50万PV記念 たまには平和に読書でも・・・できたらなあ
記念ですね、そのまんまです。
何気ない日常です。たぶん。
え?無茶苦茶?
・・・いつもの事です(死んだ魚の眼)
「と言う訳で読書をしに来ました」
「どういう理由かは分からないけどようこそヴワル図書館に」
いきなりな理由で本を読みに来たのですがどうやらパチュリー様は快く出迎えてくれたようです。
あ、皆様、こんにちは、もしくはこんばんわ。紅魔館の唯一の男子である、アレス・スカーレット(男)でございます。
本日はレミィからの強引なお休みをいただき、暇を持て余していたのでその暇を潰すのも兼ねてこのヴワル図書館に来たわけです。
「とりあえずレミィが言っていたお勧めの本を見てみましょうか」
「あら、レミィが?どんなタイトルかしら?」
「ええっと確か・・・義妹は兄に恋してる、でしたっけ」
「大胆なタイトルねえ」
そのタイトルを聞いたパチュリー様は物凄く顔を引き攣らせている。
それほど大胆なのでしょうか、このタイトルって。
「あなたのそういうところが問題なのよ」
「?」
「はあ・・・何で他の奴らからの好意は分かるのに義理の妹からのは分からないのかしら?疑問どころか謎だらけだわ・・・」
物凄く呆れた表情をするパチュリー様。
え?何がそんなに呆れたのでしょうか?分かりません。
とりあえず私は呆れているパチュリー様を尻目に、そのタイトルの本を探すことにしました。
が、そこはヴワル図書館。外見からは想像できないほど広い空間の中、そのタイトルを探すのは一筋縄ではいきません。
どうしたものでしょうか・・・
「まあそんなものよ。小悪魔~」
「は~い」
パチュリー様が小悪魔の名を呼ぶと何列目かの奥から可愛らしい声が聞こえてきました。
「きゃーーーー!!!」
・・・何やら派手に落ちたような音も兼ねて。
「はあ・・・・」
隣にはまたもため息を吐くパチュリー様。
大変ですね。
「慣れたわ。あの子も悪くはないんだけど・・・どこか抜けてると言うか何と言うか」
「でもこれだけの本を整理したり管理したりしているんですから優秀であるのは間違いないでしょ?」
「それくらいならあなたでも咲夜でも雪美夜でもできる事でしょ?」
まあそう言われればそうですけど・・・雪美夜に至っては一度それを見ると阿求と同じですぐに覚えて忘れることなんてしないですしね。
前に一度ヴワル図書館にある本をすべて覚えてみてと頼んだところ、たった30分で覚えてきましたからねえ。
一番奥から順に一つ一つ名前を当てて言った時は皆驚いてましたし。
「呼ばれて飛び出てなんとやら、ハロ~アレスちゃん」
「誰がアレスちゃんだ、普通に読んでくださいこの野郎」
「だがお断り~」
いつの間にやら椅子に座っていた雪美夜。相変わらず神出鬼没。
「で、何しに来たんですか?」
「何って、決まってるじゃない!愛しの我が息子に会いに来たんじゃないの~」
と言いながら私を思いっきり抱きしめる雪美夜。
たぶん知らない人が見たらこの大きな胸に抱きしめられて、てめえ変われ!とか言うんでしょうけど、あいにく私に近親相姦とかの気は無いですからただ苦しい以外はありません。
と言う訳で力を入れて引き剥がすことにしました。
「ぷはっ!あなたは私を窒息死させるつもりですか!」
「あら、ならそうなる前に我が幻神界の仲間入りね!あ、でも別にそんなことしなくてもあなたなら特別に今から行っても」
「行きません」
「うう・・・反抗期だわ~」
部屋の隅っこで体育座りをしながらのの字を書いていじける雪美夜。
ああもう!この人と話すとペースが狂う!
