十四章 完膚無きまでの・・・
うん、題名どおりな気がする・・・
諏訪湖
日時・曜日不明
雪美夜「ふふっ、楽しみだわ、あなたの成長ぶりが」
蔡「ちっ!」
なんでこうも面倒事が出来るんだよ・・・あ、よう、俺だ、蔡だ。見て分かると思うが今俺は母親の雪美夜と対峙している。まあ理由は分かってると思うから省略するけどな。
蔡「あんたって優しくないのな!」
雪美夜「あら酷いわ~、こんな優しい母親を悪魔で最低なクズ野郎だなんて」
空に浮かびながらよよよと嘘泣き崩れをする雪美夜。あいつ俺らの事なめてる?
蔡「優しいならこの場から消えてくれよ」
雪美夜「ああ、ごめん、無理!」
とはっきり断って来た雪美夜。なにあの子、ふざけてんのか?
神奈子「はは、正直者は好きだけど、今のあんたは好きにはなれないね!」
雪美夜「良いのよそんなの。私は蔡以外興味無いし。まあでも神様だから一応この世界に住む生物達の命は大切にしてるわ。まあ昔起こしたノアの箱舟事件は例外だけど」
ノアの箱舟?なんじゃそりゃ。
諏訪子「そんなのどうでもいいさ!とにかくあんたには手取り早くここから去ってもらおうじゃないか!!ほら、あんたも手を貸してよ!」
神奈子「そうだな・・・仕方ない、今は一時手を組もう!」
そう言うと神奈子と諏訪子は互いに戦闘態勢に入る。
雪美夜「はあ・・・駄目駄目、そんな弱っちいのじゃあ私に傷一つ付かないよ?」
神奈子「そんなこと・・・」
諏訪子「やってみなくちゃ分かんないでしょ!!」
そう言うと神奈子と諏訪子は攻撃を仕掛ける。その攻撃が大戦闘開始の合図だった。
神奈子「これでも食らえ!!」
神奈子は白い発行弾や何かの柱みたいなものを雪美夜に向かって大量に放つ。
諏訪子「ほらほら、それだけじゃないよ!」
続いて諏訪子も白い発行弾と鉄の輪らしき物を雪美夜に向けて放つ。
雪美夜「ふう、全く・・・最近の子ってどうしてこんなに喧嘩っ早いのかなあ?」
と本気で面倒くさいといった顔をしながら何の動作も無く神奈子と諏訪子の攻撃を消失、またははじき返す。
神奈子「な!?」
蔡「嘘だろ!?」
諏訪子「何もしてもなかったよね!?」
蔡達は驚きながらも跳ね返って来た柱や発行体や輪を難なく回避する。
雪美夜「次は何かしら。出来れば蔡の攻撃が良いのだけれど」
藍「はっ!貴様ごとき、蔡様の力無くても勝てるわ!!」
藍は飛び上がると妖力の玉を雪美夜に放ちながら急接近する。
雪美夜「へえ、この私にたかが九尾ごときが格闘戦を挑むなんてねえ・・・まあその勇気は褒めてあげる」
そう言いながらまた何もせずに妖力弾を消す。
藍「ふん!そういう事は私を倒してから言うんだな!!」
妖力弾が消えた事など眼中にない様子で雪美夜に爪を出した手を思いっきり振り落とす。
しかし
藍「何!?」
その攻撃は雪美夜の服に掠る事無く外れる。そして攻撃対象を見失った藍は焦りながら雪美夜を探す。
藍「ど、どこだ!?」
雪美夜「ここよ」
とこんにちはとでも言いそうな感じで藍の背後に現れた雪美夜。
藍「しまっ!」
雪美夜「遅いわ、はい、一人目お疲れ様~」
と狂気に歪み、楽しそうな表情で藍の心臓めがけて腕を突き出す。藍は無理かと思い、目を瞑る。が
バシッ!
