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プロローグ
自分は、生まれた時から病弱だった。
体育もいつも見学、外を走ればたちまち咳き込むほどだった。
ただ、そんな自分でも得意なことがあった。
折り紙だ。
折り紙を折っている時だけは自分は自由だと思えた。
今ではもう、折り紙を折れるほどの力すら、のこっていない。
腕は管まみれ、病室には聞き慣れたビッピッと言う心電図の音が鳴り続けている。
最近は妄想にふけることが多くなった。
自分が自由に外を走り回ったり、友達と弁当を食べたり、学校で授業を受けたりなど……。
だが、そんなものはもうかなわない。
段々と意識が遠のいていく。
神など信じて居ないが今だけは、神様でも何でもいい。
ああ、神よ。
もし、自分に来世があるのなら。
もし、別の世界があるのなら。
その時は、自由に、今はできない普通の暮らしをさせてほしい。
チートみたいな能力を持っていなくてもいい。
特別な力なんてなくてもいい。
折り紙だって、折れなくなってもいい。
ただ、自由に、普通に、生きさせてほしい。
俺に、自由を見せてほしい。
『いいだろう、その望み、叶えてみせよう。』
突然頭の中に女の声が響いてくる。
大人のお姉さんのようなきいたこともない声だ。
そして、暗闇だった視界が晴れていく。
ああ、神は居たのかもしれない。