「そんなことしてる暇あったらさっさと戻って幻魔界の対策でも練ったらどうですか!今結構忙しいんでしょう!?」
「そんなこと言われなくてもすでに代理を頼んでるからOKよ~」
まあそんな事だろうと思いましたけど。
「誰にですか?」
「アリシエ。補佐にハルちゃんよ」
「・・・・」
以前お会いした事がありましたけど、あの人達、やはり苦労人でしたか・・・
「可哀そうに・・・」
私は今頃大忙しであろうお二人に手を合わせる。せめて早くこの人が戻りますように・・・。
「で、何してるのかしら~?」
「あなたの場合言わなくても分かってますよね、普通に」
「まあねえ。大方暇を言い渡されたから暇つぶしに、とでも考え、あのちびっ子吸血鬼に勧められたからその本を読みに行こう、てとこでしょう」
「・・・」
平然と腕を組み事もなげに考えていた事を的中させる雪美夜。
本当に、何でこんな人が幻神界を納めてるのだろうか?いや、そもそも何で神様なんてしてるんだろうか・・・
「あら、私、別に神様じゃないわよ?」
「心を読むな。そして神様じゃないならあのタイトルはなんですか?」
「さあ?愚か者が勝手に考えた事よ~、私は知らないわ~」
そう言うと心底どうでも良いと言った顔をする雪美夜。
今頃ある人は泣いているんでしょうねえ・・・
それと!神じゃないならあなたは何者ですか?
「知りません!あえて言うなら神とかの低級レベルの人では無いです!」
何ドヤ顔で言ってるんだろうこの人!しかも神様を低級ってどれだけなんですか!?
見てくださいよ!あまりのふざけっぷりに空気と化しかけたパチュリー様も小悪魔も口を開けて呆然としてますよ!?
「で、早く探さないの?本」
「あなたのせいで探せないのですよ!!」
邪魔ばっかりする人だ!!
そんな事を思っているといきなりパチンと指を鳴らす雪美夜。すると雪美夜の手の平にはいつの間にか一冊の本が乗っていた。
「はいご注文の本よ~?代金は今ならほっぺにキスで良いわ~」
「残念ながらそれはできませんのでただでいただきます」
「あら、泥棒ねえ」
そうは言いながらも私に本を渡してくれる雪美夜。
全く、優しいのかドSなのか・・・
「あら、超優しいのよ、私」
「なら今すぐ帰って仕事しろ」
「でも面倒だから嫌」
「一度くたばる事を提案します」
そんなノリツッコミをしながら私は読書に移るため椅子に座る。
全く、これじゃあ静かに読めやしない・・・
しかし私が本を読み始めるといつの間にか雪美夜とパチュリー様は隣で読書を始めていた。
向かいには小悪魔が読書をしていました。
パチュリー様や小悪魔はともかく、あの雪美夜は一体何を読んでいるのでしょうか?
ふと気になった私はその本のタイトルを見てみることに・・・
「・・・・・・・・・・・・・・」
おい・・・
「そんな本読むなよ・・・」
「あら?何のことかしら?」
いやだってタイトルが・・・・
「なぜタイトルが、母子の禁断の関係・墜落編、とか言う成人向けなタイトルなんですか!?」
「あら、これもお勉強よ?」
「外界では罪ですよ?」
「知らないわよ」
そう言うとまた読書を開始する雪美夜。
「・・・・変態め」
「あら、生きてる者は皆変態よ」
「あんたほどの変態は居ない」
「あらありがとう」
そう言うとかた読書に戻る雪美夜。
パチュリー様と小悪魔に関しては関わらないでおくべきと判断したのか、無理矢理なほどまでに読書に集中している。
小悪魔に至っては眼をギンギンにして読書しているほど。どうやらそれほどまでに彼女との会話内容は集中力を削ぐらしい。
私?もう諦めてます。
とりあえず私は念のためもう一度雪美夜の読んでいる本のタイトルを確認する。
すると
「・・・・読めない」
タイトルが変わっていた。と言うか文字が変わっていた。
何て読むのでしょうか・・・外界でもこんな文字は見たこと無い・・・
「幻神界の言語で、禁忌集、上巻よ」
「禁忌集?」
その言葉に隣で読書をしていたパチュリー様の耳が反応する。
「そう。幻魔界や幻神界でも使ってはならない物や魔法、術、契約など、いくらでもあるのよ。それらをまとめたのがこれよ」
そう言うとその本をひらひらとする雪美夜。
それとパチュリー様は読書を中断し、雪美夜の話に興味津々です。
小悪魔もそれなりに興味があるらしく、同じく読書を止めて話を聞く体制に入っている。
「例えばどんなものですか?」
「そうねえ・・・例えば、これね」
そう言うと何ページかめくり止める。
そこには血の前の絵が書かれているが・・・
「これは契約の一種よ」
「契約?」
私が反応するよりも素早く反応したのは何と小悪魔でした。
そういえば小悪魔もパチュリー様と契約を結んでいたのでしたっけ?
