強者とは常に追われるのさ・後
雪美夜の話も執事物語もネタはある!
脳内メモリーに!(標準搭載容量100KB)
だがな!表現できんのだ!!
時間が減っているんだ!書く時間が!
「ほらほら!!どうしたのかしら!!その程度なの!?」
「ったく、こっちは手加減してるっての!!」
「蔡様!」
よう!皆!うわっ!蔡だ!おお!?あぶねえ!!
「こら恒例の自己紹介してんだ!邪魔すんな!」
「それは出来ない相談、ね!」
おおっと!?まあ今言った通り、というか見たまんま戦闘中なのだ!
おいこら!その雨避け用の何かを使って殴りに来るな!!
「お前凶暴すぎる!!」
「あら!こんな美人にそんな事言うなんて、酷い人ね!」
「何言ってやがるんだ!!」
手加減ってのは案外面倒なものだ。おかげで気絶させる隙を窺うために防戦一方だ。
本来なら一瞬で沈めているんだが・・・
「アハハハハハハハ!!!」
見ての通り、この狂暴さ。それにあの血まみれ鈍器。さすがに痛い目には合いたくないぜ。
「ああもう!面倒になってきたぞ!」
「我慢です!!」
「面倒だーーー!!!」
「我慢です!!!」
分かった分かった!!我慢すりゃいいんだろ!!我慢すりゃあ!!
そんな風にやけになってる間にも幽香の攻撃は一考にやむ気配が無い。
下からの蹴り上げ、あの鈍器を振り回す、回し蹴り、踵落とし、などなど、なかなかの攻撃方法の数である。
「まあ面倒な事この上無いがな・・・」
「余裕ね、あなたは!」
とか言ってる間にまた回し蹴り。物凄い速度である。なんかごおっ!!って音が聞こえるくらいに。
「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」
そんな事を思いながらしばらく回避に専念しているとようやく肩で息をし始めた幽香。
今さらだが物凄い体力である。
「ようやく疲れ始めたか」
「そうですね」
それに比べて俺らは全く疲れていない。ただひたすら回避してたからな。
幽香の蹴りが大ぶりになるように誘ったり、全速で接近してくるように距離を置いたりなど、色々したからな。
まあ多少掠った後はあるが、問題は無いだろう。
「蔡様・・・」
「・・・了解」
俺は当初の予定を達成するため、疲れのせいか動く気配の無い幽香に近づく。
「はあ・・・はあ・・・・ふんっ!!」
「まあ最後の抵抗ってやつだな」
幽香は最後の抵抗とばかりに蹴りを放つ。しかし
「でも所詮はお疲れさんの蹴り。速度も鋭さも皆無だね」
俺はそれを何の問題も無く腕で止めると空いている片方の拳を
「がっ!!・・・・・・・」
幽香の腹にめり込ませた。
それを受けた幽香は当然疲れと痛みで気を失った。
「ふう・・・あんまりすっきりしないなあ」
俺は気絶した幽香を肩に担ぎながらそんな事を言う。
「まあ理由が理由ですからね、仕方ないですよ」
「う~む・・・」
まあ良いか。とりあえず早くこの荷物を部屋に届けないとな。
「さあて・・・紫、すまねえがそこらに飛び散ってるゴミを片付けといてくれ」
「あら、人使い荒くないかしら?」
「そう言うなって。今度何か甘い物でもご馳走するからさ」
「ふふ、分かったわ」
そう言うと笑顔で作業に取り掛かる紫。
その後を亜紀が追いかけて行った。
「亜紀の奴、顔が真っ青だったけど、大丈夫か?」
「まあ、大丈夫でしょ。それよりも・・・」
藍は不機嫌そうに俺の顔を見てくる。なんだ?
