強者とは常に狙われるものさ・中
少しクールダウンした後の投稿。
果たしてマシになってるのやら・・・
緊迫とする周囲・・・死ぬ瞬間が刻一刻と近づいてくる感じがするぜ・・・
よ、皆・・・蔡だ。
まあ前の話を見たらわかると思うが現在とんでもなく危険な状況に居るんだな、俺達。
まあ俺はともかく、他の奴にとっては危険地帯そのものだろう。
ただ何もせず俯いているだけの幽香が、今は死神にしか見えない。
そんな事を考えている最中、当の本人である幽香は先ほどの発言からなにも一切仕掛けてこない。
「ここまで来ると不気味を通り越すな」
「こんな状況でそんな事言える蔡様の余裕さが羨ましいです」
となりに来たのは藍だ。その表情はあまり芳しくないようだがそれでも余裕があるようだ。
「そうは言ってもお前も同じだろうに」
「いえいえ、蔡様ほど根性はありませんよ」
「誰が根性野郎だ」
全く、こんな中でそんな軽口を。
「あ、亜紀と紫は?」
「居ますよ。紫は平気みたいですが亜紀は・・・戦えません」
「・・・仕方ないさ」
前にも言ったが碌に訓練してやれてないんだ。今のあいつだと気絶せずに立ってられるだけでもかなり上々だ。
「で、どうするのかしら?」
「おっと、噂をすれば紫登場っと」
「・・・私もいますよ蔡様」
「はいはい、亜紀も登場っと」
改めて顔を見ると、確かに藍の言った通りだ。
紫は特に問題なしといった表情で、亜紀は顔がすでに青を通り越している。
「亜紀、無理はするな。厳しいなら少し避難してろ」
「・・・いえ、耐えます」
「・・・分かった。無茶は禁物だからな?」
「はい・・・」
ったく・・・変なところで真面目なんだから・・・まあ良い。それよりもだ・・・
「あいつ・・・本当に動かねえな」
「そうね。あんな感じでいられると、どう対処すれば良いか分からないわ」
「そうだな」
「あら・・・そうかしら」
「「「!?」」」
どこから現れたのか、そしてどうやって座っているのか、雪美夜が俺の肩に器用に座っているぞ!?
「てめえ!降りろ!」
「あら、こんな美人が肩に乗ってるんだから少しは喜んだらどうなのよ~?」
「くっ、確かにあんたは美人だろうな!それは認めるが、とりあえず降りろ!何か怖いわ!」
「もう、我儘ねえ・・・」
そう言うと、音も無しに地面に降りる雪美夜。つうか、重さが感じられなかったけど!?
「で、何してるかしら?こんなところで」
「見りゃわかるだろう?幽香をどうするか悩んでるんだよ!」
「え~?どうするかって・・・そんなのただ普通に止めれば良いんじゃないの?」
「お前なあ!他人事だからって酷くねえか!?」
「いや、他人事でしょ?」
こいつ・・・本当に酷いな・・・血もn
「涙もありますよ~だ」
「おいこら止めろ。俺の台詞盗るな」
「?何を言ってるんですか蔡様?」
「いや、何でも無い」
「ふふっ」
くそぉ~・・・何時か覚えてろよ!
「私多忙だから無理」
「おい二回目な」
「だから蔡様、一体何を仰ってるんですか?」
「大丈夫だ、特に何もない」
「はあ・・・」
相変わらず雪美夜と話すと調子が狂うぜ・・・それよりもだ!
「だからどうするんだ!」
「だから普通に行けばいいn」
「いい加減せえや」
「蔡様、落ち着いてください!」
「そうよ蔡。あなたさっきから雪美夜に遊ばれてるのよ?」
「ぐっ・・・」
ちっ・・・笑ってやがる、雪美夜の奴。
「まあ良いさ・・・で、どうするんだ?」
「そうねえ・・・真面目にアドバイスするなら、貴方がなんとかなさい」
「・・・俺?」
つうかあどばいすってなんだ?それよりもだ
「俺ってどういうことだよ?」
「さあ・・・どういうことでしょうねえ」
そう言うと奥が読めない笑みを浮かべる雪美夜。何を考えてるのかわかりゃしねえ。
「さあて、本当なら帰って幻神界のお仕事をしないといけないだけど・・・」
「幻神界?」
「気にしないで良いわ。とりあえず息子の成長を見ておきたいから残ることにするわ~」
そう言うと幽香の家の屋根に飛び乗り座る雪美夜。あいつ、何でもできるのな・・・
「帰れ!」
「あらら?私なんかのことより、ほら」
ちょいちょいっとある方向を指で示す雪美夜。その方向を見てみると
「さあて、誰から血祭りに上げてほしいかしら?」
「うわお・・・」
こちらに視線を向け、そろそろ動きだす様子の幽香。
背中の背景に燃え盛る炎がさらに幽香を危ない存在に見せる。
「・・・!?」
なんだこれ・・・どっかで見たような光景に・・・似ている・・・・
「どこかで・・・」
『蔡様が悪いんですよ!!人間ばかりにかまって!!』
「これって確か・・・」
『ふふ、ソウネ、その通りだワ』
「夢の中・・・」
『これが妖怪のホンライあるべき姿よ蔡!』
断片的に蘇る夢の記憶・・・
「・・・・」
「・・・蔡様?」
『寂しいわ~・・・そんなに私の事がキライ?蔡』
「・・・・・・・」
「蔡様!」
「はっ!?」
・・・俺は、何を・・・
「蔡様・・・大丈夫ですか?」
「・・・あ、ああ、大丈夫だ藍・・・すまん」
「いえ・・・」
なんだか一瞬だけど、別世界に居る感じがしたぞ・・・しかもかなり現実的な・・・
「・・・ふうん・・・今のあの子の未来は・・・そうなってるんだ・・・」
全く・・・最近俺どうかしちまったのか?
