第4話 限定日という、ゆるい魔法
コスプレOKにして、撮影OKにする。
それだけで人が動き始めることは、もう想像できると思う。
ただ、ずっと同じ状態が続くと、人は慣れる。
悪い意味ではない。
日常になる、ということだ。
そこで、ほんの少しだけ変化を入れる。
大きく盛り上げない。
告知もしすぎない。
あくまで、気配として置く。
それが、限定日だ。
限定日というと、どうしても身構えてしまう。
公式コラボ、主催イベント、参加条件、時間割。
そういうものを想像する人も多いだろう。
でも、ここで言う限定日は、まったく違う。
今日はフリーレンの人が多そうだね。
今日はワンピースの日、みたいだね。
それくらいでいい。
決めるのは、年に数回。
土日のどこかに、点在させる。
連続もしないし、定例にもしない。
告知文も、立派にしない。
「〇月〇日 フリーレン限定日」ではなく、
「今週末、フリーレン多めかも」
その程度で十分だ。
なぜなら、これは集めるための仕掛けではないからだ。
集まる人が、自然に寄りやすくなるだけの合図だ。
店側の負担も増やさない。
全部の店が寄せる必要はない。
寄せたい店だけ、少し寄せればいい。
フリーレン関連の本を並べる。
ワンピースの話題が通じるようにしておく。
それだけで、空気は変わる。
重要なのは、公式感を出さないことだ。
公式になると、責任が発生する。
責任が発生すると、管理が必要になる。
管理が増えると、キャプテンの仕事が増える。
それは避けたい。
キャプテンは、こう言えばいい。
「今日は多そうだね」
これだけで、場は動く。
来る人は来るし、来ない人は来ない。
それでいい。
限定日というのは、看板ではなく、合図だ。
濃く打ち出すほど、狭くなる。
薄く置くほど、広がる。
キャプテンの仕事は、盛り上げることではない。
期待を煽ることでもない。
ただ、空気に少しだけ色を足すことだ。
濃い看板より、薄い合図。
この感覚を守れれば、限定日は魔法になる。
次の話では、
人が増えてきたときに必ず出てくる、
現実的で避けられない問題、
トイレと更衣室の話を書こうと思う。




