を少し変えるか」
とりあえず護身術は良し、だな。
次は出来れば妖力を使った技がみたいのだけど・・・もしくは神力でも良い。
あ、でも神力は信仰が集まって力が増すから・・・あまり期待はできんか。
まあ良いや、とりあえず妖力を使った技がみたいな。そんな事を期待しながら次はどう動くか観察していると早速動きがあった。
まずは捕まっていて動けなかった金髪妖怪が脱出するためにもがきまくる。
しかし亜紀はそれでも離すかと必死に抑えている。
「さて、どうなる?」
結果は・・・・
「うわっ!?しまった!」
「ふんっ!まだまだよ!」
どうやら振り切られた様子。あ~あ・・・とりあえずもう少し筋力がいるっと・・・。
そんな事を頭で考えていると捕縛の仕返しと言わんばかりに鋭い爪で亜紀を切ろうとする金髪妖怪。
その腕を弾いたり受け流したりして回避する亜紀。だが所々服が切れている。
どうやら完璧に回避は出来てないようだ。でもまだまだ俊敏性が足りんな・・・。
そして何度も避けたりしているうちに亜紀の動きが鈍くなってきた。
体力も少ないのか・・・
「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」
「はあ、はあ、はあ・・ふう・・・あんた、なかなかやるわね・・・」
亜紀だけかと思ったけど、どうやら相手の方も体力が低いらしい。
なんだ、最近の妖怪は貧弱なのか?
まあ良いや。
「爪がそんなに・・・嫌なら、これはどう!」
そう言うといきなり手から黒い球体らしきものを放つ金髪妖怪。
あれは・・・妖力の塊か?なかなかの濃さだな。
それに対して避けれないと判断した亜紀は腕を交差させ、さらに妖力を使って防御し、それを防ぐことに成功した。
ほう、あれもなかなか・・だがそれよりも少し驚いたのは亜紀の使った妖力だ。
あれは妖力だけじゃねえな、何か他のが混ざってる。
・・・神力か。しかも無意識にか。
「ふむ・・・」
これは案外面白い育ち方をするかもな。
神力も育てば、の話だが・・・まあ良いか。とりあえず知りたい事は知れたし
「よ」
「え?」
俺は一瞬で金髪との間合いを詰めると当て身を当てる。
「ふんっ」
「ぐっ!・・・」
それを受けた金髪は一瞬で沈んだ。
俺は気絶した金髪を肩に担ぐとさっきまで発動させていた術を解き、疲れ果てている亜紀に近寄る。
「お前の実力は把握できた。明日から頑張りなよ?」
「はあ、はあ、はあ・・・はい!」
肩で息をしながらも威勢よく返事を返してくれた亜紀。今後のお前に期待するぜ。
とりあえず俺達は一度長の家に戻ると金髪妖怪を妖力の糸できつく縛りあげ、もう一度睡眠をとることにした。
まあその時に見た外は結構明るくなっていたけど・・・。
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そして朝、まずは平和に過ごした。そしてお昼頃に昨日の事を話し、金髪の妖怪を上から担ぎ降ろし、今は色んな村人に囲まれさらには睨まれて、その中央で正座をしている金髪妖怪をどうするか話合っている。
「どうします?」
「わしとしては是非とも殺したいところ」
殺すと聞いた時、金髪妖怪の肩が少し動いた。
どうやら少し怯えているようだ。
「だが・・・」
「だが?」
そして一息置くと・・・
「妖怪といえども生きている者に変わりはない・・・・だから・・・」
そう言うと金髪に歩み寄る村長。そして次の瞬間、バチーンという乾いた音が辺りに響いた。平手を喰らわしたようだ。
「え・・・」
それを喰らった金髪は唖然とした表情で村長を見る。
その村長は・・・
「これで・・・・これで・・・・・勘弁・・・してやる!」
涙を堪えていた。それも必死で。
「じいさん・・・」
「わしはな!!貴様に孫を!息子夫婦を!妻を喰い殺されたのだ!」
「・・・・・」
「でも!でもじゃ!!」
握り拳から血が出ている。
