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四十六章 元気な爺さん、そして幽々子の秘密。

色々公式設定とか見直してきましたが…えぐいほど無視ってるね、俺ってば。

まあ…二次だし…いいよね?


操れるなら視ること話すこともできるよね? という式からできたアホ話です





亜紀の緊急速報を聞き都に全力で向かい、ようやくその現場らしきものを発見した俺はさっそくいらん事する阿呆共をを蹴散らそうかと思った矢先



「貴様らなんぞ舐めるくらいなら毒を食らったほうがまだマシじゃわい!!」



なんて豪快なこと言う爺さんらしい人の声を聞き、なんだなんだと人混みを掻き分け現場の中心に着いてみれば…



「じ、じじい!! 調子乗んなよ!」


「それはさっきも聞いたわ小童!」



今にも殴りかかりそうな若者と着物や顔が見るも無残に汚れてしまっている幽々子、そして若者の言葉を聞いて平然としている白髪に腰に刀を下げた武士っぽい爺さんが居た。


え? 爺さん?



「な、なんだこの人…」



なんと言うか、爺さんにしては活気溢れすぎてるというか、元気良すぎというか…とりあえず俺の爺さんという印象を何もかも粉砕する程の勢いある爺さんに俺は少し唖然とした。



「幽々子様! お怪我はございませんかな?」



そんな中、先程まで怒鳴り声を上げていた爺さんは若者から何か驚いた様子の幽々子に振り向くと、幽々子の顔の泥を袖を使い取り除く。



「よ、妖忌、あなた、どうして此処に…」


「いや何、するべき事も終え、己のいるべき場所に戻っただけのことです」


「よ、妖忌…妖忌!」



よく分からないが涙溢れ、妖忌とか言う人に抱きつく幽々子。それに対し妖忌という爺さんは、おっと、と声を漏らすと優しい笑みを浮かべ泣きじゃくる幽々子の頭を撫でるのであった。

何か分からんが、感動だ…やべ、布を、目を拭く布を!



「て、てめえ、俺を無視するなんて良い度胸だ! 俺を誰か知ってんのか!? 俺は帝の息子だぞ!? てめえらなんぞ目でもねえほど目上なんだぞ!?」



しかしながら世の中は汚い者がわんさかいるようで、せっかくの良い所を空気も読まずに叫ぶアホンダラ。周りも何故かそうだそうだと声を上げる。


帝の子とか言ってるけどそれ以前に場の空気を読め


あまりのアホ共の腐り加減にそろそろぶっ飛びそうな俺は指をコキリと鳴らし、ちょっとした準備を整える。


あ~あ、久々に人間をどつくことになりそうだ。



「こうなりゃあその死神とそれに組する死神を屠ってやる!! 衛兵!!」



周りに続々と集まり出す衛兵達。ざっとみて…十五人か、つまらん。まあでも手を出せばしばらくは住みにくくなりそうだ…そうなったら後で紫達に土下座でもしに行こう。


とりあえずこの後起きるであろう事を頭に一瞬浮かぶが今は目の前のバカタレどもに制裁を加えるため、すぐに消す。



「ほうほう、十五人か…いささか儂の相手には不足なのだがのぅ」



そんな中、幽々子が泣き終わったのか、立ち上がり急に辺りの衛兵を見渡し余裕の言葉を漏らす爺さん。



「なんだ、あんたコイツらと喧嘩する気かい?」


「これはおかしな事を言いなさる。己の主をこのように汚され黙っている従者の方がおかしいというものじゃ」



そう言うと泣き止んだ幽々子をまた撫でる爺さん。


へぇ、この爺さん…



「あんたってスゲエ爺さんだな」


「誰が爺さんか! 小童! 目上の者に対してなっとらんな!」



目上って…見た目的にはそうかもだが実際は俺の方が



「ま、また俺を無視しやがって~!! こんな奴らやっちまえ!!」


「おいまだ俺のツッコミ終わってないっての」


「何にツッコんでいたのじゃ」


「それは、後でお茶でも飲みながら話そうじゃないか!」



俺は襲いかかってくる衛兵を殴り飛ばしながらそう提案する。すると同じく衛兵を殴り飛ばした爺さんはにやりと良い笑顔を浮かべ



「それもそうじゃの、お主とは長い付き合いになりそうだしな!」



了承してくれた。


よし、そうと決まれば喧嘩祭りだ!

























