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貴様のせいでアタシは恋に落ちたんだ


 千里曰わく、気に食わない喧嘩相手。

 輪島曰わく、鉱物人間。

 けれどあたし曰わく、不器用なヤツ。


 私から見れば、遠山はいまいち男子グループになじみきっていないように感じる、それは同じクラスになってからずっとだった。キッカケはでかい女子グループが話しかけるのとか見てたら、なんとなーく、警戒してんじゃないのかな、って思ったの。俺の領域に踏み込むなーっ! みたいな。それに気付いてからちょっと気にかけて観察してみたら、女子に対してほど分かりやすくじゃないけど、男子グループに対しても警戒してるっぽかった。でもまぁ、中野とかとは笑って肩叩いたりとか、打ち解けてるからボッチとかでもないようなんだけど。それでも、笑ったあとの一瞬が寂しそう、みたいな。

 そうこうしているうちに気が付いたら、少しの間にするはずだった観察がずっとになっていた。授業中の暇なとき、あたしは真ん中の方の席、遠山は一番前の席、自然に背中を見つめていた。視界に入ってしまうからじゃない。だって遠山の席は、首を右にひねらないと見れないから。どうしてかな、どうしてだろう。捨てられてるネコに傘とか差し出してたら、惚れる要素になるんだろうけど、そういうのもない。けどさ、好きになっちゃったんだよねー、理屈は通用しないよね。あぁでも、もしかしたら?

 ウサギは寂しいと死んじゃうんだよね、と言ったら千里に、ウサギは一匹で自然を生き抜くたくましい動物だよ、と一刀両断されてしまった。うーん。

 あれ、そうだ、あいつが不器用だ、ってあたしは言いたかったんだよね。

 そう、不器用。

 観察した結果なんだけど。警戒っていうのじゃなくて、もっと具体的にいえば、人との距離の測り方が下手なんだろうなー、なんて。ぎこちない笑顔、言葉と言葉の間の微妙な空白。押されたあとは目が大きくなる。

 でもさっき言ったみたいに、中野は別だったりする。なんか中学から仲いいらしくて、すごい喋るし、楽しそうだし、ふざけるし。

 いいな。

 なんて思ったのはいつだっけ? 観察がいつものこと、って気付いた後で、好きだな、て自覚するキッカケになったんだけど。……どうでもいいや。とにかくそれからじっくりと根回ししてきた。遠山のこと最近気になるんだよねー、から始まり、かっこいいよね、いい感じ、好き……かもまで刷り込んできた。それから輪島にも協力してもらえることになった。ってゆーか協力させた? まぁいいや。今のところ、いいこと教えてもらえてないけどさ、それでもあいつは賢い方だし、な。

 まだ、告白はできそうにない。好きだって分かってるし、これは恋なんだろうけど、まだね、ちゃんと形作られていない。形作られてから、この好きって想いを伝えたいの。

 恋ってのはどうにも苦しい、毒みたい。好きをハート型に形作る最中も、形作ったあとも、辛い、じわじわと、辛い。あはは、変に詩的な感じ。甘美な恋毒、ロマンチックゥ。

 片思いってのは辛いんですよ?

 ねぇ? 遠山。



――――貴様のせいでアタシは恋に落ちたんだ

玖月あじさいです。

最近無事に、月二回投稿。


携帯バージョンだと読点で改行しちゃってますけど、わざとです。

PCで読むのが一番便利な感じにしているので、どうしようもなく。

携帯は犠牲になったのだ……。


それでは

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