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       執事、宴会に行く 中編

改訂済み


明日の野球はなさそうだ…そのせいがあってか、テンションがダダ下がり、で、改訂しましたが自信はありません…




皆様、こんにちわ。

宴会のせいで気分最低なアレス・スカーレットでございます。そんな気分最悪な中、私は例の宴会に持っていくお酒を選んでいるのですが、どれにしようか決め変えているのです。

一応候補は挙がっているんですよ?

その候補とはこの4つです。


スカーレットワイン


デビルブラッド


ブラッディマン〇ィ


ワイン


…ええ、私も色々言いたいですよ、本当。まともな物は無いのかとか、普通は? とか。

でも無いんですよ、まともが。

だってほかのが


バーニング


とか


Ican fly


とか…なんです、バーニングって!? あれですか、叫びながら飲むんですか!? 最後のなんて飛ぶんですか!? ええ!? 自殺願望なんてありませんよ!?

みたいにまともなのがありません。


まあとりあえず仕方ありませんから、この『ワイン』にしましょう。1番まともですし。まあ名前が普通過ぎますが。



「決まりましたか?」



そんなふざけた酒蔵の中から、ようやく持っていく物が決まり、一服していると聞き慣れた声が突然背後から聞こえてきた。

まあこんなびっくり芸を出来る者なんてこの館ではあの子しかいないでしょうから大して驚きもしませんが。



「まあ、大体は」


「そうですか」



そうですかと告げる咲夜の顔はそれは綺麗な笑みを浮かべている。昔の面影なんて全くありもしないほどに。


そういえばここに来た当時は危険な表情しか見せてくれませんでしたねぇ。もうそれこそいつ寝首をかかれるか分からない程に。さすがお嬢様が、Jack the Ripper と呼んでいただけありましたよ。

 ちらっと目を合わせれば、なんだ怪物、とナイフと殺意をちらつかせながら言ってきましたものねぇ、咲夜。



「ふふ」


「どうかしましたか?」


「いえいえ、ただあれほど笑うのが苦手だった咲夜がこんなに綺麗に笑うようになったものだからから、つい」


「き、綺麗だなんて、そんな…」



昔を思い出したせいかつい思い出し笑いとでも言うべきか、その類が顔に出てしまい笑ってしまったがそこはごまかしと本音を使って回避。


そんな時、ふと私は前から聞いてみたかったことがあるのを思い出し、それを聞いてみることにした。



「そういえば、君に好きな人はいるのですか?」


「ふぇ?…す、好きな人ですか!?」



あまりにも突然な事に驚いたのか、少し間が空き、反応を返してきた咲夜。顔はりんごのごとく真っ赤…という訳でもなく、少し頬を染める程度だった。さすがに完全で瀟洒な従者、どこぞの吸血鬼様とは大違いです。

まあそんなことはともかく、この反応からしているのは間違いなさそうですね。ちょっと失礼ですが、追求してみましよう。



「いるんですね?」


「え、あ、えっと…はぃ…」



後半は声が物凄く小さく聞き取りにくかったが、とりあえずは聞こえました。

おやおや、顔が真っ赤です。



「どうなんです?その人とは」


「…」



さっきの慌てぶりから一転、しょんぼりしている咲夜…もしかしてよほど難しい恋でもしているのでしょうか?



「何か難しいことでもあるのですか?」


「…ええ、ちょっと」



ションボリから一転、今度は諦めにも似た表情を浮かべる咲夜。どうやらよほど険しい恋をしているご様子。ちょっと悪いことしましたね…謝っておきましょう。



「すいません、ちょっと度が過ぎましたね、先ほどの質問」


「え、いや、そんなことありませんよ!! ただ…」


「ただ?」


「…険しいなんて言葉が生易しく感じるんです、私の恋って」



険しいが生易しく感じる? それってどれだけ難易度のある恋なんですかね…不安です。

 


