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癌で死んだお父さんがクエストを消化して異世界からの帰還を目指すが・・・

癌で死んだお父さんがクエストを消化して異世界からの帰還を目指すが

異世界転生黎明期だった為にチートできずに苦境

異世界お父さん


その1

Aパート


ある日、冒険達者が冒険者ギルドに集められた。

ざわつく冒険者を前にギルド長が手短に説明を始めた。

実は、大都市に通じる街道に魔獣が現れ、馬車の通行を妨げられている。

迂回すると行程に2日余計にかかる・・・

魔獣が通せんぼして街に近寄れない商人、旅人、冒険を終えた冒険者達は離れた場所で

キャンプして待機していた。


こんな人里ちかくに魔物が・・・

説明を受けた冒険者達は顔を見合わせ小声でざわついた。


ここ、コネクタの街は小さいながらも大都市と近隣の村々との中継地点も兼ねており、

物資交換の重要拠点として機能している。

魔獣が街道に現れ、早くも物流に支障が発生し始めて、近隣の村人が文句を言いに来ていた。

あちこちの街角で村人と商人の小競り合いがおこっていた。

とりあえず、騒ぎを治める為、農産物ほかを町長権限で街が買い入れることにした。

だが、すぐ街の倉庫が一杯になってしまうだろう。

足の早い作物は街の住民に配給が始まっていた。


転生者中倉修はギルド長に呼ばれていた。

ナカ、聞いていると思うが、魔獣排除の依頼を受けた街の冒険者は全滅だ。

転生者中村修は冒険者ナカと呼ばれている。

20年来のベテラン冒険者だ。


中倉は無言でギルド長の話を聞いていた。

この街の冒険者ギルドには、精鋭はいないにしても、手練れが少なからずいた筈だが・・

中には低LVだが転生者が参加しているPTも

自分のLVを越えて背伸びして強敵に挑んで全滅?

相手を舐めてかかって、無謀に突っかかったのか?


伝書鳩と早馬を使って近隣のギルドに救援を求めたが、人員の割り当てができず手詰まりの状態だ。

ナカ、あんたが最後の冒険者だ。

あの魔物を倒せとは言わない。

頼みたい事は二つだ。

1:できるだけ魔物の情報を集めてくれ

2:北門を守ってくれ

ギルド長は懇願するように依頼してきた。


ナカは北門を後にして、合図の狼煙をあげた。

相手の実力を見極める為に、まず風向きを確認して

風下からゆっくり近づく、石が動く感じだ。

魔獣は北門から少しの所でのんきに寝そべっていた。

猫だ。

どこからみても巨大な猫だ。


そろそろか。

引退した昔の冒険者仲間が空の馬車を二台北門から出してくれた。

魔獣の動きを慎重深く見守る。

馬車がある程度近づくとほぼ同時に魔獣は爪としっぽで二台の馬車を破壊した。

暫く暴れる馬を嬲るとそれにも飽きて魔獣は眠りに落ちた。


あの辺までは近づけるのか。

岩陰を梯子しながら、壊れた馬車の影に隠れ、車輪に挟まっていた体毛を手に入れた。

自分の鑑定スキルの鑑定可能範囲を遥かに越えていた。

これだけで高レベルの魔獣であることは間違いない。

体毛を連絡筒に入れ懐にしまった。

よし、目的は果たした。

街に帰らないと・・

その瞬間、背筋が凍った。

ナカは盾と小剣を構え身構えた。

ベテランならでの動作だ。


ネズミがいたにゃん。

ニヤニヤしながら魔獣が猫足で近づいてくる。

無言無音で近づいてくる。


早くここを逃げ出さないと・・

ナカは無意識に跳びさがった。

20年に及ぶ、冒険者の経験故か。

突然、目の前の地面がえぐれた。

爪の斬撃をまともに受ける訳にはいかない。

右に半歩踏み出すと、魔獣の尾の一撃を盾で受けた。

空中に浮かぶ羽のようにふわりと受け流し、跳びさがった。

伊達に異世界で20年冒険者やってない。

なんとか距離は取れた。

だが、盾を持つ腕は麻痺して使い物にならない。

連絡筒を街に届ける算段と北門から離れる、二つの依頼を果たさないと。


そういえば、娘が猫を飼いたがっていた。

なんでこんな時に思いだした。

帰るんだ。

みんなの所に妻、娘、息子の所に・・・


意識の外から魔獣に胴をくわえられた。

お前から何故、朕のいた家の臭いがするにゃん?

