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四十八章 帰ったら寝よう、うん、それが良い。

き、筋肉痛が・・・





「手加減はしないから、覚悟しなさい!」



冒頭から既に始まっている巻き込まれ戦闘。


声高く手加減なしと宣言してくる黒髪の少女。背中から生えている翼らしきものが人間ではないことを告げて、て前に言ったな。


まあとりあえずだ、そういうわけで俺は今現在進行形で巻き込まれ決闘を受けている。

何故かといえば先ほど戦っていた陰陽師、安部晴明が戦闘を放棄し、どこかに去っていってしまったからだ。



「ふふん、さっきの奴はなかなか強かったけど、あんたはどうなんだろうね」


「知るかこの無差別喧嘩師」


「失礼ね。喧嘩師ではなく、遊び人よ、あ・そ・び・に・ん! これも遊びよ」


「遊び…」


「さらに悪戯好きよ?」



余計最悪じゃないか。


俺は内心そう愚痴る。だがその時、ふと、悪戯好き、という言葉に何か違和感にも似た何かを感じた。


悪戯好き、悪戯好き…どっかで聞いたことあるような…



「でも人間の都でした脅しは楽しかったわ~!」



都…平安京…謎の怪現象…ああ!!



「お前、今話題の鵺!」


「ん? そうよ、私は鵺よ!」



どうやら当たりらしい。少女改め、鵺はふふんと自慢げに胸を張る。うむ、平均的だな。



「あんた今失礼なこと考えなかった?」


「気のせいだ」



物凄く疑いの眼差しを俺に向けてくる鵺。しかし、まあ良いわ、と言うと俺を指差すと



「とりあえず、不完全燃焼だからあなたで鬱憤晴らしさせて貰うわ!」



なんてことを言ってきやがった。しかも小声でまあ他にも色々するけどね、ケッケッケッ、なんてオマケもつけて。


よ~しあいつぶっ飛ばそ~。



「じゃあ先手必勝で!」



鬱憤晴らしを宣言して早速光の弾攻撃を仕掛けてくる鵺。光の玉の量は一瞬で辺りを包むほど。



「何が先手必勝だよ、ったく。こっちは迷惑してんだっての」



俺はそれを見て避けるにはちょっと骨が折れるか、と思い、避けるのを断念。代わりにこっちも妖力の弾をぶつけ、相殺することにした。


そうと決まれば、俺は徐々に迫り来る鵺の弾達を前に、出来る限りの速さで弾を生成し、軌道上的に潰す必要のある弾を集中的に狙い放つ。

すると程なくしてボフンという音が発するとともに弾は相殺され消え、後に残った無駄弾たちは木や地面に激突し消滅していった。もちろん、当たった木や地面は抉られてしまったが。


あ~あ、自然破壊いけないんだ~。



「ふ、ふ~ん、あんた少しは骨があるんだ」



先程の様子を全部見ていた鵺は予想外の展開に驚いたのか、少々焦り気味の様子。



「あれくらい朝飯前だ」


「そ、そう。じゃ、じゃあこれならどう!?」



未だに焦りのある顔ではあるが、それを振り払うかのように再度仕掛けてくる鵺。今度は真正面から見て渦状に並んだ弾が飛来してくる。これはひどいな、虐めか?


さて、まずはどこが回避に適した場所だろうか。


前よりも多少速さが増した弾を前に冷静に分析する。


まずは範囲。見た目的には都の門位の広さだな。しかし渦状というだけあってか、一番手前の弾を回避したら後は狭くなって回避しやすそうだ。

でも仮に避けても追撃がこないとも限らないな…もしかしたらそれを狙ってる可能性もある。

となると安易に仕掛けるのはマズイな。



「どうしたのかなぁ? 早くしないと当たって痛い目みるわよ~?」



そんな考察に埋もれる中、肝心の鵺はにやにやした笑みを俺に向け、挑発的な言葉を漏らす。


む、ちょっとカチンときたぞ。よ~し、そんなこと言うんなら逆に痛い目合わせてやろうではないか!


満喫していた休みを壊された恨みもあるせいか、そんな子供じみたことを考えた俺は計算するのを即座に止め、上に大きく跳び上がる。

そして間もなく渦状の弾たちh



「馬鹿ね! それも計算のうちよ!」



…それを見た鵺は待ってましたとばかりに跳び上がった俺に向かって弾を放ってくる。今度は形を成さないバラバラ状だ。



「はっ! 舐めた真似したらどうなるか、その身に教えてやる!」



だがそんなもの知ったことか! 俺はありったけの妖力と恨みを右手に込め、人一人分の特大の弾を生成すると



「てめえのせいでこっちは迷惑してんだーーー!!」



多大なる恨みを声に込め、思いっきり腕を振るうとその弾を鵺に向かってぶっ放す。



「え、ちょ、それは大きい、大きいわ! いくらなんでもそれは反そk」



何やら鵺が叫んでいるが知ったこっちゃない。放たれた弾は物凄い轟音を纏いながら鵺の弾を消失させ、そして



「にゃーーーーーーー!!!」



激しい爆発音と共に直撃する。そして煙が発生して間もなく、森に止まっていた鳥達が飛び立っていく。



「ふん! 人の休みを潰しといて何が痛い目見るだ! 少しは迷惑を考えるんだ!」



まあ何の罪もない森に被害を与えた俺が言うのもアレだが。あとごめんな、鳥達。せっかくの休憩時に。


俺は森に謝罪を、どうなってるか分からない鵺に恨み言を送ると先程の少女達がもしかしたらまだ居るかもしれない所に向かって降りると、辺りを見渡す。

すると案の定



「…」


「…」



片方は眉間を抑え、片方は多少ビクつきながらこちらの様子を伺っていた。さて、どうしたものか…


とりあえず俺はどうすればいいのか分からないのでしばらく黙って待つことにした。



「貴方という方は…自然をなんと心得ているのでしょうか、一度聞いてみたいものです」



がそんなに待つ必要はなかったようだ。間もなく口を開いてくれた緑髪の少女。しかしだ、一問目にそれはどうかと思うぞ?



「自然は自然だ。俺らに恵みをくれる大切なものだ」


「ではその自然に対し貴方はどういう対応をされたのでしょうねぇ?」


「不可抗力だが…まあ少なからず損傷を与えてしまったからな、謝罪はした。心で」



嘘ではない。



「…まあ良いでしょう。その言葉は嘘ではないようですし」



どこか呆れの混じった疲れ顔でため息をつく緑髪の少女。


そんなにため息つくと幸せがにg



「分かってるならつかせないでください!」


「俺のせいではない!」



事実だ!



「はぁ…まあとりあえず、貴方のおかげで助かったのも事実です。なので今回の件は不当にします。それと、ありがとうございます」



そう言うと丁寧に礼をする緑髪の少女。それを見た隣の娘は慌ててありがとうございます、と礼を述べる。



「別に構わんさ。どうせ暇潰しと巻き込まれみたいなものだからな」


「そうですか」


「そうだ。さてそれはじゃそろそろお暇するわ。帰って寝たいし」



言うが早く、俺はじゃっ、と手を上げるとそそくさと自宅に向かって退散する。



「…名前、聞き忘れましたね」


「え?」


「いえいえ、なんでもございません。では参りましょう」


























「妖怪かもどうかも分からぬ化物が人助け? 意味が分からぬわ…まあ良い。今回はあの者のおかげで楽ができたしな。さて、帰るか」













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