藍「・・・ん?」
来るはずの衝撃がこず、なにやら音がしたので目を開けるとそこには・・・
蔡「ったく、何が俺無しで行けるだよ」
雪美夜「あらあら、ナイト様のご登場かしら」
雪美夜の突き出した手を掴んで止めている蔡が居た。
藍「さ、蔡様!」
蔡「藍?訓練の時言ったの忘れたか?最後まであきらめないって」
藍「あっ・・・」
蔡「はあ・・・」
と呆れた表情の蔡。
蔡「まあ良いや・・・今度また始めるからな、あの訓練」
藍「え、そ、そんな~・・・」
蔡「それがいやなら、おらあ!!」
掴んでいた手を離すと素早く回し蹴りを放つ。しかしそれも外れてしまった。
蔡「こいつをみんなでさっさと叩き潰す!良いか?」
藍「は、はい!!」
しかし蔡の援護により藍に戦意が戻る。一方雪美夜は
雪美夜「あら~?お母さんに相談も無しに何勝手に仲良くなっちゃってるのよ~!」
とふざけてるのか分からない態度で怒っていた。まあ怒ってるかは分からないが。
雪美夜「お母さんは結婚なんて反対よ~~!!」
蔡「なんて場の空気を読まない神様なんだ・・・」
とこの場に似合わない突っ込みを入れる蔡。
神奈子「なんというか・・・本当にあれで神なのか?」
諏訪子「知らないよ!」
どうやら神奈子達も色々突っ込みたいらしい。
雪美夜「はあ・・・なんだか飽きてきちゃった・・・これで最後にするね?蔡」
蔡「は?」
と言った瞬間
蔡「え?」
あたり一面に雷、竜巻、火、突風が発生した。
蔡「何だこりゃ!!」
藍「わかりま、せん!!」
ちっ、なんて化け物だよ!さすがに神様と言うだけあるな!!
亜紀「でも、うわっと!このままだと!全滅します!!」
蔡「そうだな!!」
確かにそうだ。現に諏訪湖の軍と神奈子の軍に被害が出始めている。現にある者は焼かれ、ある者は竜巻に巻き込まれてなどしているし。
蔡「でも!」
神奈子「ああ!!」
諏訪子「こんなにも多く雷とか竜巻とか来たら!」
藍「他の所に手をまわしてられん!!」
でもこっちはこっちでかなりの速さと量で落ちてくる雷や、徐々に範囲と風力が上がっている竜巻と突風、挙げ句には火力、燃え盛る範囲が雷や突風とかのせいで物凄い速さで上がっている炎などせいで助けたくても動けない。
雪美夜「はあ・・・こんな砂粒程度の力にそこまで苦戦してるようじゃあ・・・まだまだ戦う価値は無いわね・・・あ~あ、期待してたのになあ」
と本気で心底残念っという言い方をする雪美夜。
蔡「ちっ、これで、砂粒程度かよ!」
神奈子「ああ、全く、呆れちゃうよ!」
と徐々に危なくなってきている俺達。
雪美夜「もう良いわ・・・とりあえず、あと五秒ね・・・それまでにその遊園地から出ないと・・・」
蔡「出ないと!なんだ!?」
雪美夜「強制退園よ」
ともう心底どうでも良い、早く終われとでも言いたそうにそう宣言した雪美夜。
雪美夜「はいカウント開始~・・・5~、4~」
藍「ま、まずい!!」
諏訪子「何とかしないと!」
でもどうやって!?もはや雷の大きさや量とか速さとか普通じゃあり得ない事になってる中でどうやって脱出するんだよ!(現在の合計威力は都市壊滅が軽くできるほど。範囲は直径20km)
亜紀「そうだ!諏訪子さん!その鉄の輪!なんとか投げれませんか!?」
諏訪子「あたしは神様出会って名人では無いよ!?」
亜紀「そんなこと言ってる場合ですか!?」
それもそうだ!!