「相手はどんな方で?」


「…」



その質問を聞いた咲夜は少しばかり、いや、とても困った表情を浮かべる。



「あ~、聞かない方が良かったですか?」


「…今は少し」



そう言うと申し訳ありません、と謝罪を受け、改めて自分はデリカシーがないな、と思ってしまう。

そして私は咲夜の寂しそうな笑顔を見て、ふとある事が思い浮かんだ。

それは



「え!? ちょ、アレス様!?」


「しっ…」



優しく静かに咲夜の腕を掴むと私の方に引き寄せ、抱きしめたあげる。

 昔お嬢様が泣いた時や悲しい事があった時によくやってあげた一種の慰めの行動です。



「少し無礼が過ぎたのと、何やら悲しげな顔をしていたので、ちょっとした謝罪と慰めです」


「アレス様…」



そしてしばらく一方的にではあるが抱きしめてあげていると咲夜が、もう大丈夫です、と言い、私は離してあげた。



「ありがとうございます、わざわざ私のために…」


「いえいえ、いつもお世話になってるんですし、これくらいはね」



それに、少しでも心の負担の軽減になればと思ってしたわけですからね。



「…あ、あの!」



そんな時、急に声を上げる咲夜。普段の様子からは考えられないほど切羽詰っているというかなんというか…何か緊急なことでもあるのでしょうか?



「何ですか?」


「例えば、平民の誰かが、国の王子に恋をしたとしたら…どうすればいいと思いますか?」



何やら先程よりもさらに赤く顔を染めながら意味深とも言える質問を飛ばしてくる咲夜。

平民の女性が王子に…か。



「できるのではないですか?」


「…根拠は?」


「そうですねぇ…」



根拠、ねぇ…



「まあ典型的な言い分で行きますと、恋に身分もクソもないでしょう」


「…」



それを聞いた咲夜は少しばかり落胆した様子。



「それ以前に今の時代、そんな古い考えの人間なんて少ないでしょ?」


「で、でも! それでもです! 相手は身分が高く、自分はどこにでもいる平民…そんな者がどうして…」


「それはおかしいでしょ?」


「え?」


「だってそうでしょ? それこそあれですよ、恋に身分なんてクソくらえ、です」


「し、しかし!」


「それに…」



あまりにも悲観的な咲夜の唇に指を添え黙らせる。



「今は平成ですよ? 王政制度があったあんな昔ではないんですよ? ましてやここは日本、たとえそれがあったとしても、貴族が平民を愛するなんてこと、よくあったんですから。それに今でも金持ちや政治家どもでも普通の一般庶民と結婚するなんてことあるんですし」


「…」



それを聞き何か驚いた様子を浮かべる咲夜。それを見て私は指をどかす。



「まあ何が言いたいかというと、今のご時世、そんなこと悲恋はないんですから、諦めずに頑張りなさいと言いたいわけです。ではそろそろ準備しないといけないので、これで」


「…」



そして一人唖然とする咲夜を残し、そっと立ち去ろうとした。しかしその時、腕に衝撃が走り、歩みを止めてしまう。歩みを止めた私はその衝撃の元を見ると、少し驚いてしまう。



「咲夜?」



何故かって、咲夜が私の腕に抱きついているからですよ。それに何か吹っ切れた顔をしていますから。



「ふふっ、さすがアレス様…悩み相談もお手の物ですね」


「それはどういたしてまして、と返せばいいですかね?」



どうやら悩みは解消されたようです。良かった良かった。



「ふふっ」


「どうかしましたか?」


「いえ…ただ…」


「ただ?」


「頑張って掴み取りたいなと、決心しただけです」


「そうですか…応援してますよ」



そう言うと先程よりもさらに体を密着させてくる咲夜。少し近すぎる気がしましたが、満面の笑みを浮かべる咲夜を見て、まあ、良いでしょう、と思い、そのままお嬢様の向かうことにしました。


ただその後、適当に選んだワインを持って咲夜と一緒にお嬢様のもとに行くとなぜか、睨まれたのですが…なぜだろう?








まあ、宴会に行くまでのちょっとした話ですね。

あと地味に咲夜フラグ立っている執事。気づいてやれ。

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