「ひ、ひぃ~!! 化物だーーー!! ち、父上ーーー!!」



それほど時間も掛からず衛兵を全員地面とお友達にさせると帝の子とかいう阿呆は親父を叫びながら逃げ帰ってしまった。



「ふん、腰抜けめ」


「全くじゃ」



俺は阿呆が去っていった方を見て言葉を放つとそれに賛同する爺さん。さて、次は



「で、あんたら、まだこの子を虐めるのか?」


「だというのならこちらも手加減は出来ぬが…良いかの?」



そう言い暗に、やる気ならかかって来い、と挑発する。が、先ほどの喧嘩を見たせいか、何か仕掛けてくる者はおらず、皆苦い顔をしてどこかに去っていった。



「あ~、つまんねぇ喧嘩しちまったもんだ…さて、幽々子、大丈夫か?」



ため息を漏らし、少しがっかりしながらも幽々子の状態が気になるため、幽々子の方に振り返る。



「ありがとう、私は大丈夫だよ」



しかしそんな心配も杞憂だったようで、所々汚れは目立つものの、そんな汚れを吹き飛ばすかのような明るい笑顔を返してくれる。



「そうか、なら良かった…じゃあ次はそこの爺さんだな」


「だから爺さんと呼ぶなと言うとるのに!」



なにか叫んでいるがこの際流そう。とりあえず自己紹介からだ。



「喧嘩のよしみと言えるのかねえ…俺の名は蔡。今はこの子の家で世話になってる者だ」


「蔡?」



何故か蔡という名を聞いてか顎に手を当て首を傾げる爺さん。



「どうかしたか?」


「いや、蔡と聞いてな、なんと言うか、こう…懐かしい感じがするというか…」



そう言いながらうぅむと唸る爺さん。懐かしい?



「懐かしいって…俺ら初対面だぜ?」


「そのはずなんじゃが…どこかで会った気が、いやなんじゃろうか…」



更に唸る爺さん。そしてその唸りが大きくなってきた辺り…



「ええい!! 分からぬものは切る!! これが我が心得なり!! という訳で斬り捨て御免!!」



いきなり腰の刀を抜き構える爺さん。



「意味分かんねえよ!!?」


「駄目だよ妖忌! 斬っちゃ駄目ーーー!!」


「申し訳ありません!! しかしこれも未知を知るため!! いざ!!」


「来んなーーー!!」



そして幽々子の静止も振り切り、俺と爺さんの追いかけっこが何故か始まった…おかしすぎるだろ!?




















「も、申し訳ない…」


「いや、構わんよ、同じことを繰り返さないのならな」



あの逃走劇からしばらく、あまりにもしつこいものなのでとりあえず一度地面と木に口付けをさせ、なんとか抑え、家にて自己紹介と経緯を話し、今は隣に幽々子を寝かせながらくつろいでいる。

