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現世の人々

異世界に行った人もいれば、現世にいる人もいる



異世界お父さん


その1

Bパート


イベント帰りには、デザートパイを提供するレストランのハンミラで反省会という名のお茶会。

いつも、一緒のス~さんは一回り年の離れたカメラマンで、空気みたいな人だ。


知り合った10年前はコスプレイヤーレとカメラマンのグループだったから、パーティー席だったけど。

今は私とスーさんだけなので、アベック席に案内された。

いつもの通りのオタクトークで注文した料理が来るまで間を持たせる。

Webアップ用の画像を選ぶ為、す~さんのカメラのDATAをチェックする。

正直言って、この人写真は下手だ。


久しぶりのイベントはどうだった?

カメラの画像をチェックしながらす~さんに声をかけた。


疲れたよ。

そういえば、変な夢見てさ。

もの凄く真面目な顔でス~さんは語り始めた。


ス~さんの夢の話はなんか、現実味(中二病感)があって聞いていて楽しいし、

適当に相槌うっていれば、勝手に話しててくれるので正直楽だ。


介護疲れで異能に更に目覚めた感じ。

睡眠時間、三時間おきに起こされる・・。


夜だけでも、排尿を抑える薬を使わなかったの。

自分も飲んだ事あるけど。

半目の画像を削除しながら聞いた。


それは肺に水が溜まるのでダメなのよ。

おむつは本人の意思で拒否。


入院はさせなかったの?

M子はあらかたダメな画像を消し終わり尋ねた。


入院させても、体調が落ち着けば退院になる。

病院は介護施設ではないので。


だったら介護施設に・・・

カメラの電源を落とした。


本人の意思で拒否。

そう言うと項垂れるス~さん。


そっか~、大変だったね。

そう言うとM子はカメラをス~さんに返した。


まあ、両親の見送りも終わったんで、一区切りついたってとこかな。

脱線したね。

んで、変な夢を連続で見たんだよ。

多分、異世界と波長があったみたいなんだ。

こんなに現実味を帯びたのは初めてだったな~。

亡くなった君の飼い猫ガル~を君のお父さんの世界に転生させたっていう夢だよ。

段々と口調が早くなっていくす~さん。


へ~、この人頭軽くおかしい。

調子を合わせて夕飯食べ終わったら適当な理由つけて早めに帰ろう。


可愛い制服のウエイトレスが料理を運んで来た。

テーブルの上に料理の皿を並べる。


あっという間に料理を平らげ、手持ち無沙汰のス~さんは

紙ナプキンで遊び始めた。

スキル「自動書記」

ス~さんが紙ナプキンに左手でなにかを書き始めた。

因みにス~さんの利き腕は右だ。

なんか自分の意思とは関係なく、スイスイとペンを走らせている感じだ。

そして、写実的な絵を描き上げた。


うまっ。

それ頂戴。

何となく気になり、M子は絵をねだった。

す~さんから異世界の描かれた紙ナプキンを受け取ると鞄にしまった。


会計をすましたす~さんにグータッチを左手で求められた。

少し戸惑いもあったが、まあ、おごってもらったし、まあいいかとそれに応じた。


電車に乗ると疲労感と腹八分の満腹感で睡魔に包まれた。

ウトウトしながらも、最寄り駅で降りるとコスプレ衣装の詰まったキャスターを引き家路を急いだ。


ただ今~。

玄関はいると鼻孔をカレー臭がくすぐる。

ちぇっ、今日はカレーだったか。


姉ちゃん、お帰り。

弟がスプーン片手に出迎えてくれた。

は~、図体ばかりでかくなって、小さい頃はあんなにちっこかったのに。

自分の後ろをついて離れない小さい頃の可愛い弟を思い出した。

今では見下ろされる存在だ。

玄関までお出迎えとは姉を心配でもしてくれているのか?


姉ちゃん、晩飯は?

うん、外で食べてきた。

母さん、姉ちゃん外で食べて来たって。

カレーお代わりしていいよね。

ああ、こいつそっちの心配かよ。


コスプレ衣装の皺を延ばして、クローゼットにしまい一息つくと

ス~さんからもらった紙ナプキンの絵を眺めた。

何か気になって、子供の頃の絵を探し始めた。


どうしたの?探しもの

カレー皿を持ちながら弟が聞いてきた。


ちょっと、勝手に部屋に入ってこないでよ。

しかもカレー食いながらって。

そうだ、あんたが子供の頃にお姉ちゃんが画用紙に絵を書いてあげたじゃん。


そんなのあったかな?

小首をかしげながらも、弟はカレーを口に運ぶ。

あー、あったあった。

父さんの絵シリーズだっけ?


弟が憶えていた。

弟は変な事だけやたらとおぼえている。

確か、物置の奥じゃないかな?

カレーをひとまず置いて弟が同人誌の詰まった段ボールを軽々と持ち上げる。

奥の段ボールから子供の頃に書いた絵が10枚ほど出てきた。


懐かしー。

弟と私は懐かしさの言葉を上げた。

怪物と父さんが戦うって、子供心に姉さん可笑しくなったと思ったよ。

まあ、父さんいなくて寂しかった俺を慰めてくれてるのかなと思って

忖度してたよ。

今では感謝してるよ。


カレー食べながら感謝されても、有難味半減だってば。

これって、紙ナプキンの絵と画用紙の絵を見比べて、背景と怪物が似ていた。

同じ世界観の絵だった。

画用紙の絵の中の父は怪物相手に苦戦中だった。


何、姉さんまたこの絵の続き描き始めるの?

弟は不思議顔だ。


違う・・・

なんで、ス~さんこの絵がかけたんだろう?

ス~さんにこの絵の存在は話していないし、自分もその存在を忘れていた。

紙ナプキン版ではお父さんは怪物を倒してお供の猫と勝利のポーズをしていた。


あら~、これって。

母が声をかけて来た。

まさか、お父さんとガル~?

でもガル~はお父さんが亡くなってから、飼い始めたから一緒にいるなんて可笑しいわね。

でも似てるわね。

実は母さんね。

M子がお父さん亡くなって寂しくて変な事言い始めたと思ったの~。

お医者様に相談しようかと思っていたけど、ガル~を飼い始めたらすぐに収まったのよね。


初めて聞きました。お母さん。

ガル~の癒し効果もあるけど、実の所、推しの漫画とアニメに傾倒してそれどころじゃなかった。

オンリーイベント参加、二次創作、BL、アンソロジー、コスプレが私の心の隙間をがっつり

埋めてしまいました。

オタクな娘で済まないお父さん。( ノД`)シクシク…


中倉M子【CV.田村ゆかり】

中倉A子【CV.井上 喜久子】

中倉雄一【CV.内田 雄馬】

ス~さん【CV.杉田 智和】

音響副監督【杉田 智和】

音響正監督【郷田ほづみ】


2023/01/20 初記

異世界に行った人もいれば、現世にいる人もいる

現世の人を書いてみた

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