第1話 シャッター商店街は、行く理由がなくなっただけ
第1話 シャッター商店街は、行く理由がなくなっただけ
シャッター商店街という言葉がある。
平日に行っても、休日に行っても、ほとんどの店が閉まっていて、人の気配がない。
通りは残っているのに、用事がない。
歩く理由がない。
商店街がこうなった理由については、いろいろ語られる。
人口減少だとか、高齢化だとか、大型商業施設だとか、ネット通販だとか。
どれも間違ってはいないのだろう。
けれど、考えれば考えるほど、話が大きくなりすぎる気がした。
そんな巨大な問題を、一区画の商店街が解決できるはずがない。
そこで、もっと単純に考えてみる。
なぜ行かないのか。
答えは一つしかない。
そこに、行く理由がなくなった。
かつて商店街は、生活の動線の中にあった。
買い物をし、用事を済ませ、顔見知りに会い、ついでに立ち話をする。
目的が複数重なっていたから、自然と人は通っていた。
今は違う。
用事は分散し、効率化され、家の外に出なくても済むようになった。
商店街が悪いわけではない。
役割が、いつの間にか消えてしまっただけだ。
だったら、やることは一つだ。
新しい「行く理由」を作る。
しかも、できるだけ金をかけずに。
大きな計画も、立派なスローガンもいらない。
まずは、週末だけでいい。
私が商店街の商会会長だったら、そう考える。
そして、ここで一つだけ決心する。
土日限定で、商会会長のことを「キャプテン」と呼ぶ。
平日は会長でいい。
会議も、調整も、書類も、全部会長の仕事だ。
でも、土日だけは違う。
週末はキャプテンになる。
キャプテンという言葉には、管理よりも現場の匂いがある。
責任よりも判断。
承認よりも許可。
何かを決める人ではなく、
「やっていいよ」と言う人。
この切り替えが、実は一番大事だ。
そしてキャプテンは、こう言う。
土日限定で、コスプレはOK。
撮影もOK。
店内撮影も、OK。
イベントではない。
祭りでもない。
ただ、使っていい場所にする。
それだけで、人は動き始める。
呼ばなくてもいい。
宣伝しなくてもいい。
来ていい、と許すだけでいい。
シャッター商店街を救うために、まず必要なのは、
金でも制度でもなく、
週末だけキャプテンになる決心なのだと思っている。
次の話では、
なぜ「キャプテン」と呼ぶだけで空気が変わるのか、
その話をもう少し詳しく書こうと思う。