何げに経緯を話している時に驚いたのがこの爺さんと紫が知り合いだったということだ。

でもまああいつは神出鬼没なところがあるからある意味納得もしているが…。


ついでにこの爺さんからの謝罪は既に二桁はいっている。



「で、妖忌さん。ひとつ聞きたいことがあるのだが」


「なんでございましょうかな?」


「さっきの都での事だ。あの都の人間共の態度、尋常じゃねえぞ?」


「…」



聞かない方が良かったかも、と思えるほど哀しいような表情を浮かべる妖忌。


なんだ、何があの子にあるってんだ。



「あなた様になら良いでしょう…この方は、生まれつきから特異な力をその身に宿しているのでございます」


「特異な力?」


「ええ…」



一体どんな…


俺は少し緊張感を持ちながら次の言葉を待つ。



「それは…死霊に関する力なのです」


「死霊? 死霊ってあの霊魂とかの類のか?」


「ええ、そうです」



死霊ねぇ…



「それがあの子とどういう関係が?」


「まだはっきりとは…ただ、この方はその死霊を見たり話したりできるようで」


「見たり話したり?」



なんだそりゃ。まるで陰陽師じゃねえか。



「陰陽師か?」


「いえ、そういったものとは違うようなのです」


「と言うと?」


「そうですな…簡単に言えば幽々子様の性格によってもたらされてしまっている、と言っても過言ではないでしょうな」


「…?」



なんだ、全くわからん。


俺は何ともわかりにくい内容につい唸ってしまう。



「待て、とりあえずだ、まず幽々子にはお化けとかが見える、これは間違いないな?」


「ええ」


「で、話すこともできる」


「その通り」


「…で、何が問題?」


「…死んで尚、この世に未練を残し、この世に留まる者を霊魂、または死霊と言います」


「あ、ああ、そうだな」



死者の魂の事だもんな。



「それらの中で一部の霊魂達が求めるものは何か、お分かりですかな?」


「求めるもの?」



求めるもの…それを聞かれた俺は少し考え込む。


求めるもの、なぁ…安らぎ? それとも自分の死因となった者への復讐? はたまた何かの探し物?



「…駄目だ、分かんねえ」


「…聞き手ですよ」


「聞き手?」



聞き手という言葉を聞き少し拍子抜けしてしまう。


いやだって聞き手って



「ようは話し相手だろう?」


「そうです」


「それが何の問題が?」


「そうですね…一見すれば問題はないように思えますな。しかし、それは生者が話し相手の場合です。霊魂の場合では話が違ってきます」


「例えば?」


「例えば…そうですな、ならばあなたが死んだとして、この世を彷徨い続けたとしましょう」


「おう」


「で、あなたは自分の死因が何かを教えるために目に入る者全てに声を掛けます」


「まあ、そりゃな」


「でもいくら話しかけても反応が無い」


「…」


「そんなところに自分の姿が見え、話す事も出来る、そうなればあなたはどうしますかな?」


「そりゃあ、話かけるに決まって…あ」


「そう、そういうことです」



俺が答えに行き着いたのが分かったのか、静かに笑みを浮かべる妖忌。



「問題を解決してくれると分かったらその人に頼ってしまう、そうなればその聞こえる人の周りで何かしらの不可解なことが起きても何らおかしくないことになる。そりゃあ中には解決すれば成仏して去っていってくれる事もありましょう。しかしそのような良霊だけが居るわけではない。中には話せる視えるということが分かって敢えてその者に、または周りの者に危害を加える者もいる」


「なるほどな…」


「そういうことです。そういう事が積み重なってくると自然とその視える者を周りは怪物と、死神と罵りましょう。今日のように」


「…」


「その証拠に、あの人混みの中には幽々子様と仲が良かった者も居たのです」


「…酷いものだな」


「そうですな…しかしそれも普通の者の感覚なのです。傍に居るだけで命の危険、または厄介な目に遭う…そう知ってしまえばよほどの変わり者でもない限り離れて行くのは自然でしょう」


「…」



人間、か…



「弱いからこそその分過剰になり、そういった反応が自然に出るんですから」


「まあそうだよな」



どこからか酒と盃を2つ取り出し飲み始める妖忌。俺もそれに見習い飲み始める。



「まだ会って間もないあなたにこう言うのアレですが、出来ればあなたがその『変わり者』であって欲しいと、儂は願いますぞ」


「…大丈夫だ」



俺は飲み干し空になった盃に再度酒を注ぎ



「俺も異常といえば異常だからな、なんとかなる」



静かに流れる川の水音と、膝で眠る幽々子を感じながらそう言い、これからのことに思いを馳せることにした。



「ま、改めてこれからよろしくな、幽々子、妖忌」


「…ふふっ、こちらこそ」



さて、どうすればいいのかねぇ…












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