「そう。地獄よりさらに度を超す地獄から悪魔を呼び出すための契約儀式よ。必要なものは完全い善に傾いている人間、もしくは反対に悪に傾いている人間の血よ。大体低級で1000人分、中級で5000人分、上級で1万人分よ」
「うわあ・・・」
「・・・」
「物凄い人数ですね・・・」
それを聞いた雪美夜を除く全員はぞっとした表情を浮かべる。
「でもこれでもまだ初心者。これを超える物はいくらでもあるのよ」
「物騒ですね・・・」
「だから禁、なのよ」
「もしかして雪美夜さんもその契約を結ぶ事は・・・」
「可能よ?ただ私の場合は契約じゃなくて眷属として、だけどね。それにこんな生贄も要らないし」
「おおう・・・」
さすが危険な奴だけありますね・・・
と言うか・・・
「今さらですがそんな事を教えても良いんですか?」
「大丈夫よ。この世界にはそれだけの血を用意できても呼びだす事が出来る者なんて居ないから。それにこれらの儀式は全部幻神界や幻魔界でも限られた場所でしか出来ないからね。私のように場所とか問わずにできるならともかくだけど」
あっけからんと言ってのける雪美夜。本当にこの人が魔王とかの類じゃなくて良かった・・・。
でも確かにそれほどのものなら禁と言われてもおかしくはないですね。
「他にはこの剣とか、他にも・・」
・
・
・
それからしばらくその話題で盛り上がったあと、雪美夜は一度幻神界に帰ると言って帰って行きました。
「何と言うか、危険な世界ですね、幻神界も・・・幻魔界も」
「ええ、そうね」
「怖いです・・・」
全く・・・
「そうだ!これから少しお茶でも飲みませんか?ちょうど最近玉露を頂いたんですよ!」
「へえ・・・でも私は良いわ、いつも通りの紅茶でお願い」
「じゃあ私はそれで」
「はい!」
そう言うと椅子から立ち上がりお茶と紅茶を準備しに行った小悪魔。
さて、私はこのなんとも言えない感じを解消するためにもレミィお勧めの本を読もう・・・と思いましたが、何やらパチュリー様が私の方に一冊の本をすうっと置いてきたので、一時中断することにしました。
とりあえずその本を手にとってタイトルを見てみると・・・
「執事と魔女の甘い空間?」
「・・・」
そう復唱するとなぜか顔を赤くして顔を背けるパチュリー様。
もしかして・・・私はその本を少し覗く程度に見てみました。すると・・・
「・・・・大胆ですね」
「・・・それも一種の意思表示よ」
となおも顔を赤くしながら答えるパチュリー様。
いやあ、こっちまで顔が赤くなりますよ。
「でもこれって、どう見ても官n」
「お持ちしましたーー!!」
どんっ!大きな音を立てて机にカップとポットを乗せたトレイを置く小悪魔。
何となくだが不機嫌な気が・・・
「・・・・」
「・・・・」
そして次第に空気が重くなるヴワル図書館。
おおう・・・怖いですね・・・
「・・・・・ふう・・・・全く、邪魔してくるのは白黒だけで十分よ」
「でもこれに関してそうも言ってられませんからね!良い雰囲気なんてぶち壊してなんぼです!」
そう言うと先ほどの重い空気は一気に無くなり、先ほどの穏やかな空気が流れだしました。
「まあ、今回は邪魔されといてあげるわ」
「安心してください!次も邪魔しますから!」
そう言うとお互いに笑いあう。
そして小悪魔はお茶と紅茶の準備を始める。
「乙女心とは難しいものですね・・」
「あら、それは今さらよ」
そう言うといつの間に取り出したのか、読書をし始めるパチュリー様。
私も続きを、と先ほど渡された本を手に取ろうとした時、その本が無くなっている事に気づきました。
あれ?何時の間に?
「・・・・まあ良いでしょう。とりあえずレミィお勧めの本を・・・」
私は読書を開始しました。
「・・・・雪美夜みたいに真っ直ぐってなかなかできないわね・・・まああれは少し異常でしょうけど」
「ん?どうかしましたか?」
「いえ、何でも無いわ」
「?」
「ふふっ」
何だと言うのでしょうか・・・まあ良いや。読書読書っと・・・あ、玉露おいしい。