第八話 一次試験 その4
「残り10分です、残り12人の皆様頑張ってください。」
残り10分、残り30分を知らせる鐘のあとは10分おきに放送がなって助かっている。
あと10分だしそのへんをブラブラしとけばいいのだが……。
現在絶賛迷子となっております。
一度鬼の奇襲に遭い、その時にソウタと別れてしまい、それから合流もできていない。
一応鬼はソウタのほうへ行ったようで、それから鬼に追いかけられてはいない。
今はフロアの端でうずくまってる。
やってることはすみっコぐらし、5歳児の子供がしてたら捨て子に勘違いされそう。
そういえば俺、最初は捨て子だったよな……。
なんか過去を思い出した感じがした。
やっぱ鬼って怖いよね。
今12人だから鬼とは参加者が丁度同じくらい、つまり追われたらほぼほぼ確定で捕まるってことだ。
あと10分ここで芋ろっ……。
そう思っていると、近くの階段から鬼がひょっこりと出てきて、こちらと目が合った。
「あっ……どうも〜……。」
とりあえず挨拶挨拶……。
鬼がこっちに全速力で走ってくる。
やっぱりそうなるよね〜、ははは〜。
自分も走り出す。
「”空中蹴”!」
とりあえず上に逃げる。
天井派結構高く、まぁ当たることはないだろう。
鬼は……地面に土の針を出して待ち構えている。
マジで殺すつもりやんけ、これで刺さったらどうするんだよマジで。
まぁ刺しにきてるんだろうけど。
「大いなる神の灯火よ、今ここに力を与え給え、”炎玉”!」
炎玉も最初は火の玉をただ飛ばすだけだと思っていたが、魔力を多く込めることで、まるで火炎放射のように炎を出すことができるのだ。
今回は土の針から体を守るためのガード的なもので使ってみた。
炎玉の火は現実の火と同じように酸素を使って燃えるようで、大規模に燃やすと魔力も減り、結構息苦しいし、逆にピンチになることもある。
それが今だ。
「ゴホッ、火力ミスったな……。」
炎の間を切り抜け、階段を降りる。
鬼は……追いかけてきていないようだ。
この威力の炎玉を撃ったのは初めてだが、やはりこの威力は撃つものではない。
たまに家で練習する時も、少ししか魔力を込めていないし、一回家を燃やしかけたこともあるから結構気をつけて使っていた。
まぁそのおかげで魔力調整に関しては上手くなった。
そして魔力を使いすぎる時に起こるデメリットもある。
めまいに吐き気、倦怠感など、風邪を引いた時のような症状が出てくる。
こんなに魔力を一回で消費したのは初めてだ。
多分中級や上級になると、魔力の消費量を抑えて火力を上げることができるのだろうが……
とてもじゃないが意識が飛びそうだ。
あと何分だ?今ここで倒れたら……。
『試験終了です、残存者数10人。』




