二十一章 妖怪の山まで後どれくら・・・どちら様?
更新速度が高いうちにガンガン出しておこうと言う作戦です!
意味があるかは分かりませんが・・・それに何時までこの速度が続くか分かりませんし・・
???・???
「蔡様・・・どうです、美しいでしょう?」
「ら・・ん・・?」
辺りの建物が燃える中、顔を殺した人間の血で汚し、妖しく、光の無い目で俺に微笑みかける藍。
事情を知らない者からしたら美しい笑みなのだが、その事情を知ってる俺からしたらその笑みは悪魔の笑み・・・人殺しを楽しむ狂気の笑みにしか見えなかった・・・
「藍!なぜ村人達に手を出した!!なぜだ!!!」
「アハはははは!!これこそが本来妖怪のすべき事!!どこに疑問に思うところがありましょう!!?」
「藍・・・・お前・・・・」
「それに・・・」
藍は手に付いた血を舌で妖しく舐めとるとある方向を指をさした。
俺はその方向を視線を向ける。そこには・・・
「な!紫・・幽香・・・お前ら、どうして」
藍と同じく血で服や顔を汚した紫と幽香がいた。
藍と同じく、光の無い目をしながら・・・
「お前達・・・なんで・・・なんでこんな事を!!」
「あら、おかしなことを言うのね、蔡。藍がさっき言ったでしょう?これこそが妖怪だと・・・妖怪のすべきことだと・・・」
「そうよ?今までの方がおかしかったのよ。人間と仲良く住み、協力し、楽しくお喋り・・・こんな事をしていたあなたの方が異常よ」
そう言いながら妖しく、狂気の笑みを浮かべる紫と幽香。
狂ってやがる・・・なぜだ・・・お前ら、どうして・・・お前らはこんな事をするような奴らじゃなかっただろ?なのに・・・・・
「そうね、異常と言えば亜紀もそうよね」
「亜紀?」
なぜ亜紀の名前が?いや、そう言えば先ほどから亜紀の姿が見えないな・・・まさか!
「お前ら!!亜紀に何をした!!」
「あらあら、そんなに怒らないでよ。可愛い顔が台無しよ?」
「黙れ!!そんなことよりは亜紀は!?」
「せっかちねえ・・・藍?」
「はい」
紫が藍の名を呼ぶと藍は後ろの燃えている小屋の中から・・・
「!?」
全身血まみれになった亜紀を引きずり出した・・・
「亜紀・・・」
「ふふっ・・・この子は異常よ?最後まで私達に立ち向かってきて人間を助けようとしたのよ?」
「ですが、所詮は未熟な銀狐・・・相手になりませんでしたけどね」
楽しそうに笑う藍と幽香。
「てめえら・・・・・」
「あら、何かしら?」
俺はその笑みを見た瞬間・・・・
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森・夜
「うわーーーーー!!!!」
がばっ!!と音がしながら俺は飛び上がるように目を覚ます。
な、なんだ今の!?あれって確かに藍と紫だったよな!?
それに、あの血まみれの銀狐って・・・・亜紀だったよな?
「・・・・」
俺はあまりの壮絶な夢に呆然とした。というかしざるを得ない。
「前にもあんな夢、見たよな・・・」
俺は眠っている藍と紫を見ながらそう言う。
あの時も今回のような夢だった・・・藍と紫と誰かが・・・
「くそっ・・・」
あまりの胸糞悪さに悪態をつく。何なんだよ・・・
「ん?・・・待てよ?」
そう言えば今回は藍と紫と誰かとで・・・三人か。
前回は確か・・・四人だったはず・・・誰がいなかったんだ?
「ん~~~~・・・・・あ」
そうだ、着物を着た女性だ。
「何で居なかったんだ?」
前回は居たんだが・・・ん?
「夢の内容が変わってる?」
いや、内容というより登場人物が変わってる?でも何で?
「う~ん・・・」
俺は腕を組み胡坐を掻きながら考える。しかしいくら考えても答えは出ない。
「ん・・・・蔡様?」
悩んでいると藍が目を覚ましてしまったようだ。
「悪い、起こしたか?」
「いえ、大丈夫です。それより蔡様こそ、こんな夜中に」
「ん・・・まあ夢見が少し悪かったんでな。ちょっと目が覚めちまった」
「そうですか・・・でも目が覚めるほど何て、どんな夢だったんですか?」
「それは・・・」
俺は内容を言いかけて思いとどまる。あれを正直に言うと藍が傷つく。それにああいうものは馬鹿正直に言うものじゃないな。
「まあ、触角を付けてあひゃあひゃと叫ぶちょっとした気持ち悪い生物に追いかけられる夢だ」
「あはは、それは目が覚めますね」
そう言う藍の笑顔はあの夢と違ってとても清らかなものだった。
「そうだな・・・まだ夜明けまで時間がある。もうすこし寝ときなよ」
「そうですね・・・ではもう一度寝ることにしましょう」
そう言うと俺の隣にいそいそと寄ってくると腕を抱きしめてきた。
「藍?」
「こうやって一緒に寝ると、そんな夢見ませんよ」
そう言う藍の顔はかすかに赤かった気がする。可愛らしい奴め。
「それもそうだな・・・じゃあ寝るか」
「はい!」
俺は藍と一緒に横になり、もう一度寝なおすことにした。
「・・・」
「・・・すぅ」
まだ眠たかったようだ。横になってすぐに藍はすやすやと眠っていった。幸せそうな顔をして。
「・・・ふ、こんな奴があんな事するはずがねえ、か」
俺は藍の髪を撫でながらそんな事を思った。
「さあて、さっさと寝よっと」
俺は藍の髪から手をのけると目を瞑り、明日に備えることにした。
「そう・・・あなたは幾多もある未来からこの未来を選んだのね・・・でも気を付けて・・・未来とは運命と違って未確定要素でありいくつにも分かれている予想図・・・選択肢を間違えると、幽々子ちゃんとも仲違いすることになるわよ・・・気を付けてね・・・」
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「んーーーー!!!良く寝たーーーー!!!」
天気良好!!体調万全!!今なら俺の母親らしい奴にも勝てるぜ!!
