第2話 会長をキャプテンと呼ぶ理由
最初に決めたルールは、実は企画の中身ではなかった。
設備でも、予算でも、日程でもない。
呼び名だ。
土日限定で、商会会長のことを「キャプテン」と呼ぶ。
このルールを決めたとき、ほとんどの問題は半分解決していたと思っている。
会長という言葉には、重さがある。
責任、承認、会議、稟議、調整。
間違いなく必要な役割だが、同時に動きを鈍くする言葉でもある。
一方で、キャプテンという言葉は軽い。
現場にいて、判断して、前に立つ。
完璧でなくてもいい。
とりあえず「行こう」と言う人だ。
ここで重要なのは、置き換えるのが土日限定だという点だ。
平日は、これまで通り会長でいい。
書類も、調整も、責任も、全部そのままだ。
週末だけ、キャプテンになる。
この切り替えがあるだけで、反対意見は驚くほど減る。
平日を壊さない。
既存の仕組みを否定しない。
ただ、週末だけ空気を変える。
キャプテンという呼び名には、もう一つ効果がある。
合言葉になる、という点だ。
「今日はキャプテンいる?」
「キャプテンに聞けばいい?」
そんなやり取りが生まれると、
関係性が一段階変わる。
役職名で話していた人が、
役割名で話すようになる。
これは、参加者を増やすためにとても重要だ。
商店街に関わる人を、
関係者から仲間に変える力がある。
キャプテンは、すべてを決める人ではない。
むしろ、決めない人だ。
危なくなければいい。
邪魔にならなければいい。
誰かが困っていなければいい。
それだけを見て、
「いいよ」
と言う。
コスプレをしてもいい。
撮影してもいい。
店内に入ってもいい。
禁止しないという判断を、即座に出せる人。
それが、週末のキャプテンだ。
このルールは、テストに出る。
もう一度書く。
土日限定で、商会会長のことをキャプテンと呼ぶ。
制度を変える前に、
設備を整える前に、
まず呼び名を変える。
その一歩が、街の空気を変える。
次の話では、
なぜ「コスプレOK」という一言が、
広告よりも強いのか、その理由を書こうと思う。