老人の力とは言えない程に力が入っているのが分かる・・・
「あやつらは何時も、死ぬ時は人間どういう形であれ死ぬ、だからどういう形であれ相手を恨んではいけない・・・いつもそう言っておった・・・」
「・・・」
「だから・・・今ので、その恨みを流す!全てじゃ!」
そう言う爺さんの顔はかなり辛そうな顔をしている。それでもそういう判断を下した爺さんは凄いんだろうと俺は素直に感服した。
周りの村人も感服してるようだ。
そして爺さんは俺に縄を切るように視線で伝えてきた。
俺はそれに答えるために妖力の縄を切る。
「さあ・・・さっさと去るが良い・・・この気持が変わらんうちにの」
「・・・」
それを聞いた金髪はしばらく立ち尽くした後、ようやく飛んでいった。時折こちらに振り返りながら・・・。
「爺さん」
「・・・良いんですよ、これであの世に行っても怒られずに済むのですしのう」
爺さんは空を見ながらそう答えた。
その表情は少しすっきりした表情をしていた。
「さあて!これで問題も解決した事ですし!派手に宴を開きましょう!!」
「そうですね!!」
「よっ!村長!待ってました!」
村長の言葉を皮切りに、周りも一気に宴の雰囲気に変わる。
「さあさあ!では皆の者!用意じゃ!!」
「「「「「「おう!!!」」」」」」
その日の夜の宴はそれはそれは盛大にやった。
ある者は派手に酔い潰れ、またある者は愚痴をぶちまけて、またある者は変な芸を披露して、藍や幽香、紫達に至っては何やら激しく討論していたけど・・・それはそれはもう混沌を超えた混沌と化していた。でもそれでも楽しく過ごせたから良かったと俺は思う。
ある一つの視線を感じながら・・・。
そして、また次の日・・・
「助かりましたぞ蔡殿」
「いえいえ、こちらこそ妖怪と知ってなお宴会までしてもらって・・・感謝するのはこっちの方ですよ」
「そうですよ」
「いえいえ、助けてもらったんですから当然のことですよ」
俺達は旅の支度を終え、今は裏の出口まで来ている。そしてそこでいろんな方から感謝の言葉をもらっているんだ。
「そう言ってもらえるならそう言う事にしておきます・・・ではそろそろ」
「はい。いつでも来てくだされ、あなた方ならいつでも歓迎しますぞ!」
「蔡殿ーーー!!また今度語りましょうねーーー!!」
「蔡のにいちゃーーん!今度また遊んでねえーーー!!」
「ああ!じゃあな!!」
そして少ないが村長と別れの挨拶をすませ、俺達は村人から聞こえる別れの言葉を背に妖怪の山を目指して出発した。
その後藍達と今後の事を喋りながらしばらく歩き、どこかの川に到着した。
「ふう、涼しいですねえ」
「ああ」
「蔡様!魚を捕獲して食べましょうよ!」
「おう!亜紀頼んだぞ!」
「はい!って、ええーー!?」
ハハハと笑いながら亜紀に食料の調達を頼むと俺は背中の方で様子を窺うあいつに声を掛ける。
「さっさと出てこい。そんな下手な隠れ方しても、亜紀を除いた奴らには無駄な事だぞ?」
すると後ろの木からあいつが姿を現した。
「あんたらが強いのはあながち嘘じゃないのね」
「今さらだな」
なんせ亜紀以外は当の昔に気づいていたんだからな。
「で、なんのようだ?蔡様に恨みでも晴らしに来たのか?」
「それとも私と遊んでくれるのかしら?」
「なんならスキマでどこかに旅させても良いのよ?」
昨日の件もあってか、少し戦闘態勢に入っている藍達。
俺はそれを見てまあまあと宥める。
「とりあえず話を聞こうか?何か話があるんだろう?」
「うっ、そんなところまでお見通しなのね」
いや、誰でもわかると思うけど・・・
とりあえず俺達は座ってこいつの話を聞くことにした。
「で、何かな?」
「・・・・」
俯き黙りこむ金髪。そんなに重たい話なのか?
すると突然顔をあげ
「私も連れて行って!!」
「「「「・・・・は?」」」」
なにやらとんでもない発言をしたではないか・・・・え?嘘だろ?・・・・