最凶と静かなお茶を
短いが気にしないで、いや本当に。
少し用事が入り投稿が遅れてしまった…待ってる人いたらすいません…
色々挑戦したが、何かしっくりこん…いや、ミスったってことか。大人な展開を書くのは難しい、てかムリポ。酒が入った状態はダメだね、たかが3度の奴でも。
雨がざぁざぁ喧しい残念な日。お気に入りの縁側に座り込みながら今日も今日とてお茶を飲む俺。
飽きないものだと思うかもしれんが実際のところ飽きのあの文字すら来ない。それでどころかお茶を飲んだりくつろぐ時は縁側じゃないと落ち着かない。そこまで俺はこの縁側が好きである。
とまあそんなことはともかく、そんな雨が降る中、ぼうっとしていると突然コトリ、と俺の向かい側に湯呑が置かれる。外見が全て緑に染まられているこの湯呑、持ち主は…
「ここ、良いかしら?」
「ん、良いぜ。ちょうど暇してたところだしな」
美麗なる容姿ながらも最強最狂最凶超危険と同じ妖怪に言わしめる妖怪、風見幽香である。
「じゃあ失礼して」
そう言うとゆったりと優雅に座る幽香。それくらい静かなら危険な称号も与えられずに済むのに…だが都ではそんな最強の幽香に惚れたのか、弟子入りしようとする強者がいたが、まあこれは別の話。あの話どうなったんだろうな。
「…」
「…」
まあそんなことはともかく、静かな縁側だ。でも嫌じゃない静寂。俺の湯呑が空になれば幽香が入れてくれ、逆もまた然り。
そんな事を数回繰り返したあと
「貴方って罪な人ね」
いきなりの発言である。
「なんだいきなり」
「紫からも、私から向けられているのに待ったく答えてくれない…これを罪と言わずに何と言うのかしら」
「…」
俺は黙って湯呑を口につける。そして静かにお茶を飲み、空になるとそれを床に置く。
「今は藍で精一杯」
「そういう風には見えないわ」
「幻覚だ」
「なら今私が見ている貴方も幻覚という訳かしら?」
「だとしたら俺もすげえな。あの最強を黙せるほどの幻覚を作れるんだからな」
「そんなこと言うけど実際貴方最強じゃない。雪美夜って奴を除けば」
「…あれは次元が違いすぎた」
自在に天候操れるとか、嵐を発生させるとか、人を片手で投げ飛ばして瞬時に追撃を加えるとか、常人のすることじゃない。しかもあれで手加減してるとか、気狂いなんてものじゃないぞ?
「まあそれでも貴方は最強よ、誇っていいわ」
「…」
「そしてそんな貴方に私は惚れた」
そう言うと幽香は俺の隣にすすっと来ると胸に頭を静かに置く。こいつのこういう行動は今に始まったことではないので特に驚きもせず諦めて受けいれている。
「もちろん強さ以外にも惚れたけどね」
「そりゃ嬉しいね」
「…だからこそ、罪な人よ、貴方は」
顔を上げると今度は身体ごと近寄ってくる。すると柔らかい感触を胸元に感じた。まあ高さ的に来てもおかしくはない。
「こんなにも真っ直ぐに求めているのに…」
そして耳元に唇を近づけてくると
「このままだと私、おかしくなっちゃうわ…」
妖しく、惑わすような声音と共に言葉を漏らす。そして豊満なものを閉じ込めている鈕をひとつ、また一つと外していく。すると男を惑わす谷が姿を現した。
「…いつも思うんだが、この距離は友人の距離じゃないよな」
「あら、だったら今すぐにでも側室として襲ってくれても構わないわよ? それこそ野獣のように求めてくれても何の問題もないわ」
むしろそっちの方を求めているけどね、と艶やかで情欲を誘う表情を浮かべながら言う。百人中百人は襲いかかるだろうな、こんな顔されたら。
「…」
「…」
そして何も雨の音以外聞こえない中見つめ合うこと数秒
「…はぁ、これだけしても動揺のどの文字すらないなんて、どれだけ鉄壁なのかしらね、貴方は」
始まりを終わらせたのは幽香本人だった。密着していた身体を退けると元いた位置に戻り、何事もなかったかのようにお茶を啜り始めた。若干顔が紅いけど…
「慣れってものは怖いもんだ」
「あら、慣れてなかったら襲っていたってことかしら?」
「…」
…自信はない。
「黙秘させてもらおう」
「脈ありってやつかしらね」
「…」
俺は黙ってお茶を飲む。顔が異常にに熱いが、煩悩退散煩悩退散っと…
「…逃がすつもりはないわよ?」
「そりゃ怖い、いつか襲われちゃうのかな?」
「大人な意味でね」
「勘弁してくれ」
そんなことになろうものなら藍に涙目でシバき回されてぶっ殺されちまう。
「蔡」
「ん?」
「私は情熱的よ?」
「前にも聞いたよ」
「そう…じゃあ覚悟しときなさい、いずれ貴方を貰うから」
「はいはい、暇潰し程度に待ってるよ」
俺は空になった湯呑にお茶を補給すると喉を潤すために一気に飲み干す。
「…これからが大変だな」
情熱的な女、か…本当に大変そうだ、本当に…