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歩けば歩くほど、道は遠退いていくけど。


 最短距離と言うものがある。到着地点まで容赦なく直線を引いた長さのことである。

 けれど俺たちは実際には人工物を無視、例えば飛ぶことなんてできないから、いちいちいちいち避けて歩いて目的地までいかなければならない。電車なんかそうだよな。模試のときなんかよく愚痴りたくなる。どうしてあんな遠回り、とか思いながらも、けれどそれが一番手っ取り早くて安かったりするから、電車を使う。俺、高校生ですから。車使えませんから。

 しかし距離などと言うものは、短ければ短いほどいい、という場合とそうでない場合とがある。

 物理的空間で言うのであれば、さっき言ったとおりにバカ高い料金を摂られる場合とか。そんな時には俺なんかはやっぱり遠回りを選んでしまうだろう。高校生ですから。お小遣い制ですから。

 で、もう一つ。物理的ではなく、精神的距離の話だ。

 例えば、相手のことを注意するのに直球ド真ん中だと、とんでもないことになるだろう? 相手を開き直させることもなく、かつ罪悪感やら反省を抱くようにリードする。そのためにはあの手この手を使わなければならない。そんな感じだ。俺たちは常に最良の経路というものを選択しなければならない。己の苦手分野を避け、相手の弱点を突き、最終的にハッピーエンドを目指す。例によっては、最良の最悪を。


 さてこの場合、俺はどのような道を行くのがいいのだろうか。


 延沢の背中を見つめて、俺は思案する。

 この場合。……幼馴染のことが好きなんだけど、どうにもあいつは俺のことを恋愛対象だと思っていなさそうな時。

 休み時間。クラスはざわざわしている、話声のせいだ。その中の一つは延沢のものなんだろうけど、そこまで聞き分けるほど俺は耳良くねぇし、そこまで聞き分けてしまったらそれはもはや変態の領域に達してしまうかもしれない。でも、何話しているんだろうな、あいつ。好きな音楽の話だろうか、それとも新発売のお菓子? 人の好みなら、今すぐに聞き耳立てに行きたい、多少変態チックでも。

 っつーか、恋愛面に関して俺、あいつの好みが分からなくなったんだっけ。

 はた、と思い至り愕然とする。俺、延沢がなんで遠山のこと好きになったのか知らねーじゃん! 音楽とか服の好みとかは、恋愛相談タイムのときにあいつが喋ったり、鼻歌やってたから知ってるけど、どういう相手が好みとか嫌いとか、全然知らねー! 遠山のことを好きだってのは知ってる、だがしかしあいつのどこに惹かれた? 鉱物系男子なところ? っつーか、自分で言っておいて鉱物系ってなんだ?!

 思わず頭を抱えてのたうちまわりたくなる。俺ってば、何やってんだかなーっ!

「何やってんの、輪島」

 ……見られた。見られちゃったよ、延沢にっ! 本ッ当、何やってんだか! 俺!!

「い、いや? 別にィ?」

「明らか過ぎる裏返り方!」

 声が驚くほどにひっくり返った。別にィ、の語尾が斜め上方向にブリッジしながら飛んで行った、気がした。今なら頬の表面温度で湯がわくな。

 延沢は笑いながら、俺の横をすぎ去って、永田の方へと走って行った。

 ……俺と延沢の席の間。それから、俺と永田の席の間。この二つは大体同じ距離。授業中も、昼休みでも距離は変わらない。いつでもあいつに話しかけるには、教室内に複雑に構築されたグループ間を空気をぶち壊さずに移動しなければいけない。けっこうな遠回り。

 こんなもんなんだろうな。大体。

 あいつと俺の、距離なんて。

 それでも俺には立って歩くことはできない。教室の後ろも、前も、俺の位置からじゃ一度廊下に出るぐらいしないと、うまく辿りつけない。遠回り。遠回り。



――――歩けば歩くほど、道は遠退いていくけど。

どうも玖月あじさいです。

これから少しの間暇ができるので、

もう少しこの話もペースアップできそうです。


どうにもこうにも

厨二な魔法学園ものを書きたくて仕方がないです。

とりあえずヒーローを終わらせようと思います。

話はそれからだ!


今のところ

一ヵ月更新が守れててちょっと気分がいいです。

それではー

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