「・・・・うむ、無理か」
さすがに無理だな。まあ良いさ、いずれは勝つ!
さて今日はどこまで・・・・あ、すごく今さらだが、あれをして無かった!
じゃあ早速・・・よう、俺だ!蔡だ!
今俺達は野宿していた森を抜け現在北に北東に向かって進軍中だ!まあ軍じゃねえから進軍とは言えないけど・・・
「で、今どこらへんよ、紫」
「さあねえ・・まあここがどこかはともかく、目的地に向かって行ってるのは間違いないわ」
「それが本当なら良いんだがな・・・」
「五月蠅いわね」
こいつらときたら・・・全く。
でもまあ何とかやってるみたいだし、良いか。
「亜紀~」
「はい?どうかしましたか?」
「今どこら辺に来てると思う~?」
「紫様でも分からないのに私が分かるわけないでしょう」
「相変わらず役立たずな、お前」
「ひどい!?」
まあ平和だから良いよな。こうやって亜紀を弄って、藍と紫が喧嘩してると止めに入って、藍と楽しく過ごして・・・それがどうしたらあんな夢みたいなことに。
「・・・ま、今はそんな事考えてもしょうがないか」
「?・・・どうかされましたか?」
「いんや、何でも無い」
そんな事が起きたとしても、俺は止めて見せるさ。きっとな。
まあそれはともかくだ。
「平和は良いが、平和過ぎるのものなあ」
「そんな事言ってると変なことに巻き込まれますよ?」
「やかましい、女男」
「二度目の酷さ!?」
「楽しそうね、あなた達・・・」
なはははは!紫の奴、またいじけてやがる!
「まあいじけんなって!まだまだ仲良くなる機会なんていくらでもあるって」
「・・・それもそうね!!」
「ああ!」
「まあ私と仲良くなることなんか絶対あり得んがな」
「こっちこそお断りよ!」
「お前ら・・・」
全く・・・・何時か仲良くなってほしいものだ。
そんな感じに楽しく歩いているとしばらくして・・・
「おお?」
「すごい・・・」
「見たこと無いですね・・・」
「黄色ばかりで目が痛いわ」
黄色の植物らしきものが一面に広がる畑か何かの場所に着いた。
つうか、すげえ広大だな~、果てが見えにくい。
「ふむ・・・どうする?寄って行くか?」
「そうですねえ・・・私はいつも通り、あなたに従うだけです」
「同じく」
「私もそうね」
「そうか・・・」
俺は腕を組みながら少し考える・・・結論・・・
「よし、行くか」
これも勉強だ。断じて暇過ぎて刺激を欲した訳ではない!断じてな!
「それでは行ってみようか」
俺達は未知の花が一面に広がる何かに足を踏み入れた。
「大きいですねえ、私より大きいのでは?」
「かもな~」
「見た事がありませんね」
「そうね」
中央の円は茶色、周りの花は黄色、そして長い茎。どうやったらこんな強大な植物が出来るんだ?
「辺り一面これだけか?」
「みたいですね」
「誰かが育てたのでしょうか?」
「それ以外考えられねえな」
「外国から持ってこられたのかしら?」
「う~む、なんとも言えねえな」
そんあ風に会話をしながら俺達はさらに奥に奥にと足を進める。
すると少しばかり開けた所に出た。そしてその真ん中に家が建っていた。しかも見た事が無い造りの家だ。
「誰か住んでるのか?」
「そうでしょうね」
「となるとこれらを育てた方なのでしょうか?」
「たぶんな」
「それにしても変な所に家を建てるのね。変人かしら」
「変人で悪かったわね」
「ん?」
いきなり後ろから女性の声が聞こえてきた。俺達はその方に体と視線を向ける。
そこに居たのは見たことのない服を着た緑髪で赤い目をし、これまた見たことの無いような物を持ち、笑顔でこちらを見る美人な女性が立っていた。といっても・・・
「初めまして旅人さん。私のお庭にようこそ」
「ご丁寧なあいさつだな~」
若干殺気と妖気が混ざった笑みだけどな・・・喧嘩事は藍と紫で手一杯なんだがなあ・・・なんとならねえかねえ・・・