第二節 執事、宴会に行く 前編
the・改訂
書き方が急に変わってますが、意図的に変えているので気にしないでください。
というか冗談抜きに書き方が狂ってしまった…
伏線を貼り直しました
「…ん…」
声を上げると共に自然にまぶたが開き、ぼうっとする頭の状態で目には窓から差し込む光が見え、それを受けた私は少し目が眩んでしまい、目を閉じ目しまう。しかしすぐに光に慣れると上半身だけ起こし、現状を確認する。
まずは服装…黒く清潔感漂ういつもの仕事着、いわゆる執事服。この服装で寝ていたせいか、少しばかりシワがある。ふむ、これは後でクリーニングですね。
次に時刻の確認…腕に着けているいつものシンプルな腕時計を確認。ふむ、12時ジャストですね。そろそろお昼ご飯の時間です。
次に部屋の確認…シングルベッドに木の机に木の椅子。そして書籍の並んだ棚に今の季節では出番の来ない暖炉。ふむ、私の部屋ですね。
紅魔館ではなかなか見かけられない部屋の窓を確認…頂点に達した太陽が目に映る。ということは12時であるのは間違いなさそうですね。
ふむ、いつもどおり。
そう結論に至った私は次になぜ眠ってしまったのかを考える。
いつも通り短くあっけないバイト感覚な執事業をして、そのあとに…ああ、そういえば暇だから寝たんでしたっけ。となるとどうしたものか…とりあえず挨拶はしておきましょう。
皆様、こんにちは。
仕事という仕事がないのになぜか執事をしている、アレス・スカーレットです。
先ほどの昼寝から目を覚まし、時間を確認すれば現在12時。やることもない私は現在ベッドに腰掛けどうしたものかと悩んでいるのですが一向に思い浮かびません。本当にどうしたものでしょうか…
まあ、とりあえず椅子に揺られながらどうするか考えることにしましょう。
5分経過
10分経過
20分経過
30分後
「何も浮かばないって辛い…」
本当に辛い。暇ほど感じたくない苦痛はありませんよ本当に! いや妖怪ならわかるでしょうが、我々長寿共にとって暇ほど体に悪影響なものはありませんよ!! 本当に!!
そんなこんなでベッドの上でジタバタ暴れ、発狂するまでに辛いとまで感じ始めた頃、そろそろお嬢さまに本気で家督を継がせようかと思ったが、前に爆発した勢いで説いてくるものだから断念した事を思い出しまた断念した。
はぁ…何か置物みたいで辛いですよ、本当に。
まあそんなことはともかく、そういえば今日は月曜日でしたっけ? 私は壁に掛けてあるお嬢様がプリントされたカレンダーを見て曜日を確認する。
本日の曜日は…あ、月曜日ですね、5月の。
さて、ここでもう一つ御説明があります。それが私のシフトです。
本来なら毎日やるところなのですがお嬢様が
「あと、やるからにはプライベートと仕事は分けなさい」
とのおっしゃったんですよ。それで分けました。明らかにバイトですよね。
今のところは、月、水、木が私の仕事の日です。勤務時間は日付が変わるまで。
え、なぜ毎日じゃないのか?お嬢様に聞いて下さい。あの子の我儘でこうなったんですから。
今日の曜日を確認した私はさて、議題は戻って今日は何をする、と考えかけた時、自室の扉をノックする音が聞こえてきた。誰でしょうか?
「どなたですか?」
「フランだよ~」
明るい声でフランと答える来客様もといフラン様。私はちょっと待ってくださいね、と言うとベッドから降り、扉を開ける。
「どうかなさいましたか?」
「お姉様がね、今日あの色々と貧相な巫女の所で宴会があるから来なさいって」
「そうなのですか」
どうやら宴会のお誘いのご様子。宴会、ですか…
「あの、フラン?」
「なあに」
「その宴会、誰が来るんですか?」
「ええっと、魔理沙、貧乏巫女、隙間ばb、妖怪とあと…」
隙間…その言葉を聞いた私は抑えきれないほどの怒りとずっと前から感じている悲しみが溢れ出してきた。
ああ、何故だろうか、どうして悲しいんだろうか…
「とかくらいだよ? あれ? お兄様、どうして泣いてるの?」
「…」
心配そうに和屋市を見つめるフランを見て、ああ、私は泣いているのか、と納得し、指で涙を拭う。そして不安そうなフラン様の頭を撫でてあげる。すると少しばかり笑顔に戻ってくださいました。
さて、ちょっとトラブルに見舞われましたが、結論を言いましょう。
辞退です。
「申し訳ないですが、辞退です」
「そっか…残念」
NOの答えを貰い心底残念そうな表情を浮かべる反面、どことなく安心したという表情も欠片程度に見える
「ダメよ、今回は強制よ」
そんな時、急に部屋に現れたかと思うといきなりな発言をかますお嬢様。その顔はいつもの吹き飛んだ顔ではなく、カリスマがある真剣な表情をしていた。
「強制、とは…どういうことでしょうかお嬢様? 答えによってはあまり良い結果にはならないと思いますが」
「私だってそれくらい百も承知よ。でも仕方ないのよ、今回は」
ああ、やってらんない、と面倒くさそうに腕を組むお嬢様。しかし強制とは…
「どういうことですか?」
「そうね、大方私達紅魔館の住民がホームレスになるってところかしらね」
なるごど、ようは紅魔館壊すぞという脅しですか。なんという脅しだ。せっかく今まであの隙間と式、亡霊姫に花妖怪にも比較的会わずにいれたのに。忌々しい。
しかしどういうことでしょうか、今回の宴会。
今までも何度か宴会の誘いはありましたが今回のように強制的に脅し付きでなんて、初めてですよ。
「…」
「ねえ、お兄様」
「ん、何ですか?」
「そろそろ話してよ」
私が今回の一件はどういうことかと考えていると懇願気味に話してくれというお嬢様。しかし答えは
「ダメです」
「また同じこと言うのね、兄妹なのに」
「それでも、血は繋がっていません」
「…そう」
「お兄様…」
そう言うととても悲しそうな眼をするレミリアとフラン。
私とてこんな酷いことは言いたくありません。しかし、それでも…話したくありません、あの事件の事を。
私はあまりにも悲しげな姉妹を見て、耐えれず顔を背けてしまう。正直、今のお嬢様やフラン様の顔は見れません、あまりにも辛そうな顔なので…
私はそんな二人の顔をできる限り見ないようにして、訂正した答えを言う。
「とりあえず、ここを守るために今回特別に参加しましょう」
「…そう」
短く、そう、と告げると何も言わずに部屋から出ていくお嬢様とそれに続きフラン様も出ていく。出て行く時の後ろ姿を見る事ができない私は顔だけではなくとうとう身体までも彼女たちから背けてしまう。そして私はあいつらに対しての憎しみを新たに覚えた。
とりあえずさっさと準備を済ませましょう。そして聞き出しましょう、今回の一件を。事と場合によっては血を見ることは避けれないでしょうね。
私はあふれるほどの殺意を抑え、淡々と準備を始めることにした。八雲、貴様らはどこまで俺に付きまとう…