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……わたしには関係ないって、なに?
央太、なんで怒ってるの?
私なにか気に障ること言った?
全く意味が分からない。
でも、もっと気になるのは、央太に好きな子がいるみたいってこと…。私以外の…。
…考えて暗くなる。
だから最近、私と一緒にいてくれないんだ。
その子に、誤解されたくないから?
「…ひどいよ、央太…。私はずっと…」
央太のことが好きだったのに…。
胸がズキズキ痛い。
央太が私以外の誰かを好きになるなんて…
今まで、考えもしなかった。
いつかは、央太が私の気持ちに気づいて、幼なじみから恋人になれるって、一人で勝手に信じてた…。
…ばかみたい。
いつもそばにいたのに、好きな子がいるなんて、全然気づかなかった。
央太の好きな子って、誰だろう?
私が知ってる子?
気になって、胸が痛くて、その晩はなかなか眠れなかった。
次の日、央太は私を置いてさっさと学校に行ってしまった。
いつもは私を起こしにきて、一緒に登校するのに。
まだ、怒ってるのかなぁ?
おかげで寝坊した私は、学校までダッシュした。
足には自信があるから、ギリギリで間に合ったけど。
だいたい、なに怒ってるのか知らないけど、そんなに怒らなくてもいいじゃん。
「央太のバカ…」
私は小さく呟いた。
学校でも、央太は私を避けている。
いくら図太い神経の私でも、好きな人にこんなに避けられてたらさすがにへこむ。
そして昼休み、うちのクラスにお客さんがきた。
「山本く~ん。ちょっといいかなぁ?」
(央太の名字は山本っていう。)
あれは、たしか隣りのクラスの青木さん。
央太、青木さんと仲良かったんだ。
知らなかった…。
なにしゃべってるんだろう…。
央太と青木さんは、楽しそうになにかしゃべってる。
彼女はほわんとしてて、私とは正反対の癒し系な感じの女の子だ。
央太、笑ってる…。
彼女が央太の好きな子なの?
……………。
央太が他の女の子に笑いかけるのなんか見たくなくて、私は二人から目をそらした。
胸が、また切なく疼いた。