「紫にはご褒美があるのに私には無いんですか?」
「うっ・・・」
いかにも不公平ですよね!と言いたげな藍。いや、まあ確かに不公平と言えばそうだけど・・・
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「うっ・・・」
藍の奴。次第に涙目になって来やがった。
こうなってはもう何もできない・・お手上げだ。
「分かった分かった・・・なら次の町か村に着いたときに何か買ってやるよ。これで良いか?」
「はいっ!」
泣いた藍がもう笑って上がる。ったく・・・
「さあ、そうと決まればさっさとやる事終わらせましょう!」
「っておい藍!引っ張るな!」
凄く楽しそうな藍は俺の腕を掴むとぐんぐんと幽香の家に向かって歩き始めた。
こっちの状況も考えて、藍・・・
・
・
・
幽香の家に着き、藍が幽香の傷の手当てや服の着替えを済ませた後、俺達はただ静かに座って待っていた。こいつが目を覚ますのを。
「さすがにあれだけ暴れればなあ・・・」
「まあ当然と言えば当然ですね」
それに精神的疲労もあるしな。藍がずっと前に言ってたが妖怪とは体力的疲労よりも精神的疲労の方が体への影響が大きくなりやすいらしい。
中には精神的疲労のせいで自我を失なう者や体に異常が起こる者も居るとか。
なかなか深いな妖怪って。
「予想だとどのくらいで起きると思う?」
「そうですね・・・・私の計算だと今日の夜中から明日のお昼頃。誤差は大体半日程度ですね」
「おおおう・・・」
一度こいつに世界にあるありとあらゆる計算をさせてみたい。
「まあ藍がそう言うんだ。なら今日は無断だが泊めてもらおう」
「そうですね、そうしましょう」
そう言うと俺は外で作業を続ける紫達に今日も泊まると言う事を伝える。
返事は
「是非ともそうしましょう」
との事。
どうやら相当面倒らしい、外の清掃活動は。
とりあえず俺はそれだけを伝えると藍と一緒に晩御飯を作りに向かった。
今日はみそ汁とご飯だそうだ。簡単だがこれほどなじみ深い物は無い。
俺の中では常に上位に君臨するご飯である。
特に藍の作るものは本気でうまい。
最近はその腕がさらに上達している。これはきっと良い嫁さんになれるな。
「・・・・」
「ふんふんふふん~」
俺は隣で楽しそうに料理する藍を見てふと思った。
もしこいつが別の男と仲良く夫婦円満にしていたら・・・
「うむ、抹殺だなそいつ」
「へ?」
「いや、何でも無い」
ふっ、我ながらなかなかに嫉妬深いな。
・・・ん?嫉妬深い?
「・・・・・・」
・・・・・なるほど、俺も少なからず藍に男としての好意を寄せているってわけか・・・
「はあ・・・何とまあ遅い事で・・・」
「どうかしましたか?」
「いやあ、ただ純粋に俺もそんな事を知る歳なのかなあと思っただけだよ」
「そうなんですか・・・ふふ、変な蔡様」
そう言うとまた楽しそうに料理を再開する藍。
さて、俺も再開するか。
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・
「あらあら、なかなか広がったわね、あなたの予想図は」
これだけ広くなったら1つ1つの行動がとても重要になってくるわねえ。
私は手にあるただならぬ紙を見ながらそう思う。
「さあ、あなたの行動次第で減るかもしれないし、増えるかもしれない」
何がとは言わないわ。
それを知っては面白くないからね。
「どういう行動を見せてくれるかしら」
この紙に書かれた予想図の中のどれかか・・・それとも・・・
「まあ、良いわ。それより早く戻らないと怒られちゃうわ~」
主にアリシエに。
「さて・・・あなたはどういう行動をするのかしらねえ、蔡」
楽しみだわ・・・
私は楽しそうに料理をする蔡と藍を遠くから眺めながらそう思う。
「それじゃあ・・・さよなら、蔡」
また近いうちに会いましょう?
なにぃ?戦闘描写が少ない?そんなもの仕方ねえ!だって苦手だから。
何かとは言わない。