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二十二章 はいは~い、平和だね~

明日は・・・・野球だ!!

・・・・すいません、関係無いでしたねハイ。



「・・・・・」


「・・・・・」



俺、今絶対面倒くさいって表情してるんだろうなあ・・・あ、もう始まってたのか。

よう、皆。俺だ、蔡だ。

今俺達は見ての通り知らない女性とご対面している。

何でこうなったかと言うと、前の話を見れば分かるから省略させてもらうな。

あ、それと俺は今は男だ。さっきの野宿の時には元に戻っていたんだ。

まあ、それはともかく



「あら、そんなに怖い顔しないでほしいものだわ」


「いやいや、それを言うならあんたもでしょうが」



何かを開いたままとても『爽やか』な笑みをする誰か。というかそんな笑みを向けられちゃ誰だって警戒心満載の顔になるだろう、常識的に考えて。



「いやだわ怖いなんて。これ以上ないほどに友好的笑顔じゃない」


「なら一度笑顔ってどういうものか調べ直してきた方が良いぜ?その笑みはどう考えても友好的とは言えねえから」


「あなた初対面なのになかなか楽しいわね」



こっちは迷惑だ。と言うか迷惑を通り越したわ。



「そりゃどうも。で、帰って良いのか?というか帰らせろ、今すぐに。面倒事は藍と紫で間にあってるしな」


「「ひどいです(じゃない)!!」」



だがそれも事実!!これについて文句は言わせねえ!!



「・・・ふふっ」


「ん?何かおかしなこと言ったか?俺」


「いいえ、ただ可笑しくて」



そう言いながら先ほどの『爽やか』な笑みとは違い、ただ純粋な笑みをしている誰か。



「何か言ったのか?俺って」


「「知りません(知らないわよ)!!」」



物凄く怒られた・・・ひでえ。そして息合い過ぎなお前ら。

そんな可笑しな事をしていると先ほどまで危険だった誰かはふぅ、と一息つくと何かを閉じた。



「なんだがやる気無くしちゃったわ」


「そうか、それは平和的で良いな」


「誰のせいよ」



知らん。

まあともかくだ、どうやら平和に過ごせそうなのでこれはこれで良しとしよう。

何?刺激求めてたんじゃなかったのかって?笑えるものは良いが喧嘩事は要らん!藍と紫で十分間に合ってる!!



「まあ良いわ。で、旅人さん、私、今から少しお茶でもしようと思うんだけど、良かったらどう?」


「お茶?俺達とか?良いのか?」



まさかの提案に俺吃驚。



「良いわよ。どうやらあなた達向日葵を荒らしに来たお馬鹿さんでもないし、何かと理由付けて殺しにかかってくるお馬鹿さんでもないみたいだしね」



・・・うん



「お前も大変だなあ」


「慣れてるから別に大変じゃないわよ」


「そうか」


「で、どうするの?飲んで行くの?行かないの?」


「う~~ん・・・」



どうするかなあ・・・俺はとりあえず一度藍達の方を見る。反応は・・・



「「「・・・・」」」



特に嫌な顔もしてないみたいだ。なら決定だな。



「じゃあお邪魔しようかな」


「そう、じゃあちょっと待っててね」



そう言うと家の中に入っていく誰か。



「・・・あ」



今さらだが名前とか聞いてなかったな。まあ良いか。



「蔡様」


「ん~?どうした亜紀」


「あの人は一体何者なんでしょうか?」


「何者?」


「はい。妖怪であるのは事実ですが、ただ強さの底が見えないと言うか、分かりにくいと言うか・・・」


「はは」



なかなか鋭いじゃないか亜紀。俺はご褒美代わりに頭を撫でてやる。

最初は慌てていたが次第におとなしくなり顔を赤くしながらも静かに受け入れた。

しかし亜紀よ



「強さの底が見えないようではまだまだだなあ」


「え!?分かるんですか!?」


「もちろん。藍と紫もな」


「ええ!?」


「当たり前よ」


「うむ、当たり前だ」


「さすがです・・・・」



唖然とした顔をする亜紀。なかなか面白い奴だわ、本当。

そんな事を思っていると家の扉が開いた。出てきたのはもちろん誰か。手に見たこと無いお盆らしき物とこれまた見たこと無い茶器らしき物。

どっかからこんな物入手してるんだ?



「ふう。ちょっとそっちにあるテーブルと椅子置いてくれないかしら」


「ん・・・・これか。ちょっと待ってくれ」



俺は家の近くに置いてあったてーぶると言う物と椅子を持ち上げ、それを順に置いていき準備をする。



「これで良いか?」


「ええ、ありがとう」



そう言うとてーぶるの上に置かれた茶器らしい物にお茶を注ぐ。ん?



