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冬が過ぎても貴方が好きで好きで仕方ないのよ


「受験だから、お互い、距離を置こうか」

 そう告げられたのが、昨年の冬。の、直前。十一月ぐらいだったかな。山が茶色になってきたころ。カサカサした葉が飛んでいたころ。

 それがあなたのためならば。

 そう笑って、その日は手を振ってサヨナラした。


 そのあと、私は必死で勉強したわ。万が一、億が一にも、恒人と同じ学校に入れないなんてことがないように。恒人が目指す学校に落ちないように、電話するのも我慢したわ、メールも、手紙を送るのも、視線が邪魔になったらだめだから家の下で窓を見つめるのもやめた、それから音も聞いてないのよ、それから、それからそれでね、いっぱいいっぱいいっぱいいっぱい我慢してやめて、勉強したの。

 もちろん合格したわ。

 恒人も、私も。

 春休みに喜び勇んで報告しようとしたの、それでも恒人は、春休みに出された宿題があるだろ、なんて言って構ってくれなかったの、どうしてかしら、男子とは遊んでいるのに、彼女とは遊んでくれないの? 遊びに行けないから恒人の様子がうかがえないわ、一度全部撤去しちゃったし、けれど聞けたの聞きだしたの。恒人は、冬のせいで、間があいたせいで、私の愛情が冷めているんじゃないか、って、そう思っているって。

 あ、あぁ、あぁあああぁ、バカじゃないの? そんなこと! そんなことなど一切ありえない!

 だって私は、私は恒人を愛して愛して愛して愛しているのに、ね!

 時間が何だって言うの? 受験が何だって言うの? そんなの些細なことじゃない!

 私は恒人と語り合いたいのに、どうして、どうしてかしら? 冷却期間なんて意味をなさないのに。冬の寒さが何かしら? 氷を作るぐらいでは足りないの、冷やしたければもっと気温を下げないと。

 雪だるまは愛せない、だって溶けちゃうもの。

 恒人は、かっこいい。

 陸上部で走っている姿は、速いし綺麗なフォームで。足音も軽快で、下手な人が鳴らすパフパフした音なんて聞こえない。風をきって走る姿は爽やか。勉強している時だって、授業中だって、マジメな姿にクラクラするわ。授業のときだけかける眼鏡姿にときめきを隠せなくて、先生の話も聞かずに恒人の方をこっそり見るの。考えている時に、シャーペンのおしりを顎に付けているのは可愛い。休み時間に他の男子と一緒にはしゃいでいるのも楽しそう、笑顔が素敵で、動作もいちいち跳ねているよう。他にもね、他にもね、他にもね、他にもね…………。

 あぁ、でもね、恒人が冷たいの。

 受験前のあの宣言もそう。だって私、とっても頭いいのよ? 私が教えてあげれば、もっと成績が上がるのに。数学の解き方も分かりやすく教えてあげれるのに。

 やっぱりばれちゃったのかな。この間、大きな失敗しちゃったから。

 だから頑張って、怪しまれないように撤収したのに。こんなに不安になるなんて。どうしよう、私、恒人のことがもっと知りたいのに、恒人のことをずっと気にかけていたいのに、恒人ともっと話したいのに、恒人とずっと手を繋いでいたいのに、恒人のことをもっと見ていたいのに、恒人の声をずっと聞いていたいのに、恒人のことを、恒人に、恒人、恒人、恒人、恒人恒人恒人恒人恒人恒人恒人恒人恒人恒人恒人恒人恒人恒人恒人恒人恒人恒人恒人恒人恒人恒人恒人恒人……っ!

 無理よ、恒人。

 どうやっても、どれだけ間を開けようとも、私のこの気持ちは、変わらないわ……。

 好きじゃないの。

 愛しているの。


 あぁ、もうすぐ、入学式。

 恒人に会える……。



――――冬が過ぎても貴方が好きで好きで仕方ないのよ


アトガキです。


今回はとんでもなく壊れた話でした。

ヤンデレちゃんのお話。

ここまで思い込みが激しいと、何でも怖くなりますよね。

色々な意味で。

まだヤンデレちゃんの未来は決めていません。

ヤンデレちゃん、っていう言い方が好き。


ではー

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