魔獣は甘噛みしていた。

まだナカを殺す気はないようだ。

甘噛みとはいえ、革鎧に牙が食い込んでいて、身をよじっても抜け出せない。

息ができない。

だが、一瞬の隙を突いて逃げるんだ。

呼吸をしろ、肺に空気を送り込め。


何見てるにゃん。

魔獣のしっぽが空を切った。

手応えがないにゃん。


嗚呼、ゴーストか。

ここ数年前から私の前に現れるようになった存在だ。

実体はないが、たまに現れ寄り添ってくれる。

何時の頃から無言のゴーストに愚痴をこぼすようになっていた。


おいおい、とんだご挨拶だな。

中倉ガル~。

俺はお前さんのマネージャーだぜ。

臭いとか、動作音とか憶えてないもんかね?

猫は「三年の恩を三日で忘れる」とはよく言ったもんだ。

今日は二人に話があって来たのに。


中倉?

私が癌で死んで異世界にきてから二十年ぶりに聞いた。

この魔獣は私の家族と何か関係があるのか?

それよりも、ゴーストがしゃべれるとは。


ガル~は咥えていた、中倉修をおろすと逃げられない様に足で踏みつけた。

憶えてるにゃん。

お前は転生の際に現れたお節介な奴か。

呼び捨てとは不敬なり、朕は中倉家の皇帝であるにゃん。

家臣は同族の牝が二匹に雄が一匹だにゃん。

朕は我が国が心配にゃん。


お前、猫だろ!

人間じゃねえし。

にゃん。って言ってるし。

気づけよ。


やれやれ。

では聞くが、家はお前が建てたのか?


いいや、朕は幼き日に中倉家に皇帝として迎えられたにゃん。


あのなー、家を建てたのは今お前が足蹴にしている中倉修さんだ。

尊重しろ。


こいつが、先王ということか。

判ったにゃ。

何処か、ガル~は悔し気だ。


マウントのとりあいは家に帰ってからにしろ。

まずはガル~、修さんから足をどけろ。

そして、癒せ。

ガル~は嫌々中倉修から前足をどけるとしっぽを巻きつけ癒し始めた。

中倉修さんが徐々に回復していく。


二人の目標は中倉家に戻る事。

でいいよな。

二人は大きく頷いた。

というか1人と一匹なんだが。

手短に要件を済ませたい。

これから魔法の聖女マジカルマミの再放送があるんでな。


懐かしい。

娘が子供の頃に膝の上で見ていた女の子向けの懐かしいアニメだ。

見終わる度に魔法のステッキをねだられて困った思い出かこみ上げてきた。

中倉修の胸を娘に対する想いがよぎり、只、拳を強く握りしめた。


20年前に中倉修さんが受けた依頼である。

魔王イオの討伐は後発の転生者が魔王イオを封印して達成不可能となっています。

そこで、勝手ながら依頼元と交渉してきました。

追加依頼として、現魔王バオンの討伐に参加可能だそうです。

どうします?中倉修さん。

この依頼、参加しますか?


や、やります。

回復されながら中倉修はそう言うと大きく頷いた。


で、皇帝中倉ガル~様だっけ?

中倉修さんと一緒に魔王バオンの討伐を成し遂げる。

それで、めでたしめでたしだ。

二人(というか1人と一匹)は晴れて家に帰れる。

判ったかな?


うむ、心得たにゃん。

ガル~は渋々ゆっくりと頷いた。


さて、私は魔法の聖女マジカルマミの【初めての変身】を見ねば。

さらば!


マネージャーを名乗るゴーストの姿が消え去るのを見送りつつ、

二人(というか1人と一匹)は顔を見合わせた。



中倉修【CV.未定】

中倉ガル~【CV.子安武人】

マネージャー【CV.杉田 智和】

ギルド長【CV.郷田ほづみ】

冒険者A【CV.未定】

冒険者B【CV.未定】

街の住人【CV.未定】

音響副監督【杉田 智和】

音響正監督【郷田ほづみ】


2022/08/30 起草

2023/01/06 



異世界転生黎明期だと

チートスキル付加とかの制度が未整備で

主人公が苦境に陥る展開

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