「見たこと無い色のお茶だな」



注がれているお茶の色は何時もの色では無く薄い茶色の液体だった。



「ああ、これね。これは紅茶って言うのよ」


「紅茶?」


「そうよ」



紅茶・・・・



「聞いたことあるか?」


「いえ、無いですね」


「同じく」


「無いわ」



ふむ・・・紫すらも無いか。



「まあ無くてもおかしくは無いわよ。このあたりではまず飲めないし手に入れることも出来ないしね」


「そうなのか」


「それはそうと、早く飲んだらどう?」


「・・・そうだな、そうしよう」



早速紅茶の入った・・・



「この茶器は?」


「ティーカップよ」



そのティーカップを持ち、飲んでみることにした。



「んぐっ・・・」


「・・・・これは」


「・・・・なかなか行けるわね」


「・・・おいしい」



うん、良い味だ。他の面子もどうやら気にいった様子。



「さて、とりあえず・・・・」



名前を未だ知らない誰かはカップをテーブルに置くとこっちに顔を向けてきた。



「そろそろ自己紹介しましょうか」


「あ、そうだな」



俺はカップを置き誰かに顔を向ける。藍達も顔を相手に向けた。



「今さらだが、俺は蔡。まあ見たまんま旅人さ」


「私は藍。同じく旅人をしている」


「私は「能無しだ」そうそう、能無し・・・ふざけんじゃないわよ!!」



またか・・・・勘弁してくれ。とりあえず拳骨な。



「藍、そろそろ仲良くしなさい」


「いだ!!で、でもぉ~」


「でももくそも無い。紫も、大人ならそんな挑発に乗るな」


「痛い!!女性に手をあげるなんて最低よ!!」


「ああ?」


「すいませんでした・・・」


「よろしい」



全く、どうしてすぐに喧嘩するのやら・・・・何とかならんものか・・・



「まあとりあえずさっさと自己紹介しろよ」


「うう、なんでこんな目に・・・私は八雲紫!同じく旅人よ!ふんっ!」



あ~あ、またご機嫌斜めだ。まあ良いか



「良いの!?」


「心読むな。次」


「はい。私は亜紀と言います。れっきとした男です。そして旅人をしてます」


「あら、男だったの?」


「・・・・」



うむ・・・・仕方ないさ亜紀、そんな滝のように涙を流してもそう見えるんだから仕方ない。諦めろ。



「嫌です!!」


「だから読むなって・・・で、次はあんただけど?」


「それもそうね。じゃあ改めて・・・私は風見幽香。ここら辺に住んでいるただの妖怪よ」


「妖怪ねえ・・・そんな事俺ら旅人に言って良いのかい?」


「あら、あなた達も同じでしょう?なら言ったところで問題無いわ。それに口も固そうだし」


「そうかい」



何とまあ、信頼されてる事で。



「それはともかく、あなた達って今旅をしてるのよね?」


「まあな」


「どこに向かってるのかしら?」


「ここからさらに北西のところにある妖怪の山ってところだ」


「へえ~、妖怪の・・・」



そう言うと笑みを浮かべながら楽しそうにする風見。



「なんだ、何かあるのか?」


「いいえ、ただ物好きねえ、と思っただけよ」



本当だろうか・・・さっきの笑みはそれ以外の何かがありそうな感じだったが・・・



「そうか・・・」


「そうよ。で、その山に着いた後は?」


「ん~?」



着いた後・・・・全く考えてなかったな。

着いた後か・・・・・



「そうだな、次の目的が決まるまでまたふらふらとするかな」


「そうなの?案外計画性が無いわね」


「はは、確かにな。でもそれくらいでちょうどだよ、俺ら長生きな妖怪からしたらな」


「ふふっ、それもそうね」



まあ決まろうが決まらないが、どうせふらふらするんだ、あまり計画性とか必要無いだろう。

そんな事を思っていると・・・



「蔡様~、楽しそうですね~、私の事は無視ですか~?」



おおう・・・嫉妬神が降臨しなさった・・・



「楽しいはともかく無視はしてないだろう」


「そうですね~、そうみたいですね~」



横にプイッと顔を向ける藍。すまん藍、俺にはその仕草は可愛いとしか言えない。



「そうやって~、色んな女性と仲良くなっていくんですね~、よっ、世界一の女たらし」


「ひでえ・・・」



理不尽だぜ・・・そしてそんな様子を見ていた風見はというと



「・・・」



物凄く良い笑顔をしてやがりました。

あれ絶対何かいらねえ事考えてるぜ?