「・・・まあ良いさ」
今は目の前の問題に集中だ
「藍」
「なんでしょうか」
「幽香が動いたら、間違いなく最初にあの雑魚どもが殺されだろう。だが次に狙いは必ずこっちにくるだろう」
「・・・」
「そして来たら俺とお前であいつを疲労困憊にする・・・良いな」
「・・・了解しました」
とりあえずあいつを止めないと話にならねえ。でももしあまりにも被害が及んだりするなら・・・その時はあいつを殺す。
出来ればそうならないようにしたいがな。
「紫」
「何かしら」
「亜紀を頼む」
「あら、私が面倒を見るの?」
「今の亜紀にはあいつに対抗する術は無い。頼む・・・」
「・・・・」
しばらく無言になる紫。
「はあ・・・」
そして諦めたのかため息を漏らす。
「分かったわ。でも加減を間違えないようにね?」
「分かってる」
分かってて言ってるんだろうなこいつ。
「さて、とりあえずこれで何とかなったろう」
後は幽香が動くのを待つのみだ。
「さあ、始めましょうか!」
といってもすぐに動き出したけどな。
どれだけ狂人なんだ、あいつ。
「さっき言った通りしばらくは待機な」
「はい」
そうやって俺達が待機してる最中、目の前では子供には見せられない光景が広がっていた。
首が飛び、血飛沫を出し絶命する者が居れば、悲鳴をあげ、何もできずに無残に殺される者もいる。
「アハハハハハ!!さっきまでの威勢はどこ行ったのかしら!!?」
そんな中血を体に浴びながらも狂気の笑みを浮かべながらそれはそれは楽しそうに狩りをする幽香。
めちゃくちゃ恐ろしいな、あいつ。
「これが暴走と言うやつですか・・・」
「そうだな・・・これが暴走ってやつだな」
「・・・・」
何やら困った表情の藍。どうしたんだろうか?
「どうかしたか?」
「いえ・・・ただ、もしあいつのように大切なものを奪われたら、私もああなる気がして・・・」
「・・・」
「あはは・・・すいません・・・」
「いや、良いさ」
「でも・・・」
手を握ってくる藍。
「私にとってそれくらい・・・いや、それ以上にあなたが大切と言う事を知っておいてほしいです」
「藍・・・・」
「あ、あははは、すいませんこんなこと・・・でも、これは本心です・・・」
「・・・・」
全く・・・そんな顔真っ赤にして言われるとこっちまで真っ赤になるっつうの。
「ま、まあ・・・・ありがとう・・・」
「い、いえ・・・・」
「はいはい熱いですねえ旦那~・・・けっ、惚気が」
「紫様、口調がおっさんですよ・・・」
「誰がおっさんよ!!」
と、とりあえずだ!!今は集中だ!
「で、げ、現状はどうなってるんだ!?」
「・・・ふんっ、見ての通りよ!」
どうやら幽香はまだ大量虐殺の真っ最中のようだ。
さっきよりも赤い範囲が広がってるけど・・・どれだけ殺したんだろうか・・・
「でも・・そろそろよ」
「ああ・・・」
先ほどよりも妖怪の数は断然少なくなっている。もう数えられるほどだ。
「藍、そろそろ来るから集中しろ!」
「は、はい!」
そうこうしてる間にあっという間に妖怪は全滅・・・そしてとうとう矛先は俺達に向いた。
「あなた達が・・最後ネエ?」
「幽香・・・」
今の幽香は悪魔に見えるぜ。だって全身血まみれ・・・唯一血の被害が少ないのが顔だけ。
「それ以外血まみれだな・・・恐ろしいぜ・・・」
「あれこそ死神でしょう」
「そうね・・・」
まあそれはともかくだ・・あっちはすでに戦闘態勢のようだぜ?
「さあ、あなた達は楽しませてくれるのかしら?」
「まあそれなりにはな。楽しめると思うよ?」
「蔡様ほどではないが、まあそれなりに行けると思う」
「そう・・・・じゃあ・・・ハジメマショウか!」
・・・加減を間違えないようにしないと・・・・とりあえず、止めてやるさ!!
「行くぞ藍!!」
「はい!!」
参る!
今さらですが、雪美夜さんが主人公の話も書いてます。もしよかったら見てくださいね!それと雪美夜さんの挿絵もあります。ええ、頂きました。ありがたい話です!