諏訪子「う~・・・」
神奈子「諏訪子!!」
諏訪子「分かった分かった!!やってみるよ!!」
そう言うと諏訪子は回避しながら投げる隙を探す。
雪美夜「さ~~~~~~~~ん・・・・に~~~~~~~~~~・・・」
諏訪子「ここだ!!!」
諏訪子はその隙を見つけると雪美夜に向かって思いっきり投げる。しかし・・・
雪美夜「は~~~~~い、ぜ~~~~~~~~ろ~~~~~~・・・・・さて、遊園地は営業終了、強制退園よ」
その飛んできた輪を何事も無く手で取ると今日一番の凶悪な笑みを浮かべて死刑宣告を下す。
雪美夜「は~~い、それでは帰ってくださいねえ~~」
そう言うと姿が一瞬で消え
雪美夜「まず初めはあなた!」
神奈子の隣に瞬時に現れると神奈子の腕を掴み地面に向かって思いっきり投げつける。突然の事、そして回避に体力をかなり使ってしまっていた神奈子に回避の術は無く、重力に逆らう事が出来ずに地面に叩きつけられてしまった。
神奈子「ぐあっ!!」
そのまま起き上がる事が出来ずに神奈子は意識を手放してしまった。
諏訪子「うそっ!?一発!?」
雪美夜「そうよ~、あなたもね」
諏訪子「えっ?」
そしてまたさっきのように一瞬で諏訪湖の後ろに来ると腹に一発かなり重たそうな拳の一撃を入れる。
諏訪子「ぐっ!」
雪美夜「はい、さよ~なら~」
そして諏訪子もまた神奈子同様に地面に落ちていき、意識を手放した。
藍「くそ!」
亜紀「危険です!なんとかしないと!「それが出来ないから弱いって言ってるのよ」え?」
蔡「藍、亜紀!!!後ろだ!!!」
しかし叫んだときには時すでに遅し。瞬く間も無く湖に向かって投げられてしまっていた。
蔡「ちっ、この順番で行くと最後は「あなたよ」・・・くそ」
そして俺のすぐ後ろに現れた雪美夜。
雪美夜「ちょっとざんねんだわ~・・・少しは行けるのかなあって期待してたのに・・・」
蔡「そりゃ悪かったね!」
と悔し紛れに蹴りを放つ。しかしそれも案の定空振りに終わる。
雪美夜「ん~、そのやる気は見事なものって言ってあげたいのだけれど・・・駄目ね、まだまだ赤ちゃんね」
蔡「くそったれが・・・なあ、聞いて良いか?」
雪美夜「あら、潰される前の遺言?」
蔡「いや、何時かあんたを潰してやるから遺言じゃんねえな」
雪美夜「そう。で、何かしら?」
蔡「あんた、なんでそんなに悲しそうな眼をしてるんだ?」
雪美夜「・・・」
今さらだが、神奈子達を殴ったり投げ飛ばしたりしてる時、彼女の目にはっきりと悲しみと後悔が見えた。
蔡「なあ、なんでだ?」
雪美夜「・・・そうね」
雪美夜は少し俯いた後、顔をあげて俺を真っ直ぐな目で見つめる。
雪美夜「所詮神もまた運命には勝てないってことよ」
蔡「え?それってどういう」
意味と続けようとした瞬間俺の腹に衝撃が走る。
蔡「ぐっ・・・・ああ!」
どうやら殴られたらしい。そしてすぐに雪美夜は首を掴むと首を掴んだまま下まで一気に降下し・・・
どーーーーん!!!
俺を地面に叩きつけた。そして俺はそのあまりの体への衝撃と負担に呼吸が出来なくなっていた。
蔡「はっ・・・・・ぐっ!!」
そして雪美夜は俺の首を離すと悲しそうな、そしてまた哀しそうな眼をしながら俺に向かって喋りかけて来た。
雪美夜「あなたを痛めつけても・・・それが仕方なかったとしても・・・これだけは信じて。私にとってはあなたは本当に・・・大切な存在だという事を」
そう言うと雪美夜はさっきまで起こしていた異常なほどの災害を何事も無く消すと姿を消してどこかに去ってしまった。そして俺は意識を手放した・・・
む~ん・・・やはり戦闘描写にリアリティが無いなあ。いや、迫力か?まあどちらにしようと何かない!!これは間違いない