「あなた達って恋人同士なのかしら?」


「恋人というk「夫婦です」こら勝手に結婚させんな」


「良いじゃないですか!どうせあんなことやこんなことを」


「止めて、死ねるから止めて」



精神的にもこれは来る!見ろ!紫に関しては、なんであんな女に男ができるのよ!なんて言ってるし亜紀に至っては、だから言ったでしょうに、とあきれ顔をしている。

よし亜紀、あとでお前には訓練をしてやろう。とびっきり危ない訓練をな。



「ともかく!夫婦なんだ!」


「違う!夫婦では無い!!」


「夫婦です!!」


「違う!」


「じゃあなんですか!!」


「ええっと・・・」



聞かれると・・・答えられん。



「ほら!分からないならいっそのこと夫婦で良いでしょう!」


「とりあえず色々吹っ飛んでるかな!?落ち着け藍!!」


「落ち着いてられませんよ!そもそもなんでそんな曖昧な」



その時右腕に何やら柔らかい感触が・・・俺は何か嫌な予感がしながらもその原因の方に顔を向ける。すると・・・



「・・・ふふっ」



超爽やかな笑顔の風見が俺の腕に抱きついていたのであった。それも胸を当てて・・・いや、待って!!



「お前は馬鹿なのか!?この状況で何をしてるんだ!」


「さらに楽しくするための何かよ」


「止めて!死ねるから!!」


「あらあら、私の事より、そっちの方が大切じゃないかしら?」



楽しそうな笑みを浮かべながら指をさす風見・・・その先には・・・



「・・・・・」



阿修羅様が居ました!!



「待て藍!誤解だ!!」


「ほう、その状況を誤解と・・・」


「そうだ!これはこいつが勝手に!!」


「ひどいわ・・・人が勇気を出してこんなことしているのに・・・」


「待てこら!余計に誤解されるだろうが!!」



風見いいいぃぃぃぃぃ!!!!貴様ーーーー!!謀ったな!!



「あら、でも得はしたでしょう?」


「ふざけんな!!おかげで藍が阿修羅に変わっちまったじゃねえ!!」


「ほう・・・阿修羅ですか・・・そうですか・・・」


「ま、待て!話し合おう!!」



平和的解決を俺は望みます!!それと亜紀!!気絶すんな!!紫!!てめえは地味に逃げようとするな!!



「さあて、蔡様?」


「は、はい!!」



俯いているせいか、藍の表情が読めない・・・

あ、やばい・・・これは・・・



「お覚悟は・・・・よろしいですか?」


「か、覚悟なんて、で、出来てません!」



俺・・・



「問答・・・」



死ぬ・・・



「無用!!!」



そして俺は意識を失った・・・藍の張り手によって。

でもな、気を失う前に見えたお前の涙目、可愛かった・・・・

「いつつつ・・・くそ、藍の奴、全力でやりやがって」



あの後からしばらくして夜にようやく目が覚めた俺は藍に謝罪をしに行った。

まだ少し機嫌は悪かったがそれでも許してくれた藍。お前の心の広さには感動する。いや本当に。

まあそれはともかく、今俺は幽香の家に泊まることにした。

なんでも幽香曰く


あなた達みたいな面白い人達は久々に見た。だから泊まって行きなさい


との事。

あんまり理由としてはどうかと思うが、まあ理由はどうあれ、気に入ってもらえたようだ。

で、現在俺家の外に出て星を眺めていた。



「ふう・・・楽しい一日だったな」



まあそれなりに痛い目にはあったが。でも・・・



「それでも良い日だったな」


「あら、それは良かったわね~、蔡」


「ん?」



急に誰かの声が聞こえた俺はその方に顔を向ける。そこに居たのは・・・



「なっ!?お前は!!」


「ハロ~?蔡、久しぶりかしらね~」



忘れもしない・・・



「雪美夜!」


「夜に大声を出しちゃ駄目よ?ご近所迷惑よ~?」



俺の母と名乗る雪美夜が居た!



「何しに来た!」


「もう、夜中に大声は・・・分かったわよ、ちゃんとお話しするからそんなに警戒しないでちょうだい」



無理な話だ!



「ならさっさと話してくれ。てめえの顔は出来る限り見たくないんでね」


「反抗期かしら~?お母さん、ショック」



と嘘泣きをする雪美夜。



「てめえ、ふざけてんのか?」


「ふざけてないわよ?ただ遊んだだけよ?」


「帰れ!」



あまりのふざけた態度に俺は限界を迎えた。



「てめえ!!ふざけんなら帰れって!」



俺は蹴りを放つ。それこそ藍にも出したこと無いくらいの速さと威力を込めて。しかし・・・


「あらあら、お母さんに足を向けるなんて、いけない子ね~」



雪美夜はまるで遊ぶかのように人差し指だけで止めた。



「・・・ちっ、相変わらず異常だぜ、てめえ」


「失礼しちゃうわ~」



とりあえず俺は蹴りあげた足を引っ込め、話を聞くことにした。



「あら、素直ね?」


「さっさと終わらせたいだけだ」


「ふふっ、ツンデレね」


「つん・・でれ?」


「何でも無いわよ」


「とりあえずさっさとしてくれ」



こっちはさっさと寝たいんだ。



「分かったわよ~・・・まあじらすとかそう言うのは無しにして、単刀直入に言うわね」


「?」


「ここ、燃やされるわよ」















ちょっとグダッタ感があるけど・・・まあ何とかなるでしょう・・・たぶん・・・

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