亜紀は悩み、流美亜も悩む、そんな日常
雨が振り、気分が滅入る、今日この頃…
またも短い
「だからですね、こういう場合、私が動いた方が良いのか、それとも相手が動くのを待つのが良いのか、どっちでしょうか蔡様?」
「知らん、自分で考えろ」
「ひ、酷い」
「酷いもクソもないわよ」
今日も今日とて平穏様々。
暖かい日光を受け縁側でくつろぎお茶を飲みながら亜紀のどうでも良い悩みを流美亜と共に聞いている。ついでに今日は俺ら三人以外皆外出中である。
「第一、そういう『良い』雰囲気になったらどちらからもなく動きがあるだろう」
「いや、まあそうなんですけど…いざとなったら動けなくて…」
「…ヘタレか」
「ヘタレだね」
「酷い!?」
いやだって…
「お前、犬走と恋仲になってどのくらいだよ」
「えっと…簡単に数えて十年以上でしょうか…」
「で、まだ手を出してないと…」
「い、いえ、実際は既に終えてますけど…」
「なら問題ないじゃないか、その時のようにやってみたら良いだけだ」
「そうそう、再現すれば良いのよ」
それは何か違うぞ流美亜。
「で、ですが! け、経験というか、回数というか…まだ数える程で…」
「ヘタレ」
「ヘタレ」
「酷い!!?」
いやそうだろ、十年だぜ? 最低でも十年恋仲なんだぜ? それをお前…
「ヘタレ」
「うん、ヘタレだね」
「何か分からないけどまた言われた!?」
言われて当たり前だ。
「そりゃあ俺と藍みたいにかなりの回数とまでは言わんでも、それなりの回数はこなしてるものだろ、十年あれば」
「そうだよねぇ。私だったら一年で百は行きそうだけど」
「それはそれで問題ありだ」
それどころか相手が干からびる。
「まあとりあえずだ、相手が居ない流美亜にまでヘタレ呼ばわりされるんだ、もっと頑張れよ」
「気になる相手はいるけどね。超鈍感だけど」
「あ、そうなのか。まあ頑張れよ」
そう言うと思いっきり睨まれた。俺、何か言っちゃいました?
「…蔡様、鈍感で最低です」
そしてそんな俺を見て亜紀が最低ですと告げる。
「よし、ヘタレなお前に特別訓練してやろう。というわけで修行な」
「ええ!? なんで突然!?」
「喧しい、ほら来い」
とりあえず俺は亜紀の腕を引っ張り庭に引きずり出すと、とりあえずしばらく愛の鞭を打つことにした。
「…あ~あ、いつになったら私の恋は報われるんだろう…」
今日も平和である。